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MAINTENANCE REPORT

【E30 M3 SportEvolution】24ヶ月法定点検&車検整備【70,000Km】

さぁ、今日2本目のUPです。時間のある時にバシッとまとめていきましょう。

M3 Sport Evolutionの車検整備をレポートしていきます。走行距離は70,000Km。
こちらのスポエボはボディレストアやミッションオーバーホールなど当社で行っており
大事にされているM3です。今回はオイル交換などの整備を中心に、
ブレーキキャリパーオーバーホールなどを行っていきましょう。
ミッションオイル交換。
排出の前にフラッシング剤を注入し内部で発生したスラッジを落としやすくします。
ミッションオイルはギアの潤滑だけでなく温度を抑える役割を担っているのですが、
トランスミッション内部では数多くのギアが複雑な動きをしながら噛合っている為、
スラッジが発生し浮遊する事で汚れが酷くなるとギアが上手く入らなくなるだけでなく、
オイルの温度が上昇しギアにも負担を掛けて故障の原因に繋がってしまう為定期的な交換が必要です。ミッションオイルを充分に暖めた状態でフラッシングで落としたスラッジと共に古いミッションオイルを一気に排出。
排出には時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで行います。ドレンボルトの磁石には多くのスラッジが付着しており、これだけのスラッジが付着している事から想定すると…
ミッションオイル交換の重要性がお判りになると思います。ドレンボルトにはシールテープを巻き直してミッションオイル漏れを防止します。
シールテープは巻く方向を間違えてしまうと逆にオイル漏れを引き起こすので要注意。規定量のミッションオイルを注入して交換作業が完了。
基本的に車検毎の交換をおすすめしていますが、使用方法や使用環境等により劣化が早まる事があるので
ギアの入りが悪くなったと感じたら無理なシフトチェンジ等は避け、
状態が悪化してしまう前に点検・交換を行って下さい。
デフオイル交換。
排出の前にフラッシング剤を注入し内部で発生したスラッジを落とやすくします。
スムーズなコーナーリングが出来るのは内部のデファレンシャルギアが可動しているからなのですが、
ギアが噛合う事でスラッジが発生しデフオイル内に浮遊する事で
研磨剤の様になってギアやオイルシール等に悪影響を及ぼし
オイル漏れを誘発したり最悪の場合はギア欠けに繋がってしまう事があるので定期的な交換が必要です。デフオイルは粘度が高い為、温めた状態で作業を行わないと排出に時間が掛かるだけでなく
内部のスラッジを上手く排出する事が出来ません。
必ず温めた状態で排出を行って同時に廃油に金属片等が含まれて無いか確認を行います。しずくが垂れなくなるまで時間を掛けて排出を終えたら規定量のデフオイルを注入しデフオイル交換が完了。
交換を怠るとドライブシャフトのオイルシール等からデフオイルが漏れてオイルが少なくなってしまうと
ギアに負担が掛かり異音や振動等の不具合を発生させ、ギアの破損に繋がる事があるので
デファレンシャル部分がオイルでしっとりと濡れて無いか?汚れが多く付着していないか?等、
定期点検の際に確認しておく事が大切です。パワステオイル交換。
パワーステアリングはエンジンの出力を利用してポンプを作動させ、ポンプからの油圧により操舵力を補助しています。
油圧に使用されているオイルがパワステオイルなのですが、
使用していればギアボックスやポンプで発生するスラッジの影響で徐々に汚れて黒味を帯びてきます。
他のオイルと同様にスラッジが含まれる事でギアボックスやパワステポンプの故障だけでなく、
ホース類やオイルシール等を傷める事でオイル漏れを発生させるので劣化には注意が必要です。
E30のウィークポイントとして注意が必要な箇所なのですが、漏れやすいからと放置したり
漏れて減るのは当たり前だからとオイルを継ぎ足していても徐々に被害は拡大していくだけなので
早期に対応していきましょう。
専用の機械を使用してパワステラインのフラッシングを行い、
ギアボックスやパワステポンプで発生したスラッジと共に古いパワステオイルを圧送し車外へ排出。画像の通り新油は赤く透明なのですが、単に排出させるだけではパワステラインに残ったスラッジの影響で
汚れてしまう事で直ぐに透明度は薄れてしまう為、
交換後に思ったより効果を感じない方やパワステオイル漏れに悩まされている方は
施工方法の見直しを検討してみる事も大切です。冷却水交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入しラジエターやウォーターポンプ、
冷却ライン等の水垢や錆等の汚れを浮かせて古い冷却水と共に車外へ圧送。
新しい冷却水を注入し、エア抜きを行って冷却水交換が完了。
E30は冷却系のトラブルも多く、水廻りのパーツの経年劣化にも注意が必要です。
冷却水漏れはオーバーヒートに直結し、状態が悪ければエンジンに与えるダメージが大きくなる為、
多少だから…と放置したり補充を繰り返しながら走行していると被害が拡大してしまう恐れがあるので
定期的に点検を行って多少でも水漏れが見つかれば早急に修理を行い、
特に問題が無くても経年を考慮してトラブルが発生する前に消耗品等のパーツの交換を行っておくと安心です。
何らかのトラブルが原因で冷却水が減ってしまい、
水道水もしくはコンビニでミネラルウォーターを手に入れて補充した場合、
クーラントの濃度が変わってしまう事で冬場なら凍結しやすくなったり、沸点が低くなる事で沸騰しやすくなり、
沸騰してしまうと車の性能が低下したり異音や振動の発生、
錆を誘発してダメージを与える等の悪影響に繋がる為、
応急処置として水を補充した際は出来るだけ早めに冷却水の交換を行って下さい。ブレーキキャリパーのオーバーホールを行います。
錆の影響でキャリパーのピストンが固着してしまうとブレーキの引きずりを発生させ、
ブレーキパッドがローターに触れたまま走行する事でダメージを与え、
異音の発生や性能の低下にも繋がってしまう為、
ブレーキ操作の際に違和感を感じたら、放置をせずに早急に掛かりつけの主治医へ相談して下さいね。
キャリパーのピストンは錆で腐食してしまうと表面がポツポツと虫食い状態になってしまい、
ピストンシールを傷付ける事でブレーキフルード漏れを発生させる為、
ピストンの表面に腐食痕が発生していれば交換が必要になります。
ブレーキキャリパー、ブレーキキャリパーオーバーホールキット一式。
ブレーキキャリパーはサンドブラストを行って錆を除去し、パウダーコートを施工。
キャリパーのピストンは綺麗だったので綺麗に表面を整えておきます。サイドブレーキシューの残量確認と調整を行います。
残量があったとしても経年劣化で硬化する事で
サイドブレーキシューにクラックが入ってしまう事があるので状態の変化には注意が必要です。ブレーキシューに特に問題が無ければブレーキダストを除去しブレーキシューの表面を研磨して綺麗に整えておきます。ブレーキシューが接触するブレーキローター側も汚れや錆を除去して表面を整えます。
オーバーホールを終えたブレーキキャリパーを装着。ブレーキフルード交換。
専用の機械を使用してブレーキライン内のフラッシングを行って
水垢や錆等の汚れを浮かせて古いフルードと共に車外へ圧送。
新しいブレーキフルードを注入し、エア抜きを行ってブレーキフルードの交換が完了。クラッチフルード交換。
MT車はクラッチオイルの交換が必要なのですが、ブレーキフルードと同様に吸湿性が高く
劣化を放置していると錆を発生させマスターシリンダーやレリーズシリンダー等に影響を与えて
スムーズなギアチェンジが出来なくなってしまうだけでなく、ホース類にもダメージを与える事で
フルード漏れを発生させるので定期的な点検・交換が必要です。フューエルフィルター交換。
フィルター内部に残った燃料は微細な汚れを含んで若干黒味を帯びた状態になっていました。
フューエルフィルターは給油の際に混入した砂埃や雨水、タンク内の結露による水分や錆等が
燃料と一緒にエンジンへ供給される事を防ぐ為に濾過を行って不純物等の汚れを取り除いています。
汚れが溜まって目詰まりを起こしてしまうと燃料の流入量が減って燃圧が下がってしまう事で性能が低下したり
燃料噴射システムに悪影響を与え、
ノッキングの発生やバックファイヤー、アイドリングが不安定になって始動性が下がり
更に多くの汚れが詰まってしまと十分な燃料が供給されなくなりエンジンが止まってしまいます。新旧のフューエルフィルター。
見た目では劣化具合が判断が出来ない為、経年や走行距離を目安に交換を行うのですが、
使用方法や使用環境により思った以上に劣化が進んでいるケースもあるので、
掛かりつけの主治医と相談して交換時期を決めておくと良いでしょう。
バッテリー交換。
新旧のバッテリー。
電装品を多く使用している方や近所までのチョイノリが多い方、長期間車に乗らない方等は通常よりも
バッテリーが劣化している事があるので、夜間走行中にアクセルを戻すとライトが暗くなったり
パワーウィンドウの開閉が普段より鈍くなった、メモリーが勝手にリセットされてしまう等の症状が出ていたら
バッテリーもしくは電気系統に不具合が発生している可能性が高くなります。
全ての作業を終えたら最終のテストランを行って修理箇所やその他に違和感が無いか確認し、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。後日、車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカー等をオーナーへお渡して納車となりました。

今回はE30 M3 Sport Evolutionの24ヶ月法定点検と車検整備を行いました。
限定モデルという事で非常に大切に維持されている車輌なのですが、流石に30年以上前のモデルなので
経年劣化してしまう部品も多く、今回はブレーキキャリパーのオーバーホールを行いました。
経年車は多少の不具合を放置した結果、2次3次と被害が拡大してしまうケースも多く、
多少であっても何かしらの違和感を感じた際は出来るだけ早めに掛かりつけの主治医へ相談して下さい。
非常に希少なモデルなのでいつまでも大切に楽しんで頂きたいですね。有難うございました。

2019年07月02日