【E46 M3】法定24か月点検&車検整備【62,800Km】
車検で入庫したE46 M3。
初度登録が平成21年と3年前になり、中古並行車として販売された車輛のようです。
中古並行車は一般的に言われる相場よりも、安価に購入出来ますが
海外でどのように扱われてきたかが、
全く分からないケースが多いので購入後のメンテナンスはより慎重に計画し、
実行する必要性があるでしょう。
今回入庫したM3は、点検したところ大きな不具合も無く
オーナーと打ち合わせした結果
エンジン以外の全てのオイル、冷却水、点火プラグ、ファンベルトの交換と
4輪アライメントの調整を実施する事に決定致しました。まずはミッションオイルの交換になります。
SMGⅡ搭載のM3になりますので、ギアオイル、ATFどちらをチョイスするかは
SMGの変速タイミングの癖や乗り手の好みによって変更していっても良いでしょう。
もちろんどちらが合っているかのアドバイスもさせていただきます。 今回はFUCHS TITAN 5Speed(75W-90)をチョイス。
カッチリとしたシフトチェンジの切り替わりが体感出来る
ロングセラーギアオイルになりますね。
M3ALPINAにお乗りの方には好評ですが、あまりにも冬場のギアの入りづらさが
目立つ車輛にはやはりATFタイプのギアオイルをおすすめしております。 デフオイルの交換。
純正LSDといえどもE46 M3のLSD性能が優秀なのは皆様もご存知かと思います。
優秀であればあるほどデフオイルにかかる負担は大きいのも当たり前の話なので
スタンダードモデルに比べ交換頻度は多くなりますね。
普段汚れをチェックできない事もあり、使用限界をとっくに過ぎてしまっている
オイルを使用している車も多く見かけますので、ご自分の運転がどの程度のスラッジを
発生させるのかをしっかりと認識し、交換サイクルを定めていく事が大事になってくるでしょう。 FUCHS TITAN HLS90-140を使用。
M3ではこのくらいの高粘度のデフオイルを使用する事をおすすめしております。 パワステオイルの交換。
交換前ですが赤黒く変色しているのが良く分かりますね。
ここまで劣化が進むと操作性能の悪化だけでなく、低圧側はもちろんの事
高圧ホースやポンプ本体からのオイル漏れ発生の可能性が高まりますので
パワステオイルライン全体のオイルを抜くと共にスラッジも車外に排出したのち
新しいオイルを注入する必要があります。 オイルライン内の古いオイルを完全に排出する為には、このように圧送機材が必要不可欠になります。
排出前のフラッシング作業も必ず行い、古いオイルと共にライン内に堆積しているスラッジも
同時に車外に排出し、ドライビングプレジャーを追求していくと共に
ポンプやギアボックスにトラブルが出ないようにしていく事が大事になってきます。 新しいオイルを入れたのち、数Km~数十Kmのテストラン後に再度オイルの状態をチェック。
このように澄み切った赤色をキープしていれば合格です。 ブレーキフルードの交換。 交換前のフルード。
一般的に使用されるグリコール系のブレーキフルードは
経年劣化や吸湿が進むと、このように紅茶色になるのが特徴のひとつです。
あまりに吸湿が進んでしまうと、ブレーキシステム全体に錆が発生したりしますので注意が必要。ブレーキフルードの交換量はどの程度、汚れ劣化が進んでいるかを見ながら決めていく必要があります。
もちろんライン内の古いフルード全てを車外に排出するのが一番ベストではありますが
ブレーキラインが細い事もあり、新しいフルードと古いフルードが混ざり合ってしまう事も多く
その見極めは熟練したメカニックの確かな目と経験が一番の武器となります。
もちろん古いフルードの汚れ具合もしっかりと確認し、ブレーキシステム内に錆が発生していないかどうか等の
情報を読み取る力も大事になってきますね。ファンベルトの交換。このように細かくヒビが発生しているしているのが分かった時点で即交換しましょう。 今回はベルトのみの交換で問題は有りませんでしたが、
ベルトだけでなくテンショナーやローラー類のチェックも必ず行い、交換の必要性があれば実施しましょう。 プラグの交換。
E46モデルのダイレクトイグニッションコイルはトラブルが多いので
各コイルの点検も同時に行い問題が無い事を確認しています。 プラグはイリジウムをチョイス。
2年に一度、車検毎に交換したいパーツのひとつですね。 冷却水の交換。
これから本格的に暑くなる前に一度はチェックが必要でしょう。
今回のM3は中古並行という事もあり、冷却経路内の汚れも多いと判断しフラッシング時間は多めに取りました。
経験上、一年に一度必ず交換されていれば、水廻りトラブルの発生は少ないのですが
年式が古くなってくるほどに交換されていなかった事が大きなトラブルとなり
それが原因となって手放してしまう・・・なんて事も。
生産されて10年経過したモデルで、購入前のメンテナンス履歴が分からないような場合は
一度水廻りの総点検をした方が良いかも知れませんね。 点検時のテストランで直線走行中に左に左にと車体が流れる症状が目立った為
4輪アライメントの測定と調整を実施。
まずはメーカーが指定する基準値に数値を合わせる事が基本となりますが
経年や走行距離、その他要因によってメーカーの指定した基準値より若干ずらす事により
ベストな走行性能を得られる事も多いので、何度かのテストランとリセッティングを繰り返します。
もちろんタイヤの摩耗やブッシュ類の状態によっても、変化してきますので
そういった点にも注意しながら作業を進める事が必要になります。 車検取得前にスチーム洗浄を実施。タイヤハウス内の汚れを取る事も目的のひとつですが、オイル漏れ等の不具合が発生した場合に
トラブルシューティングが容易に行えるように、高圧でしっかりと洗浄を行っていきます。
せっかくのBMW。長く良い状態で乗っていきたいのであれば、
メンテナンスも大事ですがこういった作業も非常に大切な整備項目のひとつになります。 車検場で検査。
もちろん1回で検査はパスし、無事新しい検査証をいただきました。 車検証、定期点検記録簿、4輪アライメントデータ、車検ステッカー、定期点検ステッカーを準備し納車に備えます。
2014年05月09日