【E30 M3】24ヶ月法定点検&車検整備【65,000Km】
今週は週初めに山口まで納車に行ってきました。瀬戸内のロケーション良いですね。
住んでいらっしゃる方達も、非常に親切で今度ゆっくり遊びに来たいなと思いながら帰ってきたところ・・・
台風19号のお知らせでした・・・もちろん当社だけの問題では無くもっと大変な方達がいるのも分かっていますが
今年は台風に泣かされます・・・
本日は台風19号の接近に伴い、臨休とさせていただいておりますが
自宅も近い為、様子見で出社しつつ、時間もあるのでデスクワークを進めております。
E30 M3が24ヶ月法定点検と車検整備で入庫したのでメンテナンスレポートとしてご紹介していきましょう。
走行距離は65,000Km。
今回は基本的な油脂系の交換とヒーターコアなどの交換を行います。エンジンオイルの交換。
作業の前にフラッシング剤を注入してエンジン内部に堆積してしているスラッジやカーボンの汚れを落とすのですが、
フラッシング剤には再付着防止効果もあるので、落とした汚れの再付着を防止し新しいオイルの再汚染を防ぎます。
フラッシング作業はエンジンオイル交換の項目に含まれているので、定期的なオイル交換を怠っていた方や
エンジン内部の汚れが気になる方にはおすすめの作業です。
継続的に使用しているとカーボンワニス汚れの付着など非常に少なく、当社では長年愛用させてもらっています。10分~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部に浸透させて汚れを落してから排出を行い
同時に廃油に異常な汚れや金属片等が含まれていないか確認し、エンジン内部の状態を探ります。
排出には時間をかけてエンジン内部に古いオイルを残さない様にしずくが垂れなくなるまで行う事が大切です。
オイルエレメントの交換。
基本的にフラッシングを行った際は必ずオイルエレメントの交換が必要です。
オイルエレメントはエンジンオイルが吸着したオイルを濾過する事で綺麗な状態にしてエンジンへ戻しているのですが
使用していればオイルエレメントも汚れてしまう為、定期的に交換しなければなりません。
交換を怠っているとオイルエレメントはスラッジ汚れの目詰まりでオイルの流入量の減少を防ぐ為に
濾過を行わずに汚れたオイルをバイパス経路を介して循環させるので、
交換時期を過ぎたまま交換しないでいると、エンジンに悪影響を及ぼすだけでなく、
ガスケット等にもダメージを与える為要注意。
新しいエンジンオイルの再汚染を防ぎ、オイルの性能を発揮させる為にも
新しいオイルには新しいオイルエレメントの使用をおすすめしています。
古いエンジンオイルの排出を終えたらオイルエレメントを装着し、
規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
ヒーターコアの交換。室内がLLC特有の甘い匂いが漂っていた為、チェックしたところ
ヒーターコアからの漏れが見られたので交換です。
ヒーターコアへアクセスする為にセンターコンソールを外します。
センターコンソールを取り外したら、隠れている配線に劣化や断裂等が無いかも確認。中央のパイプに繋がっているパーツがヒーターコアなのですが、
接続されている箇所のOリングの劣化やコアと樹脂部分の連結部の劣化によって漏れる事が多いですね。
カーペットが一瞬で冷却水に浸かってしまうような漏れ方は今まで数回しか見たことはありませんが
そうなると、カーペットも全て一度取り外し、完全乾燥させる必要がありますので
少しでも室内に冷却水特有の甘い匂いが漂っていたら注意が必要です。
ヒーターコアを取り外した状態。
ケース内部に冷却水が漏れた形跡や漏れて固まった汚れ等がないか確認を行ってケース内部を綺麗にしておきます。
カビの温床や異臭の元にもなりますので、良く除菌しておきましょう。
新旧のヒーターコア、ヒーターバルブ。
新しいヒーターコア、ヒーターバルブを装着して交換作業が完了。専用の機械を使用して冷却水ラインのフラッシングを行い、
冷却ラインで発生した錆や水垢汚れ等を圧送させて車外へ排出させます。
ヒーターコアなどの交換時は冷却経路のエアが抜けにくいのですが、
当社の施工方法であれば、エア噛みもほぼなく、冷却経路内の冷却水も全て車外に排出可能です。
ブレーキフルードの交換。
専用の機械を使用して古いブレーキフルードを圧送させて内部で発生した錆や水垢と共に車外へ排出させます。
ブレーキフルードはブレーキシステムを作動させる油圧に使用されているのですが、吸湿性が高く劣化が進むと
徐々に水分を吸収してしまう為、錆を発生させたり、沸点が低下してブレーキング時の発熱で沸騰する事によって
ブレーキラインに気泡を発生させ油圧が伝わらなくなり、ペダルを踏んでもブレーキが作動しなくなる
ベーパーロック現象を発生させる可能性が高くなります
新品のブレーキフルードには防錆効果や酸化防止剤が添加されているのですが、
経年で徐々に効果が薄れてしまう為、通常は車検の際に交換するケースが多いのですが
交換をせずに車輌を使用していると更に劣化が進行し、
他人を巻き込む大きな事故やトラブルが発生する確率が高くなるので、
ブレーキフルードの管理には十分注意して下さい。
排出された古いフルードのチェックを行って異常な汚れや錆等が含まれていないか確認を行います。4輪全て作業を行って排出されたブレーキフルードに異常な汚れや錆が見つかれば、
原因を突き止める為にブレーキシステム全体の大掛かりな調査が必要になる事があります。交換後のブレーキフルードは無色透明で劣化が進むと
徐々に色が変わり赤味を帯びて紅茶色になって徐々に黒味を帯びてきます。
ご自身でもリザーブタンク内の色の変化で劣化具合を確認する事が可能なので、
定期的に確認して劣化消耗具合を把握しておくと良いでしょう。
交換したばかりなのに急激に色の変化や濁り方が早い場合は、
ブレーキシステムに問題を抱えているケースなども考えられるので
状態が酷くなる前に掛かりつけの工場へ相談して下さい。
車検に備えてエンジンルーム・下廻りを綺麗にスチーム洗浄。最終のテストランを行って修理箇所やその他に問題が無いかの確認を行って、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。
テストランでは現行車と比較すれば流石にE30M3だとしてもパワー不足は否めなかったのですが、
発揮される荒々しさをドライバーがコントロールしていく楽しさは、
レースに勝つ為に開発された車である事を体感させてくれました。
大きく張り出したオーバーフェンダーや大型のウィングが注目を集めて今でも非常に人気が高い理由が判りますね。
後日、オーナーへ車検証・24ヶ月点検記録簿・車検ステッカー・定期点検ステッカーをお渡しし、
今後のメンテナンスで気になる点等を伝えて納車となります。
今回は福島のオーナーからのオーダーでしたので、納車は福島まで積載車に乗せて運びました。
納車時は基本的にご来店頂いているのですが、多忙な方や納車スケジュールが合わない方等は、
オーナーとスケジュールを調整して指定場所へ納車する事も可能です。
今回のケースの様に遠方のオーナーで入庫や納車に来店する事が難しかったり、
故障等で自走出来ない場合でも、状況を説明して頂ければ臨機応変に対応する事が可能ですので、
日本全国、遠方でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。
2019年10月12日