【E28 528e】24ヶ月法定点検&車検整備【160,000Km】
9月はおかげさまで車検・修理入庫も多く、あっという間に月半ば・・・といったところです。
サクサク進めていきましょう~。と言いたいところですが、中身の濃い整備が多いので
ジックリと慎重に作業を進めております。
本日のメンテナンスレポートはE28 528eの24ヶ月法定点検と車検整備をお伝えしていきましょう。
E28 528eは5シリーズの第2世代モデルとして1982年~1988年まで生産され、
1981年に日本法人として設立したBMWジャパンが輸入販売を始めたモデルで
eの文字はイータエンジンを搭載している事を表しています。
こちらの528は前回の車検も当社で受けられており、そこから2年どういった箇所の整備が必要なのかを
点検しながら作業を進めていきましょう。
まずはタイロッド廻り。テストランを行うと明らかに不安定なステアリングの操作感や
切り返しでの異音が気になった為、リフトアップしてステアリングに関連するパーツを点検してみると…
タイロッドエンドにガタが出ていて交換が必要な状態でした。
タイロッドエンドプーラーを使用してセンタータイロッド、タイロッドエンドを外します。センタータイロッドとの接続部はブーツが破れてグリスが抜けてしまっているので
内部のベアリングにもダメージ出てガタついています。
ガタつきが無ければブーツの交換で済むケースもあるのですが、
ガタが出ている事と経年等も考慮してタイロッド全体のASSY交換を行います。新旧のセンタータイロッド・タイロッドエンド。新品のセンタータイロッド・タイロッドエンドを装着し、交換作業が完了。バッテリーの電圧が低く停止時電圧11V程度だったのでバッテリーを交換。新旧のバッテリー。
VARTA社のバッテリーへ交換。
車の使用頻度が少なかったり、渋滞地の走行、電気消耗の激しい電装品の装着等の使用方法により
バッテリーへの負担は変化する為、定期点検の際に電圧の状態を確認しておく事が大切です。
バッテリーは一度でもバッテリー上がりをしてしまうと確実に寿命は短くなってしまうので
放電過多になったバッテリーは要交換ですね。
その他、オルタネーター等のトラブルで発電不足となるケースでは
バッテリーに負担を掛ける事で寿命を短くするだけでなく、
充電では回復せずに交換が必要になる事もあるので注意が必要です。
新しいバッテリーを装着して交換が完了。
バッテリーは車内灯の消し忘れ等のドライバー側のミス、チョイノリや渋滞走行等の充電不足、
バッテリーの寿命等で突然トラブルが発生する事が多く、
電気系統がダウンしてしまうと車は走行出来無くなるだけでなく、夜間や雨天の走行中なら更に危険な状態になる為、定期的なメンテナンスと寿命を見極めて不具合が出る前に交換する事が大切です。新旧のスパークプラグ。
電極の消耗や焼け具合を確認した所、交換時期に来ていたので全てのスパークプラグを交換します。新旧で見比べると電極の消耗具合がお判りになると思います。
電極が消耗してしまうとミスファイヤが多くなって馬力や燃費の低下、
不完全燃焼により排気システムにも悪影響を及ぼす為、
定期的に焼け具合を確認し、状態により多少早目でも交換してしまった方が
長く使用するよりもメリットが多いので多少でも気になる様であれば交換しておいた方が賢明です。エンジンオイルの交換。
古いオイルを排出する前にフラッシング剤を注入してエンジン内部で発生した
スラッジやカーボンの汚れを落とし易くします。
劣化したエンジンオイルを長期に使用すると内部に汚れが堆積してしまい、
フラッシングだけでは取り除く事が出来なってエンジンのオーバーホールや酷いケースでは
エンジンの交換が必要になる事があるので注意が必要です。当社で使用しているフラッシング剤はwynn’sのOIL SYSTEM CLEANERで
エンジンオイル交換作業にフラッシングもセットで含まれています。
このフラッシング剤は金属コンディショナーの効果で洗浄時の摩擦を防ぎ、
エンジン内部の汚れを素早く落とすだけでなく再付着防止機能で
新しいオイルの再汚染を防いでくれるので当社では定番のフラッシング剤になります。10分から15分程アイドリングを行いフラッシング剤を浸透させて汚れを落とした後
古いオイルと共に一気に排出します。
出来るだけエンジン内部に古いオイルを残さない様にする為、排出には時間を掛けて雫が垂れなくなるまで行い、
廃油も同時にチェックを行って金属片や異常な汚れが含まれて無いか確認しエンジン内部の状態を探ります。新旧のオイルエレメント。
古いエンジンオイルを排出後に新品のオイルエレメントを装着し
規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。オイル交換後は必ずインスペクションのリセットを行います。
インスペクションのリセットが完了。
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し、
冷却経路内に堆積した錆や水垢を落として古い冷却水と共に車外へ圧送させます。
古い冷却水の排出を終えたら、新しい冷却水を注入しエア抜きを行って交換作業が完了。
冷却水のトラブルは比較的多く、少量が漏れ出しているケースや
樹脂パーツが突然破裂して一気に噴き出すケース等があるのですが、
年に1回、各部の点検とこの様な作業を行っておくだけで飛躍的にトラブルを軽減する事が出来るのでお勧めです。
新旧問わず今まで冷却水のトラブルに悩まされている方は、
メンテナンスの方法や交換時期等を見直してみる事も大切です。全ての作業を終えたらテストランで修理箇所やその他に問題が無いか最終チェックを行って、
特に問題が無ければ最寄りの陸運支局へ車輌を持ち込んで車検を取得します。車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーを後日オーナーへ渡して納車となります。
経年車は言葉通り経年劣化による影響が出やすく多少でも違和感を感じたら早急な対応が必要になります。
一部の簡単な修理で終わる作業が異常を放置しただけで急速に被害が拡大してしまうケースもあり、
定期的なメンテナンスを行って経年を考慮して不具合が無くても状態によりパーツを事前に交換しておく事で
トラブルの発生率を下げる事も大切です。
経年車をより長く最高な状態で維持していく為にも、ご自身の車輌のウィークポイントを把握し、
主治医となる整備工場と相談しながら、長期のメンテナンスプランを立てて車輌を管理していく事が大切です。
2018年09月17日