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MAINTENANCE REPORT

【ALPINA B12 5.0 Limousine】パワステホース交換修理【170,000Km】

本日は雪予報で戦々恐々と朝を迎え、開店時間にはフロントガラスにうっすらと雪化粧でしたが
お昼前には、雨に変わり今は曇りでホッと一安心です。
雪が降っても、ピットスペースには影響はありませんが、
積もると車の移動もままならなくなるので、良かったです・・・

ピットは変わらず作業満載のようですが、
今日は福島からスタッドレス装着のMクーペが一台入庫したのみで
接客対応も今のところ無さそうなので、整備レポートをドンドンまとめていきたいと思います。

とうことで、パワステホース交換修理の為、
ALPINA B12 5.0 Limousineが入庫したのでさっそくメンテナンスレポートとしてご紹介しましょう。
走行距離は170,000Km。

25年~30年前のモデルなので各パーツの経年劣化に注意を払いながら作業を進めます。
ボンネットを開けるとエンジンルームのV12エンジン(M70型)の存在感に圧倒されますね。
初期のV12エンジンなので比較的トラブルが多いのですが、メンテナンスの良し悪しでも調子が変わって来るので
イマイチだな…と感じる方はメンテナンス方法の見直しや再調整をしてみると良いと思います。
経年劣化も含め、異常が無いか各部の点検を行います。
パワステオイルの状態をチェック。
ホースを交換する前に事前にオイルを抜いておきます。ブレーキプレッシャースイッチにオイル漏れを発見。
このモデルはブレーキやステアリング、サスペンションのレベライザーの3点が油圧によって作動しており
高圧な油圧ラインの分岐ユニットには油圧を感知するプレッシャースイッチにより油圧のチェックが行われ、
異常が発生すればインパネの警告灯でドライバーに知らせてくれます。
油圧が掛かっている箇所なのでホースの劣化などにより徐々にオイルが漏れ出てしまったり
時には一気に漏れ出す事もありますので、経年・走行距離が10万kmを超えているような車輛は注意が必要でしょう。V12気筒はエンジンからの発熱量も多く、ホース類などのゴム部品の劣化には注意が必要です。
この車輌も経年劣化でホースにクラックが入っており、ちょっと触るのを躊躇してしまう程です。拡大してみると良く分かりますね・・・ホースバンドで何とか固定されていますが、ホースは劣化により先端部が裂けてしまっており
ちょっと触っただけでもグズグズと崩れてしまいそうです。
漏れたオイルはその他のホース類やパーツにも影響を与えて劣化を早めてしまう事があるので
オイル漏れを発見したら被害が拡大する前に早急な対応が必要です。交換するパワステホース一式。
経年劣化や走行距離などを考慮して一部の漏れていたパーツだけでなく
全体を確認して総合的に考慮して交換する事が大切です。
ホース類は経年劣化で油分が抜けて弾力性が無くなって徐々に固くなり、振動等でクラックが発生します。
経年劣化は使用する環境にも左右され渋滞地を多く走行するケースでは、エンジンルームは高温に晒され、
寒い地域では低温や乾燥等にも注意が必要です。劣化していたホースを軽く曲げただけで簡単に千切れてしまいました。
この状態になるまで状態を放置するのは稀だと思いますが、ゴム系のホース類は見た目で状態で判断するのでは無く、
経年を考慮して劣化が進行してしまう前に交換する事が大切なので、
ご自身の車輌ではどのタイミングで交換すれば最適なのかは主治医とよく打ち合わせしておきましょう。新旧のホローボルト、ワッシャ、ホースバンド。
全て新品へ交換。新旧のブレーキプレッシャースイッチ類。
油圧をチェックしているパーツなのですが、本体コネクタ部からもオイル漏れを発生させるので注意して下さい。
新しいプレッシャーホースを装着。
新しいブレーキプレッシャースイッチを装着。インテークパイプ等、各ホースを装着。ホース類の取り回しは適正に行わないと他のパーツと干渉してしまい、
思わぬトラブルを発生させる事があるので注意しながら慎重に行います。各ホースの装着を終えたら適量のハイドロリックオイルを注入。オイルストレーナーを装着しエア抜きを行ってパワステホースの交換修理が完了。漏れたオイルで汚れてしまった下廻りをスチーム洗浄で綺麗に洗い流します。
全ての作業を終えた後は最終のテストランを行って
時にはクイックにステアリング操作をし、問題が無いかを確認します。
300馬力を誇るV12エンジンは7シリーズの車重を感じさせない圧倒的な加速感が魅力ですね。

今回は経年劣化によるパワステホースの交換を行いました。
金属製のパーツと比べると樹脂系やゴム系のパーツの劣化速度は早く、
10年も経過すればかなり硬化が進みます。
今回のように90年代初めの車輛などは2・3回交換しているよ・・・という事も珍しくはありませんが
それだけ魅力的なモデルだという事でしょう。

今回のV12気筒を搭載しているモデルではエンジンルームがかなり高温になりますので
ゴム系や樹脂系の部品の劣化は他モデルと比べても早い方でしょう。
ご自身が乗られているモデルの特性やウィークポイントを把握しておくだけでもメンテナンスの方法や
部品の交換時期を特定し易いので、掛かりつけの工場と相談しながら定期点検の際に状態を確認する等、
長期のメンテナンスプランを立てて定期的に作業を行えば経年車でもトラブルを大幅に軽減できるのでおすすめです。
希少なモデルなのでこれからも長く楽しんで頂きたいですね。有難うございました。

2019年02月09日