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MAINTENANCE REPORT

【E30 325i Touring】オーバーヒート冷却水漏れ修理【走行89,000Km】

610534611a128622E30 325i Touringがオーバーヒートの症状が出るとの事で入庫致しました。
皆さんご存じの通りオーバーヒートの症状が出たまま走行を続けると
エンジンに致命的なダメージを受ける事になりますので
本格的に暑くなる前に、水廻りに不安のある方はしっかりと点検修理しておいた方が良いでしょう。 203534611a872548BMWには冷却水が減るとセンサーが反応し、メーター上に警告が出ますので
チェックランプが点灯した場合は、どこかしらから冷却水が漏れていると判断して良いと思います。
走行中に一瞬だけ警告灯が点灯するといったような場合も
安易にセンサーが誤診していると判断せずに、すぐに点検をした方が良いでしょう。
今までの経験上、そのような症状でもどこかしらから冷却水が漏れているケースが多いです。
冷却水漏れの検査は、写真のように圧力測定やテストランを行い進めます。
圧力測定の結果としては、スロットル部分からの漏れはすぐに発見できましたが
圧力計の針の下がるスピードが極端に早い事から
他箇所からの漏れの可能性もあると判断し、
エンジン内の冷却経路を全てチェックしましたが問題が無く
室内ヒーターコアを点検した所、ヒーターコアからの漏れを発見。
スロットル部、ヒータコア2箇所の漏れ量と圧力計の数値の動きが一致した事から、
他箇所からの漏れは無いと判断し
今回の修理はスロットル部分のガスケット交換とヒーターコア交換となりました。
今回のように点検の為に計測機器を使用する場合は、
単純に数値の始点と終点を見るだけでなく、数値の変動する時間やどれだけ数値に変動があるかなど
様々な情報を読み取りながら点検を進める事が、正確な修理へとつながります。 170534611ad9f0f3スロットル部分の冷却水漏れ。
何故こんな所に冷却水をバイパスさせる必要があるのかと疑問に思う方もいるかも知れませんね。
これはスロットルの凍結防止を目的として、サーモスタットハウジングからバイパスされて
エンジンブロック後方につながっています。
日本では凍結の恐れのある一部の地域を除いて、あまり必要性が無い事もあり
サーモスタットからエンジンブロックまで一本のホースでバイパスさせる方法もありますが
今回は凍結防止機能をそのまま生かし修理を進めます。 150534611b656786スロットルボディを取り外し。 173534611bbb9e0f漏れ箇所はこの部分ですね。
スロットルボディを外さなくても交換出来るのでは?と思うかもしれませんが
細いトルクス3本で固定されており、場所が場所だけに錆が発生している事も多く
慎重に緩めていかないと簡単にボルトが折れてしまいます。
無理はせずに、きちんとした角度、力の入力が出来るように
工具を使用した方が円滑に作業を進められるので、取り外しした方が良いでしょう。 23153461296f172fガスケット取り付け面は、古いガスケットなのか汚れなのか分からない状態。 1095346129b423dbガスケットはコルク製のものを使用。
E30では症例の多く見られるトラブルなので、メーカーにはもうちょっと素材を考えてもらいたい所です・・・ 531534612a00296a出来るだけ取り付け面は汚れを取り除きガスケットとの密着を良くします。 361534612a4af825

216534612a98556a新しいトルクスボルトを用意し取り付けし、スロットル部分は作業終了になります。 5565346137d5a8cdサーモスタットの動作は問題ありませんでしたが、予防整備として新品に交換。
サーモスタットケース内の冷却水の色を見ていただけると分かると思いますが
定期的に冷却水交換を行っている為、冷却水の色も綺麗ですね。
冷却経路内に錆の発生が少ない事が分かります。1115346138400f2bサーモスタット新旧。 3815346138a57a04もう一箇所の漏れ部分であるヒーターコアを交換。 19153461390cc92bエンジンルームにつながるパイピング部分に漏れている形跡があります。 679534613984ae68取り外しは、必ず冷却水を完全に抜いてから行います。
そうしないと室内に冷却水が流れ込み大変な事に。 78353461426e7b4fコアケース内、奥側にも漏れた冷却水が乾燥した跡が残っていますね。 1305346142ef070fヒーターコア新旧。
経年劣化によって両端のプラスチックとの接合部から水漏れするケースが多く見られますね。 8395346143511508インレット、アウトレットパイプ部分のOリングも当然交換します。 1585346143ad795bケース内を綺麗に清掃し、コアを戻します。
漏れ跡を綺麗にすることによって、万一また同じような症状が出た場合に診断が容易になるよう
今の事だけでなく先々の事も考えながら作業を進める事も大切な事ではないでしょうか。 36953461441f1b01取り付け完了。冷却水を入れ漏れが止まっているかを確認します。 461534614e68e101完全に冷却水を抜いているので、冷却経路内のエア抜きに時間がかかります。
完全にエアを抜き終わり、再度圧力測定とテストランを実施し
漏れが完全に止まっている事を確認し作業は無事終了しました。

2014年04月11日