【E46 M3】法定24ヶ月点検&納車整備【73,000Km】
本日のメンテナンスレポートは売約となったE46 M3の法定24ヶ月点検整備と納車整備の内容をお伝えします。
走行距離は73,000Km。基本的な油脂系のメンテナンスの他に
各部をチェックして不具合が見つかれば整備を行い、新オーナーに納車となります。
まずはエンジンオイル交換を実施。
M3はエンジンオイルの交換頻度によって、随分とコンディションが変わってくるエンジンです。
街中を流す程度であれば感じる事も少ないでしょうが、オイル管理がおざなりなエンジンだと
高回転時・高速走行時でのパフォーマンスは低下している事も多いですね。
3,000~5,000Kmで清浄・潤滑・防錆作用の優れたオイル交換をチョイスし、
距離を乗らない場合でも半年を目安に交換した方が良いでしょう。
10~15分程アイドリングを行ってフラッシング剤をエンジン内部に浸透させて
内部の汚れを集約した後にエンジンオイルを排出。
集約された汚れと共にオイルが排出されるのですが、同時に廃油のチェックを行って
異常な金属片が混ざってないかなどエンジン内部の状態を探っていく事も大事な作業のひとつです。
排出はしずくが垂れなくなるまで、ある程度時間を掛けて行い、
出来るだけエンジン内部に汚れたオイルを残さない事が大切ですね。プレッシャーバルブからのオイル漏れが見つかったので、バルブを交換します。
納車されてすぐにオイル漏れがある・・・新オーナーからすればあまり気分の良いものではないですね。
僅かな滲み程度でもしっかりと整備をして納車となります。
新旧のオイルエレメント。
装着に使用するパッキンやガスケット等は再使用不可なので全て新しいものへ交換。オイルエレメントカバーに付着したオイル汚れも綺麗にしておきます。
新旧のプレッシャーバルブ。
M3モデルでは消耗品として定期的な交換が必要になるパーツのひとつです。プレッシャーバルブからのオイル漏れは確認しづらい位置にある為
気にかけて定期的に確認した方が良いでしょう。
今回チョイスしたオイルはFUCHS社のTITAN SuperSyn 5w-50。
潤滑等の性能は勿論なのですが、汚れの集約性も高くM3ユーザーにお勧めの高性能オイルです。
6.5L の規定量を注入してエンジンオイル交換が完了。
トランスミッションオイルの交換。
小気味よく入る6速MTを駆使して走るM3は非常に魅力的で
トランスミッションオイルの劣化には注意したい所なのですね。
排出したオイルは想定していたよりも汚れは少なく良い状態をキープしていましたが
新オーナーの走り方や走行距離によってどの程度の頻度で交換が必要かなどを
把握する為、当社では納車整備時には汚れの有無に関係無く、全てのオイルや冷却水を交換しています。
規定量のトランスミッションオイルを注入して交換が完了。FUCHS 5SPEED 75W-90デフサイドシーリングからのオイル漏れを発見。こちらも当然整備し納車します。
ドライブシャフトを外してデフサイドフランジを外していきます。スプライン部に欠けや異常な摩耗が無いか確認しておきます。新品のデフサイドシーリングとOリング。古いオイルシールをサイドフランジから外し、新しいオイルシールをプレス機で圧入。デファレンシャルオイルの交換。
かなり汚れていたのでもうちょっと早めに交換した方が良いでしょう。
デフオイルの汚れは思ったより早く進みますので、定期的にフィラーボルトを外して
チェックするのが良いかも知れません。
規定量のデフオイルを注入してデファレンシャルオイルの交換が完了。FUCHS HLS90 95w-140 LSD対応パワステオイルの交換。
パワーステアリングはエンジンの出力でポンプを作動させた油圧を利用して操舵力の補助をしており
他のオイルと同様に徐々に劣化する為交換が必要です。
交換を怠るとパワステポンプやギアボックスに影響を与え、オイル漏れの原因にもなるので要注意。
劣化はエンジンルームのパワステリザーバータンクの蓋を開ければ
自身でも確認可能なので定期的に状態を見ておくと良いでしょう。
専用の機械を使用してフラッシングを行いパワステポンプやギアボックス、
パワステラインに堆積したスラッジ汚れ等を古いオイルと共に車外へ圧送。交換後のパワステオイルの状態は画像の様に透明な赤色になるのですが、少しでもスラッジ等の汚れが残っていると
再汚染されてこの様な透明度にはならない為、単にタンク内のオイルを交換するのではなく
施工方法にも一工夫し、ギアボックスやポンプ内の古いオイルを排出させる事が大切です。
FUCHS ATF4000(DⅢ)
ブレーキフルードの交換。
ブレーキフルードは吸湿性が高く、劣化していくと徐々に水分を含んで紅茶色へ変化していくので、
変色していたら交換時期と考えて下さい。吸湿した水分はブレーキシステムに錆や水垢等発生させ、
ブレーキラインを詰まらせる原因にもなるので要注意ですね。専用の機械を使用してブレーキラインに圧力を掛けて内部で発生した錆や水垢汚れ等を
古いフルードと共に車外へ圧送。圧送された古いフルードに錆や異常な汚れが無いか確認を行い、もし異常が見つかれば原因をつきとめる為、
ブレーキシステム全体をチェックする事になり大掛かりな作業が必要です。しっかりとエア抜きを行ってブレーキフルードの交換が完了。
交換後のブレーキフルードは画像の様に無色透明なので自身でも劣化具合を定期的に確認しておくと良いでしょう。
OMV Racing DOT4
冷却水の交換。
フラッシング剤を注入し、内部で発生した水垢や錆等の汚れを浮かせ古い冷却水と共に車外へ圧送。
この様な施工をする事で冷却水のトラブルの回避率は格段にUPするので年に1度は行う事をおすすめしています。
スパークプラグの交換。
新旧のスパークプラグ。電極の消耗度合いやカーボンの付着など総合的に見て交換を判断していきます。
エアコンのマイクロフィルターを交換。
エアコン操作の際に不快な匂いがする様ならカビが発生しているケースが多く交換が必要なのですが、
フィルターを交換しても匂いが取れない場合はエバポレーターの状態を確認し
状態により洗浄や交換をした方が良いでしょう。新旧のエアコンマイクロフィルター。
走行する環境にも左右されますが塵や埃、花粉や虫等を取り除いて空気を取り入れている為、
想像以上に汚れている事が多く、虫の死骸等が付着したフィルターを通った空気を吸っていたと思うと
ゾッとするケースもあるので年に1回は状態を確認して交換した方が良いでしょう。フューエルフィルターの交換。
フューエルフィルターは給油の際に侵入した雨水、塵や埃、結露によって発生した水分、
水分の影響で発生した錆等を取り除く役割を担っています。
フィルターなので使用していれば目詰まりを起こしてエンジンの掛かりが悪くなったりノッキング等、
車に悪影響を及ぼすので中古で購入した際や一度も交換した事が無い方は注意が必要です。
新旧のフューエルフィルター。
見た目だけでは劣化の判断は出来ないので交換履歴の有無や経年、走行距離等を目安に交換。エアフィルターの交換。
交換は簡単でエアフィルターの入っているボックスを開けて中のフィルターを交換するだけなので
御自身でも交換が可能なのですが、ボックス内部は思ったより汚れている事が多く、
必ずフィルターケースを清掃してから装着して下さい。
新旧のエアフィルター。
4輪アライメントの測定と調整を実施。
ブッシュやサスペンションの劣化、タイヤの消耗等で車の挙動は徐々に変わってきます。
既に10年以上が経過しているE46M3も大きな変化に注意が必要な時期に来ているのでメーカーの数値をベースにし
テストランを何度も繰り返しながら現在の状態に最適な数値を導き出していきます。最初に測定し、調整⇒テストラン⇒再調整⇒テストランとなる事が多いので
わりと時間のかかる作業のひとつです。ご来店いただいたその場での作業は行なっていないので
ご予約を頂いてのお預かり作業となります。
車検に備えて下廻りをスチーム洗浄。
全ての作業を終えたら最後にテストランを行って修理箇所やその他に不具合や問題が無いかを確認し、
陸運支局へ車輌を持ち込み車検を取得。
後日、オーナーへ車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカー、
4輪アライメントデータ等を渡して納車となります。
2018年01月17日