【ALPINA B3S】24ヶ月法定点検&車検整備【120,000Km】
約1ヶ月更新出来ずでした・・・5月のGWからかなりの台数の整備入庫などで色々と忙しくさせてもらっています。
難解な症状で入庫する車、テールランプ切れの車、症状は様々ですが
これからの夏の暑さに負けないよう頑張っていきましょう。
ということで、今回のメンテナンスレポートはALPINA B3Sの24ヶ月法定点検と車検整備です。
走行距離は120,000Km。
こちらの車輛は定期的に入庫いただいている車輛で、年に2度ほど事前にお伝えしている消耗箇所などを
整備していただいていますので、車検整備の内容としてはライトな方でしょうか。
VANOSオイル漏れ・各フィルターの交換を中心に整備を進めていきましょう。
まずはエンジンオイル漏れの修理を行います。
今回の漏れはVANOSからになりますが、カムカバーを取り外す必要がある為、
同時にカムカバーガスケットも交換していきます。
カムカバーを取り外し、VANOSを取り外す準備を進めます。フロントカバー前部にオイル汚れが付着しますので、なかなか見つかりづらいので
定期的にチェックしておくと良いでしょう。
VANOS本体下付近に漏れ箇所発見。
オイル漏れを見つけたら早目に処置をしておく事が大切です。
VANOSのオイルホースも漏れたオイルでしっとり濡れて交換が必要な状態。
経年劣化で弾力性が無くなってホースが痩せてしまうとカシメ部分からオイルが漏れ出す事があるので注意が必要です。SSTを使用してVANOS本体を取り外しガスケットを交換。取り外したVANOS本体に問題が無いか状態を確認。新旧のVANOSガスケット。
新旧のVANOSオイルホース。
装着に使用するシールリングの再使用は出来ないので必ず新品へ交換して下さい。VANOSを装着し、タイミングが狂っていないかなど調整していきます。エアの圧力でVANOSを動作させ、適正な箇所にカム位置を調整。 VANOSオイルホースを新品へ交換。新旧のカムカバーガスケット、プラグホールガスケット。
新旧のカムカバーボルトのラバーシール。
カムカバーガスケットだけでなくラバーシールが劣化する事でカムカバーからオイルが漏れる事もある為、
基本的にカムカバーガスケット・プラグホールガスケット・ラバーシールの3点をセットで交換を行います。新旧のスパークプラグ。
消耗品なので電極の消耗度や汚れ方を判断して交換を行います。
交換は仮に1本だけに不具合があったとしても経年や性能等を均一にする為、全てを同時に交換する事が大切です。エンジンオイル交換。
交換の前にフラッシング剤を注入しエンジン内部で発生したスラッジやカーボン等の汚れを落し易くします。
特に経年車は内部に汚れが堆積してしまっている事が多く、エンジン出力や燃費の低下に繋がってしまう為、
定期的なオイル交換とフラッシングを行ってエンジン内部の汚れを出来るだけ排出させる事が大切です。
使用しているフラッシング剤は洗浄の際の摩擦を抑えるだけでなく、
内部に保護被膜を形成する事で一度落した汚れの再付着を防ぐ
再付着防止効果によりフラッシング作業を定期的に行う事でエンジン内部をクリーンな状態に保つ効果が期待出来ます。10分~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部の手の届かない箇所まで浸透させて汚れを落し、
落とした汚れと共に古いオイルを排出。
出来るだけエンジン内部に古いオイルを残さない為にも排出には時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで行います。
廃油はそのまま処分してしまうのではなく、
異常な汚れや金属片等が含まれて無いか確認しエンジン内部の状態を探ります。オイルエレメントの交換。付属するパッキンやワッシャも新品へ交換。
オイル管理の有無はエンジンオイルの汚れ方だけでなくオイルエレメントの状態を見れば一目瞭然ですね。
オイルエレメントは汚れが酷くなると目詰まりを起こしてオイル流量が減ってしまう事を防ぐ為に
バイパス機能を備えており、オイルの濾過を行わずにそのまま循環させる為、
エンジンに悪影響を及ぼすので注意が必要です。当社ではパーツ自体が安価である事と
エンジンオイルの再汚染を防ぎエンジンオイルの性能を十分に発揮させる為にも
エンジンオイルと同時交換をおすすめしています。オイルエレメントを単に交換するのではなく、装着前にオイルエレメントケース内を綺麗にしておく事も大切です。規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
エンジンオイルは多くても少なくてもエンジンへ負担をかけてしまう為、
基準に沿った最適な量を注入する事が大切です。今回チョイスしたオイルはFUCHS TiTAN SuperSyn 5w-50。
真冬の低温時の始動性の高さや真夏の渋滞等の苛酷な状況でも安定した性能を誇り、
更に静寂性や汚れの集約性も優れている為、ALPINAやM3のオーナーに支持されており
リピート率も非常に高い100%化学合成オイルです。フューエルフィルター交換。
フューエルフィルターは給油時に混入する塵や埃、タンク内で発生する結露の水分や錆等の異物を濾過して取り除いて
燃料をクリーンな状態にしてエンジンへ供給しています。
フューエルフィルター内に残っていた燃料は汚れが含まれた事で黒くなった状態で排出されました。
車の使用環境でも汚れ方は変わってくる為、経年だけの交換判断では無く、実際に燃圧が正常値出ているのか
どうかなどしっかり検査していく事も大事ですね。
新旧のフューエルフィルター。
フューエルホースやホースバンドも経年を考慮して同時に交換します。
新品のフューエルフィルターを装着して交換作業が完了。
交換を行っても異常が出ていなければ特に大きな変化は体感出来ない部品ではありますが
重要なメンテナンスなので経年劣化や交換時期等を見極めて作業を行って下さい。
エアフィルター交換。今回は湿式の社外フィルターから純正の乾式に変更。
エンジンは燃料だけで可動しているのではなく、
空気を取り入れて燃料と混合し圧縮して爆発させる事で動力を得ています。
エアフィルターはクリーンな空気をエンジンへ供給する為に不純物を除去する役割を担っており、
交換を怠って汚れで目詰まりを起こしてしまうと出力が低下したり、アイドリングが不安定になって
症状が酷くなるとやがてエンジンが止まってしまう為、定期的な交換が必要です。
エアフィルターは乾式と湿式の2種類のタイプがあり、純正は乾式のタイプが使用され湿式と比較すると価格も安価で
汚れが酷くなったらフィルターの交換が必要です。
湿式はフィルターにオイルを塗布する事でより多くの汚れを除去するだけでなく、
フィルターを洗浄して再使用が出来る為、使用する方も多いのですがメンテナンス方法を間違えると
逆に悪影響を及ぼす事がある為使用する際は注意が必要です。
新旧のエアコンマイクロフィルター。
目詰まりを起こしてしまうとブロアファンモーター等のパーツに負担を掛けてしまい、
風量を全開にしているのにあまり風が出て来ない等の症状が出ていれば、
画像のマイクロフィルターのように真っ黒になっているケースが殆どです。
塵や埃、花粉や種子だけでなく虫の死骸等も付着している事があるので
衛生的にも定期的に交換しておきたいパーツですね。
マイクロフィルターには単に不純物を除去するだけのタイプや脱臭効果の高い活性炭入りのタイプ、
更に脱臭だけでなく抗菌、抗ウイルス・アレル物質抑制機能を備えたタイプもあるので
御自身の好みにあったフィルターをチョイスしてみるのもおすすめです。
エアコンを使用した際にモワッと嫌な匂いが出る状態では菌の付着やカビが発生している可能性が高く、
身体への影響も懸念される為、体調に支障をきたす前に早急な対応が必要です。
エンジンオイル交換を行ったのでのオイルインスペクションのリセットを行います。
リセットを行うとオイルインスペクション数値は25,000km表示になり、
走行距離だけでなく走行状況の他に様々な情報をコンピューターが判断して
数値が減っていく事で最適なオイルの交換時期をドライバーへ知らせてくれます。
渋滞等の地域や苛酷な走行をしていれば数値の減り方は早くなる為、目安としてインスペクションの数値が
22,000Km~20,000Km、もしくは4~6ヶ月毎のどちらか早いほうで交換しておくと良いでしょう。オイル漏れだけでなく、埃や泥はねなどで汚れている下廻りやエンジンルームを
スチーム洗浄で綺麗な状態にして車検に備えます。全ての作業を終えたら最終のテストランを行って修理箇所やその他に問題が無いか確認を行い、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。後日オーナーへ24ヶ月定期点検記録・車検証・車検ステッカー・定期点検ステッカー等をお渡しし
今後のメンテナンス等を伝えて納車となりました。
今回は基本的な作業の他に経年劣化によるエンジンオイル漏れの修理やフューエルフィルターの交換等を行いました。
経年を重ねれば消耗品だけでなくその他のパーツも劣化が進行していく為、
通常のメンテナンスを行っているのにも関わらず思わぬトラブルに巻き込まれるケースがあるので注意が必要です。
掛かりつけの主治医と長期のメンテナンスプランを立てて車輌を管理しておく事は
良い状態で車輌を維持するだけでなくメンテナンスコストの削減やトラブルを回避する事に繋がるのでおすすめです。
2019年06月18日