【E36 ALPINA B3 3.0 Limousine】パワステオイル・冷却水漏れ修理【80,000Km】
うっすらと雪の積もったB3。
車庫にオイルが垂れた跡があるとの事で入庫しました。
早速、検査した所パワステオイルラインからのオイル漏れとヒーターラインからの
冷却水漏れがありましたので、オーナーに内容をお伝えし修理となりました。 パワステラインは低圧側の漏れもありましたが、パワステポンプとギアボックスをつなぐ
高圧側の漏れが酷く、停車中であってもかなりの漏れが確認出来ます。 ヒーターラインはヒーターバルブにジョイントするホースからの漏れが一番多く
漏れた冷却水が、乾かずに常に写真のように濡れた状態だったので
常時漏れている状態でした。こちらはオーナーと打ち合わせし、ヒーターラインを中心に
ラジエターアッパーロアホース等、何点か新しく交換をしていきます。 まずはパワステ部分の修理から。
パワステオイルはご覧の通りの状態になります。
ATF本来の性能は期待できない状態ですね。 低圧側のインテークホースとリターンパイプ。高圧側のプレッシャーホースを交換します。 こういったカシメが施されているホースは、どうしても経年や走行距離で
カシメ部分からのオイル漏れが発生しやすいので
消耗品と割り切った方が良いでしょう。 消耗品として考えなくてはいけないのが、ホースバンドとシールガスケットですね。
ホローボルトはそのまま使用しますが、シールガスケットは一度既定のトルクで締め込むと
シールとしての役割は果たせなくなりますので、必ず交換しましょう。
ホースバンドも、構造が単純な事もあり、何度かの脱着を繰り返すとしっかりと締め込む事が
出来なくなる事も多々あります。
稀にですが、こういったパーツを交換されていない車を見ますので注意が必要ですね。
もちろんそういった車は、ホースが新しくてもオイルが
漏れてしまっているといった不具合が出ている事が多いです。 新しくホースを取り付けていきます。 ホースを取り外しても、ポンプやギアボックス内の古いオイルは完全に排出されません。
専用機材を使用して、完全に古いオイルを新しいオイルに入れ替えていきます。
エア抜きもしっかりと行います。 何度かテストランを繰り返し、この状態をキープしているようなら
完全にオイルは入れ替わっています。
少しでも濁りが出ているようであれば、完全に交換が出来ていないという事なので
的確な交換方式が大事になってくるわけですね。 サーモスタットとラジエターキャップは予防交換。ラジエターキャップとサーモスタット。
ご存じの方も多いとは思いますが、ラジエターキャップは冷却経路を正常に働かせる為に
非常に大事なパーツのひとつになります。
ラジエターキャップは、ラジエターを密閉するための単なるフタではなく
現在の冷却系統で使われている冷却方式は、密閉加圧冷却式というものになります。
冷却経路を密閉することで、冷却水の圧力を高め、冷却能力を高めており、
冷却系統を密閉した空間にすると、エンジンの熱によって冷却水が膨張しようとしますが
膨張空間は限られているため、液の圧力が高まり、結果として沸点が高くなり、
100℃でも沸騰しなくなります。もし沸騰してしまうと、冷却水が気体になり、
熱を奪ったり放出したりできなくなるばかりか、
一気に体積が膨張して高圧になり冷却系統を破裂させてしまいます。
そうならないように一定に加圧をし、方熱効率を上げる為の非常に重要なパーツになります。新しいホースを用意して取り付け開始。サーモケースの取付面はあらかじめ、砥石で研いで綺麗にしておくのを忘れずに。圧送にて冷却水を交換。
もいろん交換前にフラッシングを行います。 最終のテストランにて問題が無い事を確認。
ステアリングのフィーリングも軽やかに。
経年や走行距離の増加に伴って、メンテナンス箇所は多くなりますが
手を加えた箇所の変化が分かり、爽快なフィーリングを再び感じられる車というのも
探してもなかなか見つかりませんね。
2014年02月12日