【24ヶ月法定点検】BMW E30 320i【納車前整備】
先月のGWに売約となったE30 320i 走行62,000Kmの納車整備。
91年式、平成3年式のモデルになりますがまだまだ現役で日常の足として使用できる
コンディションをキープしています。
もちろん経年によってメンテナンスが必要な箇所もありますので
今回の納車整備では各部のオイル交換や冷却水の交換といった通常メニューの他に
何点かのパーツ交換を実施致します。 まずはエンジンオイル交換。
ゴーアンドストップの多い市街地走行が多い車輌は、同じ走行距離で比較すると
一定のエンジン回転数を維持して走る高速走行車よりも、エンジン内部の汚れは堆積しやすくなります。
スタンダードモデルであっても乗り方によってエンジンオイルの交換頻度は人それぞれになります。 R2000の施工。
古いオイルを排出後に専用のアタッチメントを使用しインテークとリターンのホースを繋げ
専用のフラッシング剤を用いてエンジン内部の汚れを強制的に落とします。
内部の汚れ具合により2サイクル、3サイクルとフラッシング回数を変えて
しっかりと汚れを除去します。
施工後のフィーリングアップは、施工前の状態と乗り比べた方にしか分かりませんが
格段にアップする事は言うまでもありません。
1~2年に一度もしくは10,000Kmに一度施工する事により、
その車本来のエンジンフィーリングをキープ出来ますね。 オイルエレメントは毎回交換しましょう。ATFの全量交換。
排出に時間をかけなくてはいけない作業になります。 古いATエレメントを外して、この状態で一晩放置します。
一晩で大体オイルパン半分程度のオイルが排出されます。オイルパン底部やスラッジを集約する為のマグネットに不自然に大きな金属片が無いかをよくチェックし
綺麗に洗浄します。ATエレメントはもちろん交換。
エレメントとバルブボディを繋ぐOリングといった細かなパーツも当然交換です。 排出が完全に終わり、綺麗に清掃したオイルパンと新しいガスケットを使用し元に戻して
新しいオイルを注入します。使用オイルはFUCHS ATF4000。
一回の注入で規定量を入れる事は出来ないので、油温を見ながら油面調整を進めます。
少なくても多すぎてもATトラブルの元になりますので、しっかりとした知識とテスター、技術と
3拍子が揃っていないと施工の出来ない作業になりますね。 一見問題無さそうに見えるミッションマウントですが、プロの目は誤魔化せません。 新品と比べると一目瞭然ですね。
専門店という看板を掲げていますので、パーツ交換の判断を的確に行うのは当然ですが
古い車になればなるほど、半年後、一年後にどのようなメンテナンスが必要になるかを
オーナーに伝える事も大事になってきますね。 デファレンシャルオイルの交換。 古いオイルとスラッジの排出が終わった後に新油を注入。
使用オイルはFUCHS TITAN 75W90。
M3やアルピナと違いスポーツLSDは組み込まれていませんので極端に極圧の高いオイルは
必要としませんが、ギアとギアが噛み合う差動装置は金属スラッジが多く発生しますので
よく情報誌等で言われる二年に一度の交換という言葉は鵜呑みにせずに、
自分の交換サイクルを把握する事が大事になってきますので、
最初はコマメに汚れのチェックをした方が良いでしょう。 パワステオイルの交換。 この状態のオイルを この状態にします。
タンク内のオイルだけでは無く、ポンプやギアボックス、各ホース内の古いオイルとスラッジが
しっかりと排出されていないと、この状態はキープされません。ブレーキフルードの交換。
こちらもパワステと同じく、専用の機材を使用し強制圧送していきます。 排出した古いフルードは、すぐに捨てずに必ずチェックし、必要以上の錆等の異物の発生が
無いかを確認した後に廃棄します。
あまりにも錆等の異物の発生量が多い場合はブレーキラインの交換になります。 冷却水の交換。
この作業も古い冷却水からエンジン内部の冷却経路の状態を確認出来ます。
毎年施工、防錆処理をしていれば異常な錆の発生は抑えられますが、
数年に一度といったような交換サイクルの場合
錆や水垢等が異常発生している事もありますので、一年に一度は交換をおすすめしています。 テストランの結果、若干吹け上がりに引っ掛かりを感じたので
インジェクションパージとVICを施工。
インジェクションパージはフューエルライン~インジェクターの洗浄に特化した作業になり、
かなりの洗浄効果があります。 VICはヘッド内部のカーボンスラッジの除去に特化した作業です。
インジェクションパージとVICの作業を同時に施工した場合のアクセルペダルの軽さは相当なものです。 この作業をした場合必ず交換になるのが点火プラグです。
強制的に薬剤を注入し、カブッった状態が長く続くような施工方法になり
かなりの汚れがプラグ先端に固着してしまう為、再使用は致しません。 フューエルフィルターも同時に交換。
フィルターの特性上、内部の汚れの判断は付かないので次回交換時に中身の汚れ具合を確認し
交換サイクルを決めた方が良いでしょう。 イグニッションコイル交換。
気にするほどでも無いかと思いましたが、内部抵抗値がイマイチ安定しない事と
吹け上がりの引っ掛かりもあったので交換を実施。エアフィルター交換。 エアブローで汚れを落とすなんて事はしません。
交換時期が来れば必ず交換しましょう。 ワイパーブレード交換。
通常はワイパーゴムのみの交換になりますが
フロントガラスとの密着が悪くゴムのみだと拭き取りが甘かった為
ブレードごと交換です。 4輪アライメント測定、調整。
E30系の調整箇所はフロントのみになりますが
リアセクションの数値をしっかり把握し、
リア廻りのブッシュの消耗がどこまで進んでいるかを把握する事が大事になってきます。
セミトレ構造が故の宿命ですが、消耗を把握する事によって
リアセクション部のメンテナンス時期をはっきりとさせておいた方が良いでしょう。 車検場へ。
全ての項目を一回でパスし、検査は終了。
日によっては30分以上待つ事になりますから再検査は問題外になります。
時間は大切に。
車輌のチェックも終わり、書類を揃えます
ここまで納車整備をしたから100%何もしなくて良いという事はありません。
これから新オーナーがしなくてはならないメンテナンスは細かく見ていけばもちろんあります。
ですがショップ、新オーナー共にその現状を把握し、これからのメンテナンス時期や
メンテナンス内容を的確に実施していく事によって、大きなトラブルも無く良い状態で乗っていけると考えます。
2013年06月03日