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2014年12月20日

【E30 320i 2Dr 5MT】法定24ヶ月点検&納車整備【50,000Km】

こんにちは。オートファイン@横浜です。

今月はE21のレストア作業を進めていたのでブログアップ作業がなかなか進められなく…

せっかくの週末も雨で残念ですが、明日から天気も回復しそうですね。

ちなみに年末年始の営業に関してですが

年内は28日(日)までの営業となり、年明けは5日(月)から通常営業とさせていただきますので

宜しくお願い致します。

10月下旬に売約となった87y E30 320i 2Dr 5MTの納車整備をお届け致します。

走行距離は50,000Kmと低走行で前オーナーの管理も良く

機関コンディションは申し分の無い車輛ですが

30年という月日によって、消耗が進んでいる箇所も当然ありますので

そういった部分を中心に整備を進めていきたいと思います。 

まずはボンネットのフードダンパーを交換。

E30までは前側ヒンジでいわゆる逆開きになりますね。

見えにくい箇所にダンパーが装着されている事もあり

見逃されがちのパーツになりますね。 

ボンネットダンパーが弱ってしまうと整備やちょっとした日常点検時でも

ボンネットがすぐに倒れてきてしまい非常に危険な事は言うまでもありませんね。

手など挟まれてしまえばそれこそ大怪我をしてしまいますので

ボンネットを開け、ボンネットが自重で倒れてしまうような時は

ダンパー抜けと判断し、交換をおすすめしています。 

シートダンパーの交換。

バックレストとシートの高さ調整用の二本のダンパーを交換していきます。

後ろに倒したらシートがそのまま戻ってこない…

なんてちょっとコントのような状況に陥ってしまう訳ですが

運転者は少々焦ってしまいますね。 

シートを外し、それぞれダンパーを交換していきます。 

ダンパー新旧。 

フロント二脚共に交換を終え、カチッとしたシート調整が可能になりました。 

フォグランプのレンズが割れていたので交換。 

ちょっとした飛び石で割れてしまう事もありますが

ヒビが入ったまま納車する事は出来ません。 

点灯確認をし、フォグランプ交換は終了。 

入庫時に気になっていたゴー&ストップ時のステアリングに伝わるカクンというような振動。

原因はロアアームのコントロールブッシュの劣化になります。

こちらも交換を実施。 

SSTを使用し、ロアアームからロアコンブラケットごと引き抜いていきます。 

ロアコンはスグリ入りの乗り心地を重視したスタンダードタイプ。

カッチリした乗り味を好まれる方はM3用のロアコンをチョイスされる方もいらっしゃいますが

新オーナーは初めてのBMWという事もあり

オリジナルのベストな状態を把握していただく為、スタンダードのロアコンを使用します。 

交換後はゴー&ストップ時のステアリングに伝わる振動も収まりました。 

フューエルホースの交換。

パイピングとゴムホースが組み合わせられたフューエルラインは

何度かの交換がされてきた記録も残っていましたが

十年に一度は見直しが必要な箇所でしょう。 

ゴムホースの劣化は側面から見るのではなく… 

このように切り口部分の劣化をしっかりと確認する事で

交換時期の判断が的確に行えます。

どうしてもゴムという素材の性質上、かなり近くで目視でのチェックが必要になり

リアのフューエルタンクからフロアを這うようにフロントまで続くラインになりますので

リフトアップ時には必ずチェックをしたいところでもあります。 

フィルター周辺のホースとフューエルフィルターを交換。

ホースを固定するホースバンドも当然新品に交換します。 

ホースを外した際にスチールのライン内に錆が出ていないかのチェックも同時に行います。

もし、錆の発生が多く見られた時にはフューエルラインも交換を行います。

そのまま使用する事でインジェクターに錆が詰まり、アイドリング不良等の

エンジントラブルが発生するのを防ぎます。 

フューエルポンプ周辺のホースも交換。 

ホース新旧。 

フューエルホース交換時は、フューエルポンプの燃圧測定も同時に行い

ポンプの動作チェックを確認し、問題があれば交換を実施します。 

オイル類の交換を始めます。

当社の納車整備は全てのオイルを交換し、一度しっかりとリセットを行います。

新オーナーが納車後にどの程度の頻度でオイル交換が必要になるかを判断する為

にも必要な作業になります。

情報誌で掲載されている各部のオイル交換はあくまでも目安になります。

オイル交換時期というものは、乗り手の使用環境によって大きく変わる事をお忘れなく。 

ドレンマグネットに付着したミッション内部ギアのアイアンパウダースラッジ。

どんなに気を使ってシフトチェンジを行っていても、ミッションの構造性質上

必ず発生するものであり、回避する術はありません。

ただ、このスラッジをそのまま放置しシフトチェンジを繰り返し行う事は

更に多くのスラッジの発生を促します。

シフトチェンジの癖や頻度、好きなギアによってスラッジ発生量も異なってきますので

自分のシフトチェンジがどの程度の距離と期間でオイル交換が必要になるのかを

知っておくべきでしょう。 

スラッジを綺麗に落とし、シールテープをしっかりと巻いておきます。

使用オイルはFUCHS 5SPEED 75W-90になります。

愛知なので冬でもギアの入りにくさは感じにくいでしょう。

住んでいる地域も考えオイルをチョイスする事も大事な事です。

デフオイルの交換。

粘度が高い事もあり、冬場は排出に一手間・二手間が必要になりますね。

油温を上げずに排出を始めてしまうと、1/3程度はデフケース内に古いオイルと共に

スラッジが残ってしまいますので、そういった点にも注意し交換をしていきます。 

使用オイルはFUCHS HLS90 75W-90。

ミッションと共に極圧性能の高さには定評のあるオイルです。 

パワステオイルの交換。

ギアボックス・ポンプ内のスラッジと古いオイルをしっかりと圧送で車外に排出します。 

交換前。 

交換後。

使用オイルはFUCHS ATF4000。

フラッシング剤とATFを約4L使用して、パワステ機構内のフラッシングとオイル交換を行います。 

ブレーキフルードの交換。

ブレーキフルードは吸湿が進むと写真のように紅茶色に変色が進んでいき

沸点温度が低下していきます。

沸点温度の低下はペーパーロック現象を引き起こしやすくなり非常に危険です。

こういったブレーキトラブルは起きてからでは収拾がつかなくなる事もありますので

早めのチェックと交換が必要でしょう。 

圧送でOMV Racing DOT4を送り込んでいきます。

エアの混入と排出したフルード内に錆や汚れが必要以上に発生していない事を確認します。 

クラッチフルードも交換。 

ブレーキフルードは最低でも二年に一度の交換をおすすめしています。 

エンジンオイル交換。 

しっかりとフラッシングした後オイルの排出を開始。

古いオイルの排出時間は可能な限り長く取り、出来るだけオイルパン内に

古いオイルが残らないようにスラッジと共に排出していきます。 

オイルエレメントは当然交換します。 

チョイスしたオイルはFUCHS TITAN 10W-40。

走行3,000〜5,000Kmで交換、もしそこまで走らずに半年が過ぎた場合も交換。

最低でも一年に二度の交換をする事で、快調なフィーリングを維持出来るでしょう。 

冷却水の交換。 

FUCHS FRICOFIN G12 Plusを使用。

冷却経路内の水垢や錆をフラッシングで落としつつ、古い冷却水と入れ替えていきます。 

冷却水の交換は年に一度は行いところです。

本格的な夏を迎える6~7月もしくは10~11月のどちらかをおすすめしております。 

ラジエターキャップの交換。

冷却系統のクーリングシステムには欠かせないパーツのひとつで

冷却水の圧力を上昇させ、冷却性能を高めていきます。 

このキャップが駄目になり圧力が保持されなくなるとオーバーヒートを簡単に引き起こします。

レベルセンサーにつながるコネクターとセンサーに異常がある為、修理を進めていきます。 

センサーを導通試験し内部断線している事が分かったのでセンサー本体を交換。 

センサー新旧。 

配線を新たに作っていきます。 

レベルセンサーも正常に機能するようになりました。 

最後に4輪アライメント測定と調整。 

E30モデルのリアはセミトレーリング構造の為、調整箇所はフロントのみになりますが

測定値からリアブッシュの消耗の程度が分かりますので

ブッシュ交換時期の予測にも役立ちます。 

何度かのテストランとリセッティングでベストな状態になりました。 

最後にトータルチェックの為のテストラン。

高速を使用しての各部のチェックと気になった箇所の補修作業を完了させ

全ての作業は完了です。 

新車検証・24ヶ月定期点検記録簿・アライメントデータ・ロードテストデータ等を

オーナーにお渡しし納車となります。 

投稿者:autofine at 15:33 | 納車整備・24ヶ月点検

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