【E36 318is Coupe】クラッチ交換【100,000Km】
E36 318is Coupeが入庫致しました。
走行距離は100,000Km。10年以上前に当社で販売した車輛で非常に大事にしてもらっている車です。
今回はクラッチペダルを踏んだ際に、異音と振動が出るとの事で入庫。
テストランをした所、すぐに症状が確認できたので、そのままお預かりとなりました。 明らかに、クラッチ異常が認められたので、ミッションを降ろしクラッチの状態を確認します。 降ろしたミッションはケース内部がかなり汚れていますので、綺麗に洗浄する準備を進めます。クラッチレリーズベアリングがバラバラになっているのが確認出来ますね。 内部のベアリングも脱落してしまっており、これでは正常にクラッチを切り
動力を切断する役割は果たせず、回転しているクラッチカバーのスプリングを安全に押す事は出来ないですね。クラッチカバーを取り外します。 取り外したクラッチディスク、クラッチカバー、レリーズベアリング。
実際に不具合として認められるのは、レリーズベアリングのみになりますが
ディスクとカバーの消耗はどのくらい進んでいるのか新品と比べてみましょう。 新しく用意した純正品のクラッチキット。
クラッチ交換は必ずディスク、カバー、レリーズベアリングの三点を1セットとして交換するのが原則です。ディスクの新旧比較。
かなりの摩耗が進んでいるのがすぐに分かりますね。
クラッチのトラブルでまず一番最初に疑うのは、ディスクになります。
クラッチの構成部品の中で非常に過酷な条件を求められるのはディスクになり、
エンジン回転と同じ高速回転をすることになりますので、
まずはその遠心力によるトラブルを疑います。
今回はベアリングに問題がありましたが、スリットも綺麗に消えている摩耗の程度を確認する限り
交換時期としては、良い時期でしょう。クラッチカバー新旧。
プレッシャープレートとも言われるパーツになります。
かなりのクラッチ焼けが発生しているのが分かります。
クラッチ焼けは部分的に表面の摩擦係数が変化し、
スムーズな発進ができない状態になったり、クラッチ滑りを起こす原因にもなります。
最悪の場合はプレッシャプレートが歪んでしまい、正常に走行できなくなることもあります。
必要以上の半クラッチは熱の容量を超えた過熱を招き、クラッチ焼けが発生することにもなります。同様にフライホイールも焼けが多くみられましたので研磨し
少しでもクラッチのつながりがスムーズになるように一手間を加えてあげます。 ある程度荒目のペーパーで研磨し、完全に焼け跡を消します。
またダイヤルゲージも使用して歪みが出ていないかのチェックは必ず施工しましょう。 ミッションはスチームで洗浄します。
洗浄して機能が向上するわけではありませんが
整備性も上がりますし、将来何かトラブルが起きた場合も、トラブルシューティングもしやすくなりますので
つまらないこだわりかも知れませんが、普段触れる事の出来ない箇所に関しては
綺麗に洗浄し、作業を進めていく事が大事だと思っています。 プッシュロッドに発生している錆も綺麗に落とします。 研磨後に薄くグリースを塗布します。 クラッチカバーのダイヤフラム根元に注油していきます。 こうする事により、カバーの動きを滑らかにする目的もありますが
クラッチペダルを踏んだ時に発生する異音を防ぐ目的も兼ねています。
小さな事ですが、こういった作業を重ねる事によりベストな状態で仕上がっていくので
非常に大事な作業のひとつになります。 ようやく取り付けを開始。
センター出しもしっかりと行い、取り外しと逆の順序で作業を進めていきます。 ミッションを取り付け。
レリーズシリンダーを取り付けてテストランを繰り返し行い問題が無いか確認をします。 色々な走行パターンでテストランを進めます。
適正なシフトタイミング時に違和感はないか、異音は出ていないか、
クラッチペダルに異常な振動が伝わってこないか等、少しでも違和感を感じた場合は
再点検を行い、その原因を探ります。
テストランを終え、修理前に出ていた症状もなくなり、
先日納車となりました。
2014年01月31日