【E36 328i】24ヶ月法定点検&車検整備【66,000Km】
初めてご来店のお客様のE36 328iが24ヶ月法定点検&車検整備の為入庫です。
ワンオーナー車という事で整備状況や修理履歴等、今までの管理履歴が判る為、複数のオーナーに
使用された車輌と違って各パーツの状態を想定出来るので交換の目安や判断がし易くなります。
早速、基本的な作業を行いながら各パーツの状態を確認し作業を進めます。コントロールアームのボールジョイントのブーツに亀裂を発見。
これはアームAssyでの交換が必要ですね。
エンジンオイルの滲み。
大量に漏れ出している訳では無いのですが放置すると徐々に被害は大きくなるので見過ごす事は出来ません。どこからか冷却水漏れを起こしている様子。
ラジエターに一定の圧力を掛け冷却システムの何処から漏れあるのかを確認。
各部を点検し、今回の作業メニューは・・・
*エンジンオイル漏れ修理
*ファンベルト・エアコンベルト消耗及びテンショナー類交換
*フロントコントロールアームボールジョイントブーツ破れ交換
*冷却水漏れ修理(ラジエター本体より漏れ)
*ATF他オイル類汚れ大交換
*etc,,,
オーナーと打ち合わせし上記作業を実施していきます。それでは早速フロントの足廻りから作業スタートです。
ボールジョイントのブーツが裂けてしまい中が見えている状態。
こうなってしまうと内部のグリスが飛び散り
砂埃等が入り込みボールジョイントの本来の働きは望めません。SSTを使用してロアコントロールアームブッシュ(ロアコンブッシュ)を外します。発進や停止時に一番負担の掛かるブッシュなので摩耗は比較的早く、
ハンドルを取られたり異音がする様になったらブッシュの交換が必要です。新旧のコントロールアーム。
新しいコントロールアームへロアコンブッシュを装着してコントロールアームの交換が完了。新旧のベルト類、プーリー、テンショナー。
発売当時の機械式テンショナーが装着されていたので油圧式に変更。新旧のラジエター。
サイド部分が樹脂製なのでコアとのジョイント部分から漏れる事も多く、このタイプのラジエターを採用している
モデルのウィークポイントのひとつでしょう。コア部もゴミの付着から腐食が始まり、穴が開く事もありますので
定期的に掃除したいところですが、場所が場所なだけになかなか難しいですね・・・
冷却水の交換。
新しいラジエターを装着し、専用の機械を使用して冷却ラインのフラッシングを行います。
フラッシング剤を注入し圧送させ冷却ラインに溜まった錆や水垢等を車外へ古い冷却水と共に排出。
定期的に交換を行う事は冷却ラインを綺麗に保ち、錆や水垢の発生を抑制して詰まり等による水漏れを防ぎます。
最後に規定量の新しい冷却水を入れてエア抜きを行い冷却水の作業が終了。エンジンオイル漏れはカムカバーから。
オイルパンにまで垂れている状況だったので、随分長い期間漏れが続いていた状態だったようです。
カムカバーを取り外していきます。ガスケットを交換。
定期的にエンジンオイルを交換されているようで、カム廻りは綺麗でした。外したカムカバーはオイル汚れ等をスチーム洗浄して綺麗にします。新旧のカムカバーガスケット。
ガスケットは劣化が進むと固くなり弾力性が無くなる事が原因でパーツとの密着性が失われ漏れを発生させます。新旧のラバーシール。カムカバーガスケットは漏れ易い箇所に液体ガスケットも併用して装着。本体側も漏れ易い箇所に液体ガスケットを塗っておきます。古いガスケットを綺麗に取り除いた後に新しいガスケットを装着。
スパークプラグの交換
取り外したプラグは電極摩耗・カーボン付着が酷く交換が必要な状態。古いプラグは黒くカーボンがこびりついた状態でくすぶっていました。
短距離移動や低速走行が多いとプラグに負担を掛けるので要注意です。
この状態では火花が適切に飛ばない為、始動性が悪くなったり本来のパワーを発揮する事が出来ません。
スパークプラグ交換後は始動性の良さに驚かれると思います。エンジンオイル交換。
古いオイルを排出する前にフラッシング剤を注入してエンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを落とします。
使用しているフラッシング剤は素早く浸透して汚れを落とし、保護成分により洗浄の際の摩擦を防止、
再付着防止効果により新しいオイルの再汚染を防ぎます。
新旧のオイルエレメント。パッキン等も新品へ交換。
フラッシング剤の効果で落とされた汚れが吸着して古いエレメントは画像の様に真っ黒な状態になります。
オイルエレメントはオイル交換毎に交換する事をお勧めします。
古いオイルを排出後に新しいオイルエレメントを装着して規定量のエンジンオイルを注入してオイル交換が完了。ATFの交換。当社の交換方法は全量交換です。
ATFの排出は閉店前に行い出来るだけ古いオイルを残さない様に一晩掛けて排出。オイルパンについている磁石に付いたスラッジの状態を確認してAT内部の状況を探ります。磁石を確認すると細かなスラッジが吸着されているだけなので特に内部の不具合は無さそうです。磁石のスラッジを落としオイルパンを洗浄油で綺麗に洗浄。ドレンボルトのワッシャは新しい物に交換。
ワッシャは自身が潰れて密着性を高めているので一度使用した物は再使用出来ません。新旧のATエレメント。
ATエレメントはスラッジの汚れで真っ黒になっています。
オイルパンのガスケット等も新品へ交換。ATエレメントを装着。オイルパンを装着した後にある程度のATFを注入しエンジンをかけながら油面調整を行います。
油温の管理をしながら調整しなければならないのでシビアな作業になります。
テストランを行い、冷えた状態にしてから再度油面調整を行い問題が無ければATFの交換が完了です。
デフオイル交換。
排出後、新しいデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。ブレーキフルードの交換。
専用の機械を使用してフラッシングを行い古いフルードを圧送して
ブレーキラインに溜まった水垢や錆等を車外へ排出します。
ブレーキフルードは吸湿性が非常に高く劣化すると無色透明から徐々に紅茶色へ変化していきます。
劣化した状態のまま使用を続けていると水分を含んだフルードはブレーキの熱で沸騰してしまい、
その際に出来た泡がブレーキの圧力を妨げてしまいブレーキを踏んでも
スカスカとブレーキが掛からないベーパーロック状態を発生させ大きな事故に繋がるので注意が必要です。
排出したブレーキフルードに異常な汚れや錆等が含まれていないか確認。
ブレーキフルードには防錆剤や酸化防止剤等が含まれているのですが、徐々に効果は失われていくので
単純にブレーキフルードの交換だけでなくマスターシリンダーやブレーキラインの状態も把握する事が重要です。
排出したフルードに異常が見つかった際は原因を突き止める為にブレーキシステムの総点検が必要になります。排出を終えたら新しいブレーキフルードを注入しエア抜きを行ってブレーキフルードの交換が完了。
新しいブレーキフルードは無色透明な状態。
ブレーキライン内に古いフルードが残っていると新しいフルードと混ざってしまい劣化が早まるので
完全に古いフルードを排出する事が大切です。4輪アライメントの測定と調整。
タイヤの摩耗や縁石等にぶつけてしまったりする衝撃等でアライメントは徐々にズレてきてしまいます。
調整が正しくないとハンドルを常に切らないと真直ぐに走らなかったり、
ブレーキングやコーナーリングが不安定になり、タイヤの偏摩耗等の症状が出るので
定期的に測定や調整が必要になります。車輌の状態によって同じ車種でもそれぞれ調整の数値は違ってくるので要注意です。
調整はメーカーの基準値を元に何度もテストランをしながら微調整を行いその車輌に
最適な数値を導き出していきます。
全ての作業を終えたら最終チェックとしてテストランを行い修理箇所やその他に問題が無いかを確認します。
今までよりシフトダウンのタイミングも最適になり、もたつき気味だったエンジンも元気を取り戻し
ブレーキングやコーナーリングも安定してまだまだ現役として充分に楽しめる状態になりました。陸運支局へ持ち込み車検を取得。
24ヶ月定期点検記録・車検証・車検ステッカー・定期点検ステッカー・
4輪アライメントデータ等をお渡して納車となりました。
E36 328iは登場してから約20年が経過しており、今回の様に経年劣化で発生するトラブルが多くなるのですが
メンテナンスを怠っている車輌は古い車だけでなく新車であっても同様な症状を発生させます。
その為、定期的なメンテナンスは非常に重要で
しっかりとメンテナンスを行っている車輌はトラブルを起こす頻度も少ないので
古いモデルだとしても安心した走行を楽しめます。
今回の車輌はワンオーナーという事で定期的なメンテナンスをしっかりと行って出来るだけ長く
より良い状態で楽しんで頂きたいですね。
またのご来店をお待ちしております。
2017年07月23日