【E65 745i】定期点検・各部メンテナンス【77,000Km】
E65 745iが定期点検とメンテナンスで入庫致しました。
走行距離は77,000Km。
このE65は7シリーズ4代目として発売され、IDriveが装備されはじめ
電子デバイス等の技術もそれまでのBMWとは随分と変更されたモデルですね。
整備するにしてもデバイスに対応したテスターと知識を持ち合わせている必要があります。 言わずと知れたこの7シリーズというモデルはBMWのフラッグシップモデルで
最新の技術が真っ先に投入される事も多いですね。
どちらかというと新車時からコマメにメンテナンスされている車は少ない為
50,000Kmを過ぎたあたりから、一気にメンテナンスが必要になってくるケースが多いようです。エンジンオイルの排出。
オイルパンの脇にエレメントケースのドレンも緩め
排出しておくことも忘れずに。 時間の許す限りオイルの排出時間は長めにとりましょう。 古いオイルエレメントとオイルの汚れを確認。
かなり長期間交換されていない事が分かります。
スタンダードモデルでも5,000Kmに一度くらいは交換をしてあげた方が
アクセルを踏み込んだ際のフィーリングも変わってきます。
特にV型エンジンは熱を持ちやすく、オイルの劣化は早いので注意が必要でしょう。 チョイスしたオイルはFUCHS TITAN 10W-40。
スタンダードモデルにお乗りの方にも人気のあるオイルですね。 ATF交換。
オイル色から判断して、おそらく今回初めての交換になります。 交換方法はもちろん全量交換方式。
オイルパン内のATFだけでなく、一晩この状態で置いておき出来るだけAT内のATFを
車外に排出します。 このモデルからATエレメントが組み込まれたATオイルパンになっています。 ATオイルパン内にスラッジ集塵用のマグネットが付けられていますが
AT内の全てのスラッジが集まるわけではありませんので
AT排出時には出来るだけAT内のスラッジも車外に排出できるよう
ひと手間加えます。 ATオイルパンをセットしATFを注入。
チョイスしたATFはFUCHS ATF4000 ATFの油面調整はテスターを使用し、何度かのテストランを繰り返し行いますが
一定の温度以上にATFが温まってしまうと、正確に調整できないので
ここは時間との戦いでしょうか。 リフトを変えて整備を続けます。デフオイルの排出。
排出前にデフオイルを温め、粘度を下げるのを忘れずに。
オイルが冷えたままだと粘度が高すぎて古いオイルやスラッジがしっかりと排出できません。こちらも出来るだけ排出時間を取り、古いオイルとスラッジが残らないようにします。 FUCHS HLS90(75W-90)をチョイス。フロントリア共にブレーキパッドの摩耗が限界の為交換。 フロントリア共に今回はローターはそのまま使用するので
新しいパッドは出来るだけローターの歪みに合うように面取りしていきます。
そうする事によってブレーキ鳴きやブレーキペダルを踏んだ際の違和感を抑えられるというわけです。 ブレーキフルードの交換。新しいフルードを圧送にて送り込んでいき古いフルードを車外に排出していきます。
排出されたフルードはそのまま廃棄するのではなく
汚れの内容をしっかりと確認しフルードライン内に問題が出ていないかどうかも確認します。 交換前後のフルードタンク。
紅茶のような色になってきたら要交換です。
箱根ターンパイクのような下り坂が多い所ではペーパーロック現象が起きる可能性が
かなり高くなります。 冷却水の交換。
専用機材でラジエターや冷却経路のフラッシングをし
内部の汚れや錆を落とし、古い冷却水と共に車外に排出します。
一年に一度必ず施工する事によって水廻りのトラブルが目に見えて減るメンテナンスでも
ありますので、出来るだけ距離の少ないうちから施工し続けると良いでしょう。 エアコンマイクロフィルターの交換。
こちらも一年に一度の交換が望ましいでしょう。
目詰まりしたままエアコンを使用するとブロアモーターに多大な負荷がかかり
その結果、寿命も格段に短くなってしまいます。 ウィンドウウォッシャーが出ないとの事で点検すると
ウォッシャーモーターが動いておらず交換。 こちらは80年代からあまり変化の見られないパーツのひとつでもあります。 無事に水が出るようになりました。パワステオイルの交換。
こちらは専用のハイドロリックオイルを使用。 右ドアミラー調整モーター不良の為交換。 ミラーを付けたまま交換は出来ないので取り外し。 ミラーからモーターを取り外し交換。 配線を結線し直し取付します。
配線には湿気が入らないよう、しっかりと熱収縮チューブで保護を忘れずに。 右パワーウィンドウ操作時にガリガリと音がするとの事でチェック。
パワーウィンドウレギュレーターの破損。 ワイヤーを止めている箇所に力が一番かかり、ワイヤーが枠から外れてしまい
ウィンドウが脱落してしまう事が一番多い症例ではないでしょうか。 サイドマーカーレンズ内に水が浸入してしまった為交換。 こういったレンズ類の作りは国産車に軍配が上がりますね。
どうしてもシーリングの精度は弱く、経年によってこのような症状は多くの外車に見られます。 フロントのコントロールアームブッシュの消耗。 7シリーズで使用されているブッシュはクッション性能を高めたハイドロリックタイプが
採用されている事が多いので、今回のように亀裂が入ると
ゴトゴトと顕著に症状が現れる事も多いです。ブッシュが途中で変更されている為、アーム毎交換。 大きく亀裂が入っているのが分かります。
ここまで亀裂が大きいと乗り心地やハンドリングにも大きく影響してくるので
注意深くステアリングを握っていれば必ず気付くはずです。 取り付ける前にその他のブッシュに問題が無いかも良く確認し
新しいアームを取り付け作業は終了。4輪アライメント測定と調整。 コンフォートな乗り心地に特化したモデルなので、M3やALPINAとはまた違う
視点からの調整が必要になってきます。
ステアリングに軽く指を添えているだけで真っ直ぐに走ってくれるイメージで調整を進め
何度かのテストランをし問題が無ければ作業は終了です。入庫時はもっさりとしたフィーリングがステアリングを握った瞬間から感じられる車でしたが
今回メンテナンスしたことによってガラっとフィーリングが
向上した事を誰もが体感出来る走りを味わえる車に仕上がりました。 最後に定期点検記録簿をオーナーにお渡しして納車となりました。
2013年09月13日