【2002Turbo】ヒーター・エンジン不調修理【E10】
今回はヒーターのオーバーホールとエンジンが不調との事で2002Turboが入庫です。
当時は運輸省からリベット留めの認可が下りなかったオーバーフェンダーを
パテ埋めし装着されたバルコム産のディーラー車になります。
今回はヒーターとエンジン不調との事で入庫。それぞれチェックしながら作業を進めていきましょう。まずはヒーターから開始します。
ブロアファンも動かない状態だったので、まずはヒーターのパワーサプライを調べましたが
全てのラインが正常だったので、ヒューズ切れや断線などの電源トラブルの可能性は無し・・・
ブロアファンモーター本体・レジスターのなどの不具合と判断し、ヒーターユニットを取り外していきます。今の車に比べればスペースもあり、作業性は良いですが
40年という歳月は、どんな素材でも疲弊させるには十分な期間です。
各部品や配線の硬化や腐食、割れなど油断するとあっという間に粉々になる事もありますので
細心の注意を払いながら作業を進めていき、手直しが必要であろう箇所はしっかりと把握しつつ作業を進めていきます。
ヒーターユニットを外します。取り外したオリジナルのヒーターユニット。
おそらく取り外されたのは初めてですね。
過去、どこかのショップで外装ペイントが行われているようですが、その際も外されていない模様です。
ブロアモーターに通電させましたが、ウンともスンとも言わないので、新品に交換しましょう。ヒーターバルブも動きが非常に悪いので交換。ヒーターボックスを分解しないとレジスターが現れないという、何とも今では考えられない構造です。
オリジナルのヒーターコア。
大丈夫かな・・・と思いつつ見てみると、微妙に冷却水漏れしているので交換しましょう。ファンブレードはサンドブラストで錆を落とし粉体塗装で仕上げていきましょう。ヒーターボックスの内外の汚れを落とし、PP塗装をしておきます。塗装後のヒーターボックス。
新旧のヒーターコア。
ヒーターボックスに新しいヒーターコア、レジスターを装着。ブロアモーターからレジスターまでの配線は新しく作成。新旧のブロアモーター。
ファンブレードをブロアモーターへ装着。装着はタップダイスでネジ山を切ってナット止め。ブロアモーター装着時にヒーターボックスへのファンブレードの干渉は無いか確認。通電させ動作に問題が無いかを確認します。
ボディとの接触面は異音など出ないように。新しいヒーターバルブを装着。
ホースやホースクランプも交換。バルブ開閉時に取り付け部分にはかなり負担がかかるので、ベース部分が割れたりしないように一工夫しています。しっかりとエア抜きをしてヒーターの修理は完了です。
エンジン不調の原因は、プラグコードの内部断線が原因でした。
当然、プラグコードは交換しますが、あわせてディスビローターやスパークプラグを交換し
エンジンの調整をすれば完調に戻りそうです。ディスビローターを交換。
ディスビローターはリミッター付のタイプが装着されていましたが、このタイプだと高回転時に頭打ちしてしまい
気持ち良くレブリミットまでエンジンが回ってくれませんので、リミッター無しのローターに交換します。
新旧のディストリビューターキャップ、プラグコード。
装着時エキマニに近いので、マルニシリーズはプラグコードのトラブルは多い印象です。
燃圧を確認しながら、エンジンの調整をしていきます。
クーゲルフィッシャーの調整。排気ガステスター・燃圧などを見ながら、調整⇒テストラン⇒調整を何度か繰り返し行い
入庫当初はちょっとした上り坂も登れない程、吹け上がりも悪かったエンジンがターボ本来の性能を取り戻しました。
安定したアイドリングでターボモデルならではの心地良い加速感を取り戻し、ヒーターも問題無く作動する事で
今まで寒かった車内も暖かい状態で冬の寒い環境でも快適な走行を楽しめました。
今回はヒーターのオーバーホールやエンジンの調整を行ったのですが、経年劣化によってパーツが劣化する等で
様々な症状を発生させるので、特に経年車は定期的なメンテナンスが重要になってきます。
安心した走行を楽しむ為にも長期のメンテナンスプランを立てて
各パーツの劣化消耗のチェックや調整をすると良いでしょう。
2018年02月18日