【Z3Mロードスター】VANOSオイル漏れ修理&ウォーターポンプ異常修理【76,000Km】
Z3Mロードスターの修理入庫。
静岡から初めてのご来店です。
エンジンからゴトゴトと異音がするとの事でお預かり。
確かにエンジン音に混じってゴトゴトと嫌な音が…リフトアップしてみると冷却水が激しく漏れている跡
また、冷却水だけでなくかなりエンジンオイル漏れも酷い状況です。ゴトゴト音の正体は、ウォーターポンプの劣化でした。
内部のメカニカルシールの劣化とベアリング損傷によって
すでにファンも前後に動いてしまうような状態。
ポンプとしての機能はすでに期待出来ないどころか
いつインペラ破損してもおかしくない状況なので、ウォーターポンプは交換。
もうひとつの問題でもあるオイル漏れはVANOSユニットからのオイル漏れ。
今回はこの二点を修理していきます。 まずはVANOSユニットのオーバーホールを進めていきます。 一年程前にVANOSアッセンブリーで交換されたらしいのですが
距離もそこまで走っていないので
この短期間でこれほどの漏れが出ているというのは、珍しいケースではあります。全てのOリング・ガスケット類を交換し、VANOSユニット本体の内部洗浄をしていきます。カムスプロケ取り付け部分からの漏れもありましたが
ちょっと気になった箇所はこの部分のOリング。
VANOS組み込み時にずれたんでしょうか。
完全に歪んでおり、変形しているのが分かりますね。ヘッド前面に漏れたオイルがべったりと。
このまま組んでいく事で、後々誤診を引き起こすことがありますので
しっかりと洗浄しておきます。作業終了後に再度スチーム洗浄を行いましょう。
新品のOリングやガスケット類を使用しVANOSユニットを元通り組み込み作業は完了です。
漏れやすいポイントに液体ガスケットも使用しますが、
あくまでも漏れやすいポイントに ピンポイントで使用していく事が正確な整備につながります。
塗りたくったような液体ガスケットの使用はNGです。ウォーターポンプの交換。
M3はタイミングチェーンを使用しているので、ベルトを使用したモデルに比べ
定期的に交換するという意識は低いかもしれませんが
十年もしくは100,000Kmに一度は交換しておいた方が良いパーツのひとつです。
ウォーターポンプがロックし、ベルト破断やインペラ破損によって冷却経路内に
破断した破片が混入してしまったりと致命的なダメージになりうる
二次被害も考えなくてはいけません。 取り付け面は完全に錆が出てしまっています。
メカニカルシールの劣化によって、密閉性能が損なわれ錆を誘発してしまう訳です。もちろん、そのまま取り付けするようなことはせずに
錆を綺麗に落とし新品のウォーターポンプを取り付けします。カムシャフトセンサーから若干オイル漏れが確認できたのでOリングを交換。冷却水の交換。
冷却経路内に残っているLLCは、錆を含んでいるので完全に排出していき
新たにLLCを入れていきます。もちろん防錆処理もしっかりと。
エアもかなり噛んでしまっており、エア抜きに随分時間を取られました。漏れたエンジンオイルとLLCをスチームで洗い落としていきます。
修理後にこういった作業をせずに漏れ跡を残しておくと、
何か問題が起きた場合や次回メンテナンス時にトラブルシューティングが困難になる事も多いですね。最後にオイル交換を実施。エレメント・各Oリング・ドレンワッシャ等を交換。 フィラーキャップからオイル漏れが目立ったので新品に交換しますが
オイルストーンでスラッジを落とし、面出しを行います。
ちょっとした事ですが効果は抜群です。 フィラーキャップ新旧。FUCHS TITAN 5W-50を入れて全作業は完了。
キーを捻るとエンジンからの異音も無くなり、スムーズに吹け上がり快調そのものです。約60kmほどテストランを行い全ての作業は完了です。
修理でお預かりの車輛は必ずロードテスト記録も納車時にお渡ししております。
その時点で問題がある箇所や後々問題となりそうな箇所を予想し、
納車時にオーナーにお伝えしています。
2014年12月01日