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2014年10月04日

【E46 M3】フルブッシュ交換etc,,,【48,000km】

こんにちは。オートファイン@横浜です。

台風18号が接近中ですね。

今日は何とか天気が持ちそうですが、明日は生憎の雨予報。

明日から北海道にバイクツーリングに向かうお客様がいるのですが大丈夫なのでしょうか…

E46 M3のフルブッシュ交換。

無料点検でご来店し、各部のチェックを進めたところ

少しの移動で足廻りからコキンコキンという異音とデフのオイル漏れが酷かった為

そのまま入庫となりました。

通常走行でもステアリングが安定せずに少しの段差でフロントリアからコトコト音。

オーナーは新車から乗られており、まだまだ手放す気は無いとの事から

フルブッシュ交換となりました。

デフからのオイル漏れはセンターとサイドからの漏れ。

最近多いですね。良く見ます。

デフシールの交換は、リアアクスルキャリアを降ろした際に同時に行います。

マフラー、プロペラシャフトを取り外しリアアクスルキャリアを降ろす準備を進めます。

目を離した隙に降りてました。

分解を進める前にスチームで長年の汚れを落としていきます。

綺麗にするというのも目的のうちのひとつではありますが

ブッシュの打ち替えという作業は、圧入面の汚れを嫌いますので

作業をスムーズに進める為に必要不可欠な項目のひとつとして考えています。

ボディ側の洗浄もしっかりと行います。

今回リアセクションで交換するブッシュは赤矢印箇所になります。

各アームを切り離しブッシュを交換していきます。

リアセクション部のブッシュ。

リアアクスルキャリアブッシュ×4

トレーリングアームブッシュ×6

コントロールアームブッシュ アッパー×2&ロア×2

デフマウント×1

アッパーマウント×2

アッパーマウントガスケット×2

リアスタビブッシュ×2

リアスウィングサポート×2

スプリングパッドアッパー×2

スプリングパッドロア×2

以上を新品に交換します。

まずはリアアクスルキャリアのブッシュの打ち替えから。

ガキンガキンとちょっと心配になるくらいの音を立てながらの交換になりますが

圧入という作業の性質上、致し方ないですね。

ぐらつくようじゃ困りますので・・・

デフマウントを交換。

 

特に大きなヒビ割れや断裂は見当たりませんでしたが、経年による劣化はそれなりに確認出来ました。

トレーリングアームブッシュの交換。

ブッシュ新旧。

リアサスペンションの動きに重要な役割を担っている箇所のひとつです。

3箇所全てのブッシュを入れ替えていきます。

ボールジョイント新旧。

ナックル部はボールジョイントになっており、外観からは想像出来ない程消耗が進んでいる事も多く

その働きの重要さを認識させられる箇所でもあります。

アッパーコントロールアームブッシュの交換。

 

右が古いブッシュになりますが、偏心しているのが分かりますね。

ロアコントロールアームブッシュの交換。

CSL用のコントロールアームも取り付け出来ますが

一箇所だけを強化してもあまり意味が無いので、私はおすすめしておりません。

新旧ブッシュ。

ブッシュの打ち替えが終了したので、デフシールの交換を進めていきます。

フロントシールの打ち替え。

新旧オイルシール、ロックリング。

サイドシールの交換。

サイドシール新旧。

リアスウィングサポート新旧。

リアスウィングサポートは取り付け時に切れやすいので

シリコンスプレーでスタビの滑りを良くしておいた方が良いでしょう。

ブッシュの打ち替えが終わり、各アームをリアキャリアアクスルに組み付け。

各アームのボルトナットは本締めせずに一旦、仮締めで固定していきます。

リアスタビブッシュ新旧。

スタビブッシュはスタビのねじれによって消耗していきます。

消耗したブッシュは写真のようにピタッと収まらずに

スタビライザーの動きによって広がり歪んでいきます。

どの時点で交換が必要かの判断がパッと見ただけでは付きづらい箇所ではありますが

走行距離や経年を考慮し、交換のタイミング見極めていく事が大事でしょう。

リアアクスルキャリアが元の場所へ戻りました。

プロペラシャフトのセンターベアリングの交換。

この部分はそこまで消耗が進んでいるというわけではなかったのですが

二度手間になる事を考え、予防整備の一環として交換させていただきました。

スプライン部分には錆がでていましたので、錆を除去後にグリスアップをし

新しいセンターベアリングを取り付けします。

ユニバーサルジョイント・センターベアリング新旧。
 

プロペラシャフトを取り付ける準備が整いました。

ショックアブソーバーも新品に交換します。

ビルシュタインのショックが付いていたので、今回もビルシュタインをチョイス。

リアアッパーマウント新旧。

ガスケットも当然交換します。

ショックアブソーバーがストロークし、アームの動きによって角度を持ってしまう際に

アッパーマウントはその動きに連動し、大きくねじれが発生しますが

アッパーマウント自体はボディに固定されている為

そのねじれる力はボディとアッパーマウントの間に強く発生します。

アッパーマウントガスケットはガスケット自身の歪みや変形によって

その力を吸収し異音が出ないように日々潰されながら

過酷な状況で重要な役割を果たしているパーツになります。

稀に足廻りを触っているのにも関わらず、こういったショートパーツといってもいいような

部品が交換されていない車も見ますが、一見交換しなくても良いんじゃない?

と思ってしまいがちなパーツこそ重要な役割を果たしている事も多いですから

注意が必要ですね。

ショックアブソーバーも仮締めで固定していきます。

プロペラシャフトを取り付ける前にデフオイルの交換とガスケットを交換していきます。

プロペラシャフトフランジからのグリスが漏れないようにするガスケット。

一度取り外すと写真のように切れている事がほとんどなので必ず交換。

デフオイルはかなり汚れていますね。

初めてのご来店のオーナーだったわけですが、今まで整備はディーラーで行っていたそうです。

整備記録簿も拝見させてもらいましたが、

10年間で各部のオイル交換はブレーキフルード交換が定期的に行われていたくらいで

ほとんどと言っても良いくらいM3らしさをキープする為の基本整備は行われていませんでした。

壊れてなければ良いんじゃない?という方もいるかも知れませんが

M3という車を選び乗っている意味という事を考えればおのずと答えは出てくるのではないでしょうか。

もちろん、このM3のオーナーもそういった点に疑問符が出てきたからこそ

当社にご来店されたのではないかとは思います。

ちなみに春に定期点検に出されたようですが、明らかにデフからのオイル漏れは

その時点からしていただろうと推測できる漏れ方でした・・・

デフオイルはFUCHS HLS90W-140になります。

リアセクションが終了したのでフロントセクションに作業は移行します。

フロントロアアームコントロールブッシュの交換。

E46モデルでは一番消耗の早いブッシュとしても有名ですね。

ブッシュホルダーごとの交換になります。

ホルダーを取り付けるボルトは使い回さずに新品を使用します。

素材がアルミという事もあり、既定トルクで締め込んだボルトは完全に伸びきってしまっているので

ロアアームのように様々な方向から大きな力が加わる箇所に再使用するのは危険すぎます。

フロントショックアブソーバーの交換。

 

 

フロントセクションのブッシュ一式。

リアに比べると部品点数は少ないですね。

フロントアッパーマウント・スプリングパッド新旧。

 

スタビブッシュとスウィングサポートを交換。

スウィングサポートはボールジョイントの動きが悪かったので、交換時期としては丁度良いタイミングでしょう。

スウィングサポートを取り付け。

スタビブッシュも取り付けて足廻りの作業はとりあえず形になりました。

他の作業を進めていきます。

ミッションオイルの交換。

ミッションドレンボルトはシールテープをしっかりと巻き直し。

FUCHS ATF4000を使用。

パワステオイル漏れの修理。

高圧側のホースからジワリジワリと漏れだしています。

高圧、低圧全てのホースを交換します。

ガスケットリングやホースバンドも新品に交換。

ポンプ、ギアボックス内の古いオイルとスラッジを圧送でフラッシングしていきます。

パワステ部分の作業は完了。

フロントの補強プレートの汚れを洗浄。

 

トルクレンチを使用し、固定していきます。

締め込みが甘いと、コトコトと音が出ることが多いので注意。

ブレーキラインのエア抜き。

キャリパーを取り外した為、エア抜きが主目的ではありますが

新旧フルードが混ざり合ってしまう事でのトラブルを避ける為に

全量交換していきます。

交換後にテストランをしブッシュを馴染ませていき、トルクレンチを使用し

既定のトルクで各アームのボルトを本締めしていきます。

4輪アライメント測定&調整を開始。

シビアな調整を求められます。

測定と調整を何度も繰り返し行い、一番楽しめるセッティングに合わせていきます。

高速も含めたテストラン。入庫時に出ていた異音もなくなり

ステアリングの操作感も非常に良くなったのが分かります。

納車当日はオーナーより助手席に乗られていた奥様の方がその違いを敏感に感じ取っていたような?

E46モデルでのリアアクスルキャリアブッシュを含めたフルブッシュ交換ですが

ここにきて作業依頼が非常に多くなっています。

今回の車輛は2004年式なので、10年経過として見れば当たり前なのですが

販売台数の多さと、そこまで古さというものを感じさせない為なのか

おざなりにされてしまっている車も多いのが現状です。

投稿者:autofine at 14:00 | メンテナンス

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