【法定24ヶ月点検】BMW E30 M3【納車前整備】
先月売約となったE30 M3の納車整備をご紹介。
各部のオイル交換や冷却水の交換は当然行いますが
今回はその他の作業をピックアップしてお伝えしようと思います。
このM3は当社で十年以上管理させていただいている車輛で
エンジンのオーバーホール等のレストア作業からブレーキライトの球交換まで
触った箇所は数えきれない程ですが、フルレストアを施している車ではないので
プロの目から見て気になる箇所は納車前に交換や修理を行い、
新オーナーにM3の面白さを堪能していただこうというわけです。 まずはカムカバーからのオイル漏れ修理。
M3では定番となる修理になりますが、少しでも漏れが確認出来たら交換が望ましいでしょう。
カムカバーの結晶塗装は当社で数年前に実施しておりますが、剥がれも無く綺麗な状態を保っています。 カムカバーを外しガスケットを交換するわけですが
そのままガスケットを入れ替えるのではなく
カムに異常な傷が無いか、カムホルダーに緩みが無いか等の
カムカバーを外した時にしか確認できない項目にチェックをしていく事も大事になります。カムカバー新旧。
カバーガスケットだけでなく、プラグホールガスケットも同時に交換します。 エンジンオイル漏れ修理は完了です。エンジン調整を実施。
E30 M3ではエアフロとインテークスロットルバタフライの開度調整を実施。 作業は非常に繊細です。数ミリの開度変化で良くもなれば悪くもなります。
もちろん悪くなってしまっては意味がないので、メーターの数値と長年M3に携わってきた感覚を頼りに
ベストなセッティングに調整していきます。 調整がベストな状態のM3の吹け上がりは素晴らしいものです。
これは乗った人でないと分からない醍醐味でしょうね。 キャップは再利用できない構造なので新品を取り付け。 マフラーの修理。排気漏れしたままで新オーナーに納車するわけにはいきません。
オリジナルのマフラーはスチール製の為、このように錆が出ている車も多くみられます。
内部に問題があるのであれば、交換という選択肢しかないわけですが
サイレンサーに問題がなければ、綺麗に修理が可能です。綺麗に錆を落とし、溶接で補強していきます。
錆によって鉄板が薄くなっているので、電圧を上げすぎたり
少しでも気を抜いて溶接棒を当てていると、問題の無い箇所も一瞬で穴が開きますので要注意。 溶接と熱硬化パテでしっかりと排気漏れを止めた後
錆の発生を抑える防錆塗料を使用し仕上げていきます。 これでしばらくは大丈夫でしょう。
ブレーキ廻りのチェック。
車検時や納車前には必ず4輪を外し、ブレーキ廻りをチェックする事は
車種問わず大事な事ですね。
『しっかりと止まる。』という車の基本動作が出来ていなければ
どんなに爽快に走れようが、ただの凶器ですし公道を走る資格はありません。 定期点検記録簿にはパッドの有無やローターやキャリパーの摩耗にチェックを入れるわけですが
それとは別にローターの歪み数値等も控えておき、
どの程度の走行距離でローターやパッドの交換が必要になるかを予め把握しておくようにしています。 ダッシュボードの割れ。
年代的に良く見られる症状のひとつですね。
パーマラックス等を使用して、艶出し保護をしていれば防ぐことも出来ます。 こういったダッシュボードの割れも古いからとか、
すでにパーツが廃番になっているから仕方がない・・・
と言い切ってしまったらM3専門店の看板を掲げる資格はないでしょう。
オーナーが気にしているのであれば、解決する為に最善の手を尽くしていきます。当社でストックしていたダッシュボードと交換します。
割れてしまっているダッシュボードは捨てるような事はせずに、しっかりとリペアしストックしておきます。 梱包していたので、そこまで汚れは目立ちませんでしたが
エアコンダクト等の細かいパーツを取り外し洗浄します。 エアコンダクト部分のスポンジテープは新しくしていき、風が逃げないようにしていきます。 普段チェックする事の出来ない配線も、
こういった機会に被覆の硬化やヒビ、コネクター部の腐食が無いかをチェックしていきます。問題が無い事を確認してアセテートテープで配線をまとめていきます。 こういった箇所も こまかい作業ですが、こういった作業が原因の分かりづらい電装トラブル等を防ぐ
予防整備の一環になります。白くなってしまったスイッチを・・・ 機能的に問題があるわけではありませんが・・・
気になったので。 納車前のボディリフレッシュ。 コーションステッカー類を新品に交換します。
ちなみにE30 M3のコーションステッカーは全てストックしています。 当時のBMW JAPANステッカーも新品を貼り直し。
とにかくオリジナルにこだわり仕上げていきました。
当社が設立されて20年、創業当初からE30 M3に携わってきた事もあり
こういったデッドストックパーツが活躍してくれる日がやってきましたね。 車検証、定期点検記録簿、4輪アライメントデータ、点検ステッカー
当社での販売車輛はどのような作業をしたかが一目で分かるように納車時にオーナーに手渡しております。
もちろん作業写真もしっかりと撮影しておりますので、写真データが欲しい方もお気軽に申し付け下さいね。
2014年05月27日