【ALPINA B3 3.0/1】ガソリン漏れ修理・空燃比異常【89,000Km】
こんにちは。オートファイン@横浜です。
皆さん三連休は行楽でお出かけでしょうか。
関東ではまだ紅葉狩りを楽しめる所もちらほらとありそうですね。
天気も良さそうなので、お時間ある方はお気軽に遊びにいらして下さいね。
ALPINA B3 3.0/1がメンテナンスで入庫。
エンジンをかけると明らかにガソリンが燃焼しきれていない臭いがピットに充満します。
もともと燃料は濃い目でセッティングされているALPINAではありますが
これはちょっと酷すぎる…という事で検査開始です。
フロント側フューエルホースよりガソリン漏れ。
ガソリンタンク上部のレベルセンサーにつながるホースからのガソリン漏れ。
確かに車に近づくと臭いますが、この程度の漏れだけでピット内にガソリン臭が
充満するというのもおかしな話なので
排ガステスターでCOHC値を計測する事に…
CO値は基準値より完全にオーバーしていますね。
HC値は545ppmで正常な値の倍近くの数値が出てしまっています。
HCとはいわゆる未燃焼ガス、数値が大きいほど
燃えそこなった混合ガスがそのまま排出されてしまっている状態になります。
ガソリンが綺麗に燃焼されない理由を調べていくと…
まずは点火プラグ…電極も減ってきており何より真っ黒のカーボンで覆われ
これでは失火によって正常な着火性は望めなさそうですが、これはおそらく二次的な
問題と判断…
バキュームホースなどからのエアの吸い込み…無し。
イグニッションコイル等の点火装置の不具合…無し。
ラムダセンサー…完全に働いていない状態。
空燃比を最適化する為に排ガス中の酸素濃度を感知し、
その情報をDMEに送るセンサーなのですが、全くその情報が送られていない事が判明。
これで空燃比異常の原因が分かりました。
オーナーに原因と改善方法をお伝えし、早速作業開始です。
まずはガソリン漏れ修理から。
漏れているホースだけを交換するのではなく、基本的にまとめて交換していくのが
セオリーの修理になりますね。リアからフロントまで
ゴム製のホースとスチールパイプを使い分けながらガソリンを送っており
そのどれもが同じように消耗が進んでいるといっても良いでしょう。
漏れていないからといって一部分を残して作業を進めるのはおすすめしません。
またパイプも古くなってくると内部に錆が発生し、錆と一緒にインジェクターに
ガソリンを送る事になり、インジェクターの故障にもつながりますので
パイプ内の状態も確認し、交換の必要性の判断が求められます。
今回はパイプ内は綺麗だったのでホース類の交換をメインで進めていきます。
タンクを降ろし各ホースを交換。
ホース交換前にタンク自体を洗浄。
E36モデルのタンク素材はスチールではなく、強化プラスチック素材が使われており
錆の心配はありませんが、経年によるタンクの劣化でクラックが入るという例も
報告されています。綺麗にするというのも目的のひとつではありますが
タンクに異常がないかどうかを確認する為の洗浄作業になるわけです。
フューエルレベルセンサーの交換。
ホースの取り付け部分が硬化し、その部分にクラックが入りガソリン漏れを起こす…
という事が良くある為に、硬化がどの程度進んでいるかを確認し
必要がある場合は交換します。もちろんレベルセンサーを固定している
ロックリングやガスケットは新品に交換します。
タンク上部のバイパスホースは全て新品に交換。
当然ですが、ホースを固定するホースバンドもサイズの合ったもので新品に交換しております。
フロント側のホース・フューエルフィルター・ホースバンドを交換。
フューエルタンクを元に戻し、ガソリンを一度満タンにし漏れが無いかどうかを
確認してガソリン漏れ修理は完了です。
ラムダセンサーの交換。
E36 B3は一本のセンサーで制御されています。
外観から良否判定が出来ないパーツですね。テスター等で電圧の数値を見て
正常であるかどうかの判断が必要になります。
今回の空燃比異常はラムダセンサーの異常という比較的分かりやすい原因でしたが
同じような異常でもその原因は様々で、複合的に絡み合っているケースもあります。
ひとつひとつその原因となる箇所の検査を進めていき異常が無いかどうかを
確認していく必要があります。
エンジンオイルの交換。
未燃焼ガスが多かったという事は、燃焼室で正常な爆発が行われていなかったという事なので、
必然的にエンジンオイル内にはカーボンスラッジが正常時より多く
かなりの汚れが出ているはずです。
オイルエレメントの交換。
古いエレメントに付着したオイルはまさに真っ黒といって良いでしょう。
FUCHS TITAN 5W-50を入れてエンジンオイル交換は終了です。
点火プラグの交換。
純正プラグを使用。
これで正常な状態に戻るはずです。
エンジンをかけCOHC値を測定。
それぞれ数値が下がり、あれだけ充満した臭いも消えました。
エンジンのフィーリングも軽やかになり、ALPINA本来の性能を取り戻しました。
燃圧も高く、ガスが濃いモデルだから・・・と
何となく自分に言い聞かせるように乗っているとジワジワとレスポンスダウンし
今回のような症状に陥っているなんて事は珍しくありません。
投稿者:autofine at 12:26 | メンテナンス