【E36 ALPINA B8 4.6】法定24ヶ月点検&納車整備【60,000Km】
昨年10月末に売約となったアルピナB8 4.6の納車整備をお届けします。
新オーナーは大阪にお住みの方で、初めてのお付き合いとなる方ですね。
これからも宜しくお願い致します。 整備前に各部のチェックを進めていくと、
エンジンオイル漏れ・ウォーターポンプからの異音・ヒーター効かずetc,,,
現状出ている不具合箇所は全て修理し納車に向け整備を進めていきましょう。まずはエンジンオイル漏れの修理から。
B8 4.6のエンジンは5シリーズに積まれていた4リッターM60B40型V8エンジンを
ALPINA社で4.6リッターまで拡大されその出力は340馬力/48.9kgm。
発生する熱量も通常のB3とは比べ物にならないのは言うまでもないでしょう。
直列6気筒モデルと比較するとバンク角がきつく、オイル漏れしやすいとも言えますが
定期消耗パーツのひとつとして割り切り、写真のようにエキマニにじんわりと
オイルの付着が確認された場合はガスケットの交換が必要になります。 3シリーズのエンジンベイに積み込まれたV8エンジンは決して整備性が良いとは言えません。
ヘッドカバーガスケットの交換だけであっても、
エアコンのホースを外したり、周囲の補機類を外したりと
直列6気筒モデルに比べると倍以上の時間がかかりますが
これはスペシャリティモデルとしての宿命といって良いのではないでしょうか。
カムカバーを取り外すと、タイミングチェーンとスプロケットの一部が姿を現します。 プラグホールにも若干オイルが浸入していたので、ガスケット交換のタイミングとしては
ベストな時期でしたね。オイル漏れは発見したらすぐに対処をというのが基本です。
『これくらいなら大丈夫。もうちょっと酷くなってから修理しよう』
と考えていると、とんでもない漏れ方やオイル漏れによって引き起こされる
点火不良・イグニッションコイル異常などを引き起こしたりするケースもあります。 カムカバーガスケット新旧。
プラグホールガスケット・カムカバーを固定するボルト部分のラバーシールも交換します。カムカバーは綺麗に洗浄し、固着した液体ガスケット等は綺麗に取り除きます。
またエンジン側も同様に綺麗にし、漏れの出やすいポイントに液体ガスケットを使用し
新品のガスケットをアシストしていきますが、使用する際はその量に注意が必要です。
量が多いと逆にオイル漏れを引き起こしやすくなります。 カムカバーを固定していきます。 通常であればカバーを固定し作業は完了になりますが、カバーを外す為に
エアコンホースの脱着が必要な為、真空引き後にエアコンガスを入れていき
エンジンオイル漏れ修理は完了です。 エンジンオイルの交換。
アイドリング状態で十分にフラッシングを行います。 チョイスするエンジンオイルも重要ですが
十分なフラッシングと排出が、エンジンのフィーリングの良さを保つ為には
必要不可欠な作業のひとつとなります。 オイルエレメント新旧。
さすがに排気量4.6リッターのエレメントは大きいですね。
M3と比べると約1.5倍程度の大きさでしょうか。オイル容量は約8リッター。
FUCHS TITAN 5W-50をチョイス。 次は水廻りの整備を開始します。
ウォーターポンプは十分に冷却水を循環する機能は持ち合わせていましたが
エンジン始動直後に内部のシャフトベアリングから音が出ていた為
予防整備の一環として交換を実施。
手でプーリーを前後に動かすとわずかではありますがガタツキも出ていましたので
交換時期としては頃合いであったと思います。 ウォーターポンプ新旧。 取り付け面をオイルストーンで研ぎ、古いガスケット等を取り除きます。 ポンプを取り付けし作業は完了です。 ヒーターバルブの交換。
バルブソレノイドが機能していなく、エアコンコントロールパネルを操作し室温を上げても
温風が出てこないという症状です。 ヒーターバルブ新旧。 あわせてアイドリング時にベルトを駆動するローラー部分からのガラガラ音が出ていたので交換。圧送で冷却水を交換。
ポンプ交換でエアも混入しているので、同時にエアも抜いていきます。
熱量の多いエンジンなので年に一度は冷却水交換が必要でしょう。
今回使用したLLCはFUCHS FRICOFIN G12 PLUSになります。 風量調節が効かない為、ブロアレジスターの交換。
今回のケースはエンジンを切っても風が出続けてしまうというちょっと珍しいケース。
レジスターの故障は定番と言っても良いトラブルになりますね。
対策品に変更されている為、形状が若干変わっていますね。
以上で修理整備は終了。残りの作業はスタンダード納車整備になります。ミッションオイルの交換。
B8のミッションはゲトラグ社製の6速マニュアルになります。 前オーナーの希望でギアオイルを入れていましたが
冷間時の2速のギアの入りにくさが目立ちましたので今回はATFを使用します。
なのでギアオイルが残らないようにしっかりと排出していきます。 ドレン・フィラーキャップにシールテープを巻きます。FUCHS ATF4000を入れていきます。
冷間時の抵抗が少なく、油温が上がっても粘度変化が少なく
適度にカチッとしたシフトフィーリングが得られる為
ATFではありますが、当社では人気のあるギアオイルのひとつです。デフオイルの交換。
冷却用のフィンだけでなく、デフオイル容量もアップしています。FUCHS HLS90 75W-90を使用。
デフオイルはオーナーの乗り方によって随分と汚れ方が変わってくるものです。
5,000~10,000Kmに一度くらいはスラッジがどの程度出ているかのチェックをした方が良いでしょう。ブレーキフルードの交換。 ブレーキだけでなくクラッチフルードの交換も当然行います。4輪アライメントの測定と調整。 基準値をベースにフロント・リアの調整を進めていき
タイヤの種類・摩耗、ブッシュの状態等を考慮し
直進とコーナーリングの安定性と何より運転する楽しさを追求し
セッティングを繰り返し、一番ベストな数値に合わせていきます。 最後にテストランを実施。
一般道・高速を様々な走り方でテストしていきます。
V8・4.6リッター・340馬力
高速走行で真価を発揮するモデルですね。
2015年01月07日