【E30 320i 5MT】24ヶ月法定点検&車検整備【53,000Km】
12月になり、昨日あたりから随分と寒く感じるようになってきましたね。
年末だなぁ・・・という感覚はあまりなく、年末ギリギリまでメンテナンス入庫予定があるようなので
頑張っていきましょう~。
本日、年末年始の営業日の予定も告知致しましたが、最終週の木曜日は営業日とさせていただき
29日(土)から3日(木)までをお休みとさせていただきます。
本日は、E30 320iが車検整備で入庫したのでメンテナンスレポートとしてご紹介していきましょう。
走行距離は53,000Km。
全体的なコンディションは良好な車輛です。
今回は基本的なメンテナンスとしてタイミングベルトの交換や油脂系の交換を中心に作業を進めていきましょう。エンジンルームを見ると綺麗な状態でホース類も交換されていてメンテナンスが行き届いている事が伺えます。
タイミングベルトの交換。
距離こそ走っていませんが、前回交換したのが4年前なので丁度良いタイミングかと思います。
タイミングベルト・ウォーターポンプ・タイミングベルトテンショナー3点、セオリー通りに交換していきましょう。
ウォーターポンプを取り外し、装着面の錆・ガスケットの残り等は
オイルストーンを使用して表面を綺麗に整えておきます。
新旧のウォーターポンプ・タイミングベルト・タイミングベルトテンショナー。
必ず3点セットで交換が必要です。
新品のガスケットを使用してウォーターポンプを装着。タイミングベルトテンショナーを装着。新しいタイミングベルトを装着。新旧のVベルト。(ファンベルト・エアコンベルト・パワステベルト)
拡大すると良く分かりますね。クラックが多くみられます。
Vベルトは強力な摩擦力や滑りが少なく伝達能力が高いメリットがあるのですが、
現在主流の平ベルトよりも耐久性が劣るので定期的なチェックが必要です。柔軟性が無くなりクラックが入るとキュルキュルと異音を発生させるので、
異音が発生した際はベルトの状態を確認し、ベルト自体に問題が無ければ調整し対応しますが
クラックが大きいベルトはいくら調整しても意味が無いどころか、断裂の危険もありますので
しっかりと交換の上、張り調整を行います。
それぞれのベルトを装着し、ベルト廻りの作業は完了です。冷却水の交換。
専用の機材を使用してフラッシング剤を注入して冷却経路のフラッシングを行い、
内部で発生した錆や水垢等の汚れを古い冷却水と共に車外へ圧送させます。
冷却す交換後にアイドリングで水温チェックを行っていたところ、
リザーバーキャップ部分から冷却水が漏れているのを確認。
原因はタンクのネジ山部分の噛み合いが悪く、漏れていたようなのでキャップ・タンク共に新品に交換します。新旧の冷却水のリザーバータンク。
丁度、ストックがあったのですぐに対応可能でした。新旧のリザーバータンクキャップ。
新しいリザーバータンク・リザーバータンクキャップを装着。タイミングベルトを交換したので交換作業のステッカーを
新しく貼り直して交換した日付や走行距離を記入しておきます。エンジンオイルの交換。
交換前にフラッシング剤を注入しエンジン内部で発生したスラッジやカーボンの汚れを落とします。
使用しているフラッシング剤はwynn’s社のOIL SYSTEM CLEANER。
素早く汚れに浸透して汚れを落すだけでなく、洗浄時の摩擦を抑えて保護被膜を形成し、
落とした汚れの再付着防止効果で新しいオイルの再汚染を防ぐ効果が期待出来ます。
10~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤を浸透させて汚れを落としてから古いエンジンオイルと共に排出。
出来るだけ汚れたオイルを残さない様に時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで排出を行います。
それと同時に廃油に異常な汚れや金属片等が含まれて無いかチェックを行ってエンジン内部の状態を探ります。オイルエレメントの交換。
E30のオイルエレメントはスピンオン式でE36やE46等のフィルターのみを交換するカートリッジタイプと違って
ケースごとに交換するタイプなので外見だけでは汚れ具合が判断出来ない為、
交換時期を把握していないと汚れた状態の物を使用続けてしまう事になってしまうので交換時期には注意が必要です。
このタイプのオイルエレメントはオイルを排出しても内部にジュース1本分の古いオイルが残ってしまう為、
新しいオイルの再汚染を防ぐ為にもオイル交換毎に交換した方が良いでしょう。
オイルの雫が垂れなくなったら新しいワッシャを使用してドレンボルトを装着。オイルエレメントを装着し、規定量の新しいエンジンオイルを注入します。
エンジンオイル量は多くても少なくてもエンジンに負担を掛けてしまう為、
必ず計量して適量を注入する事が大切です。ミッションオイルの交換。
交換の前にフラッシング剤を注入し、内部で発生したスラッジを排出しやすくします。下部に付いているドレンボルトを外してエンジンオイルと同様にしずくが垂れなくなるまで排出を行います。
必ず温めた状態で行わないと排出に時間が掛かるだけでなく、内部のスラッジを上手く排出する事は出来ません。
ドレン・フィラーボルト、ドレンは先端にスラッジ吸着用のマグネットが付いていますので
除去後にシールテープを巻いて準備しておきましょう。
規定量のミッションオイルを注入してミッションオイルの交換が完了。デフオイルの交換。
交換の前にフラッシング剤を注入して内部で発生したスラッジを排出させやすくします。デフオイルも粘度が高い為、温めた状態で排出を行わないと
時間が掛かるだけでなくスラッジを上手く排出する事が出来ません。
ドレン・フィラーボルトを装着する際に使用するワッシャは
自身が潰れる事で密着性を高めているので一度使ってしまったら再使用出来ません。
見た目に問題が無くても必ず新品を使用して下さい。しずくが垂れなくなるまで排出を行ったら下側のドレンボルトを装着し、
規定量のデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。パワステオイルの交換。
パワステオイルは油圧を利用してステアリングの操舵力の補助を行っており、
使用していけば徐々に酸化して内部で発生したスラッジが含まれて劣化していく為、定期的に交換が必要です。
交換を怠っているとパワステオイルに多くのスラッジが含まれる影響でパワステポンプに負担を掛けたり、
パワステラインを傷つけてオイル漏れの原因になるので状態の変化には注意が必要です。状態の変化や汚れ具合はパワステタンク内のオイルの色で判断が可能なのでご自身でも定期的に確認して下さい。
新油は透明な赤色で劣化が進むと透明度が薄れて徐々に黒味を帯びて最終的に黒い状態になってしまうのですが、
パワステポンプやギアボックスへ負担が多く掛かる為、基本的に黒くなる前に交換しておく事が大切です。
専用の機材を使用してパワステラインのフラッシングを行って古いオイルを車外へ圧送させます。
単にパワステオイルを交換するのではなく、
パワステライン全体の状態をリフレッシュさせないと交換する効果は半減してしまうので
車輌の状態に最適な施工方法で交換を行う事が大切です。ブレーキフルードの交換。
油圧の力を利用してブレーキシステムを動作させているのですが、ブレーキフルードは吸湿性が高く、
劣化が進むと水分を含んでしまう事で沸点が下がってしまい、
ブレーキの熱で沸騰してしまうとブレーキラインに気泡を作り出し
ブレーキペダルを踏んでもスカスカと油圧が伝わらなくなるベーパーロック現象を発生させます。
更に水分を多く含む事でブレーキシステムに錆を発生させる原因にもなるので劣化には注意が必要です。
専用の機械を使用して古いブレーキフルードを圧送させて内部で発生した錆や水垢等の汚れを車外へ排出させます。排出したブレーキフルードに異常な汚れや錆等が含まれて無いか確認を行い、
もし異常があれば原因を突き止める為にブレーキシステム全体を取り外す等の大掛かりな作業が必要になります。
特に経年車は錆の発生には注意が必要で車輌に大きな影響を与える為、
錆の発生状況を把握し出来るだけ早目に処置をしておく事が大切です。クラッチフルードの交換。
MT車はクラッチも油圧を利用して操作を行っている為、状態の変化には注意が必要です。
クラッチフルードはブレーキフルードと同様に吸湿性が高く、水分を多く含むと錆を誘発し
マスターシリンダーやレリーズシリンダー等に影響を与えてスムーズなギアチェンジが出来なくなり、
ホース類にもダメージを与えてフルード漏れの原因にも繋がるので、
快適な走行を維持していく為にも定期的な点検や交換が必要です。
交換後のブレーキフルードは無色透明なのですが、劣化が進むと紅茶色へ変化が進み徐々に黒味を帯びて来るので
ご自身でもブレーキフルードのタンクの色の変化を見れば劣化具合の判断が可能です。
車輛チェックテストランで走行した際にエンジンの始動性が悪く、
走行中はもたついた印象だったのでスパークプラグの状態を確認。新旧のスパークプラグ。
取り外したスパークプラグは電極が消耗しており、カーボンの付着も多かった為、全てのスパークプラグを交換。
電極が消耗してしまうと火花が上手く飛ばなくなって、性能や燃費を悪化させアイドリングが不安定になったり
始動性が悪くなるのでスパークプラグの状態を確認を確認し、交換では問題のある1本だけを替えるのでは無く
スパークプラグ全体を交換する事が大切です。
新旧のワイパーブレード。
ワイパーブレードのゴム部分のみを交換する方法もあるのですが、経年車のワイパーブレードは
劣化によりブレード本体の性能が低下している事がある為、今回はワイパーブレード本体で交換を行います。
拭き取りが悪くなったり、スムーズに作動しない、ビビり音が出る等の症状が出た際は、
ゴムにヒビが入ったり端が切れたりしていないか確認し、問題が有れば出来るだけ早めに交換して下さい。
基本的にワイパーは雨や雪が降らなければ使用しないのですが、近年はゲリラ豪雨等も非常に多く、
劣化したワイパーでは十分な視界を確保出来ない為、1年に1回はチェックし、
必要であれば交換しておきたいパーツですね。
4輪ホイールアライメント調整を行います。
調整値はタイヤやブッシュのコンディションによって様々なので、
同じ車種だとしても全てが同じ数値にはなるという事は稀です。
調整はメーカーの基準値をベースにして調整とテストランを行いながら
その車輌に最も適した数値を導き出していきます。
再調整が完了したら、最終のテストランを行って修理箇所やその他の各部に違和感等が無いか確認し、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。
オーナーへ車検証・車検ステッカー・24ヶ月定期点検記録・定期点検ステッカー
4輪ホイールアライメント調整データ等をお渡して納車となりました。
2018年12月10日