【E46 M3 SMGⅡ】24ヶ月法定点検&車検整備【117,000Km】
本日2本目をUPです。時間が取れる時は一気にUPしていきます。
今回のメンテナンスレポートはE46 M3 SMGⅡの24ヶ月法定点検と車検整備をお届けします。走行距離は117,000Km。
2006年に生産を終えたE46 M3ですが10年以上が経過しているのにも関わらず、まだまだ人気が高いですね。
先日はE46 M3だけで5台の同時入庫があったりと大事にされている方が多いです。
今回は基本的な整備の他にエンジンオイル漏れ・デフオイル漏れ・ブレーキ・足廻り等々の作業を行います。まずはスパークプラグの交換。
テストラン時に感じた加速不足や走行距離等を考慮してスパークプラグを点検・交換を行います。。
スパークプラグにアクセスする為にエンジンカバーを取り外します。カバーを外すとイグニッションコイルが見えるのでコネクターを外してから
イグニッションコイルを引き抜きスパークプラグを取り外します。 新旧のスパークプラグ。
交換はスパークプラグの摩耗具合を見て判断するのですが、
取り外したスパークプラグは電極が消耗して要交換の状態。
昔の車輌はスパークプラグへのアクセスが非常に簡単でご自身で確認や交換する方もいましたが、
取り外す手順等が複雑になったり、特殊工具が無いと外せない等の理由で
ご自身で確認する方は少なくなりましたね。
特にハイパフォーマンスなエンジンを搭載しているモデルはポテンシャルを維持する為に
長寿命のスパークプラグを使用していたとしても、
プラグホールガスケットの劣化でオイル漏れ等の不具合を起こす可能性も有るので
定期的な点検を行って状態を確認しておく事が大切です。下廻りを確認しているとオイル染みを発見。
原因を探っていくと…エンジンブロック横に付いているコンスタントプレッシャーバルブからのオイル漏れでした。新旧のコンスタントプレッシャーバルブ。
定番のエンジンオイル漏れの箇所で新旧見比べると判るのですが、装着しているOリングが平らに潰れています。
プレシャーバルブに付いているOリングが経年劣化で固くなり弾力性が無くなって
潰れてしまうと密着性が薄れてしまう為、徐々にエンジンオイルが漏れ出してしまいます。
Oリングだけの交換でよいのでは…?と思われがちですが、こちらのパーツはASSY供給なのでASSY交換になります。
入庫した際にこの箇所からオイル漏れしている車輌が多く、漏れたオイルをアンダーカバーが受け止めてしまうので
気付かないまま走行しているケースがほとんどですね。
デファレンシャルサードシールからのオイル漏れ修理とデフオイルの交換。
作業の前にデフオイルを排出し、ドライブシャフトを取り外します。
ドライブシャフトを外しサイドフランジにアクセスできるようになりました。
アウトプットドライブフランジに付いているデフサイドシーリングとOリングを交換。新旧のデフサイドシーリングとOリング。
サイドフランジは状態を確認し、オイル汚れを綺麗に洗浄しておきます。デフサイドシーリングはサイドフランジに圧入されているのでプレス機を使用して丁寧に交換し、
Oリングは見た目に問題が無くても劣化は確実に進行しているので、再使用はせずに同時に新品へ交換して下さい。アウトプットドライブフランジにデフサイドシーリング、Oリングを装着し車体へ戻します。アウトプットドライブフランジを装着。フランジを元に戻し、逆側も同様に作業を行います。反対側も同様にデフサイドシーリングとOリングの交換を行います。デフドレンボルトと新旧のワッシャ。
ワッシャは自身が潰れて密着度を高めているので一度使用した物は再使用出来ません。
見た目に問題が無いからと再使用してしまうと確実にオイル漏れに繋がるので要注意。左右の作業が完了したらドライブシャフトを元に戻し、
規定量のデフオイルを注入してデフオイル漏れ修理とデフオイルの交換が完了。
フューエルフィルターを交換。
交換する前に乗り換えてしまう等で存在自体を知らない方が多いフィルターのひとつですが
M3のように燃圧が高めに設定されているモデルでは重要な消耗部品になります。
外したフューエルフィルター内部のガソリンを排出すると除去された細かい汚れが出て来ました。
ガソリンの状態をみると、これでもまだマシな方で、酷いケースになると真っ黒になったガソリンが排出されるので
E46モデルをお乗りの方で、交換した記憶が無い・・・という方は一度チェックされた方が良いでしょう。新旧のフューエルフィルター。
フューエルフィルターの交換が完了。他店でブレーキローターを交換されたそうなのですが、ブレーキパッドは未交換。
ブレーキパッドとのアタリが悪いのが一目瞭然ですね。面取りもしない、面研もしないと
こうなってしまうよ。という悪い見本です。
これではパッド、ローター共に偏摩耗や歪みが将来的に出てしてしまう可能性大で
ブレーキ時にジャダーが発生して正常なブレーキ操作が困難になってしまう事も考えられるので非常に危険です。歪みが出ていないか計測し、錆を落としながら全体に面研磨を行って表面をならしていきます。取り外したブレーキパッド(前輪・後輪)計測しながら軽く面研磨を行って表面を綺麗に整えておきます。ブレーキパッドの面研磨が完了。ブレーキパッドを元に戻し、テストランの際にブレーキの摺り合わせを行い、アタリ面を確認していきます。車高調が装着されており、ちょっと車高が低目だった事もあってオーナーから
純正の高さへセッティングを変更して欲しいとの事で車高調整していきます。フェンダーアーチ頂点からホイールリムまでの純正の数値を元にセッティングを行います。リアから・・・何度か取り外し調整を行っていきます。
スプリングロックシートを上下させる事でセッティングの変更が可能なので、純正の値になるまで車高を調整。4輪ホイールアライメント調整。
車高のセッティングを行うとホイールアライメントが変わってしまう為、
ホイールアライメントの再調整が必要になります。
ホイールアライメントはタイヤの摩耗や空気圧、足廻りのブッシュパーツの劣化等によっても変化してしまう為、
現在の車輌の状態を把握しながら調整を行う事が大切です。
経験と知識が豊富なスタッフがメーカー純正の数値を元にテストランを繰り返し、
その車輌に最適な数値を導き出していきます。最後にSMGのハイドロリックオイルがかなり汚れていたので交換を行います。タンク上部からシリンジでオイルを抜いて見ると、新品は透明な緑色なのですが、
画像の様に黒味を帯びて汚れているのが確認出来ます。オイルはONLY PENTOSIN CHF 11Sとタンクに記載されているハイドロリックオイルを使用。
ちなみにこのオイルはパワステオイルとして使用されておりグレードの違いの商品もある為、
ハイドロリックオイルの交換や補充には他社製やグレードの違いに注意し、必ず指定のオイルを使用して下さい。車検に備えてエンジン部のオイル漏れ跡や下廻りの汚れ等をスチーム洗浄。漏れたオイルは画像の様にアンダーカバーが受け止めてしまうので、
浸み出す程度のオイル漏れでは非常に気付きにくく、
気付いた時にはかなり酷いオイル漏れになっていた等のケースがあるので、
定期点検やオイル交換の際には状態の確認が必要です。スチーム洗浄を行って綺麗な状態にしてから車体へ装着します。最終のテストランを行って作業箇所やブレーキの利きの確認、
ブレーキの摺り合わせ等を行ってその他に違和感や不具合が無い事を確認し
最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。車検を取得して帰庫する際も各部のチェックを行いながら走行したのですが
足廻りを純正の高さに戻した事で乗り心地も安定し、SMGⅡの変速や操作感も非常にスムーズで、
M3らしいパワフルなドライビングを楽しめました。車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーをオーナーへお渡しして、
今後のメンテナンスの注意点等を伝えて納車となりました。
登場から10年を超えるモデルなので10万kmを超えている車輌が多く見られてきましたね。
メンテナンスの重要性が非常に高くなる時期なのでお乗りの方は注意が必要でしょう。
定期的にメンテナンスを行っていれば経年や走行距離に関係無く、故障や不具合を軽減させる事は可能なので
掛かりつけの工場と相談しながらご自身の車輌の状態を把握して、
長期のメンテナンスプランを立てて管理しておくと安心ですね。
2018年10月29日