【ALPINA B3S】24ヶ月法定点検&納車前整備【25,000Km】
売約となったALPINA B3Sの24ヶ月法定点検&納車前整備のレポートになります。
走行距離25,000Kmという事もあり、大きな不具合箇所はありませんが、新オーナーにお渡しするにあたって
各部のオイルや冷却水などを中心に交換を進めていきましょう。エンジンオイル交換。
フラッシング剤を使用してエンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを溶解洗浄します。
またフラッシング剤はエンジン内部に保護被膜を形成し、落した汚れを再付着させない事で新しいオイルの再汚染を防ぎます。
フラッシング剤を使用し通常のオイル交換だけでは落とせない汚れを排出しエンジンを出来るだけクリーンな状態にする事は
エンジンの状態を最適に整え、故障等のトラブルを回避出来るのでエンジンの長寿命や燃費の向上に繋がります。アイドリングは10分~15分程行い、フラッシング剤をエンジン全体へ浸透させ汚れを落とします。
古いオイルは汚れと共に真っ黒な状態で排出されるのですが、エンジン内部に汚れたオイルを出来るだけ残さない様にする為、
排出には時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで行います。
エンジンオイルはエンジンの潤滑以外にも様々な役割を担っているので、交換を怠ると潤滑が失われ
各部に汚れが堆積する等で燃費の悪化や出力の低減、
最悪の場合はオイルがドロドロになって緊急入院なんて事にもなりかねません。
走行距離3,000~5,000㎞毎、もしくは4~6ヶ月毎のどちらか早い方で交換する様にしましょう。新旧のオイルエレメント。
オイルエレメントはエンジンオイルを濾過して汚れを取り除くのですが、
フラッシング剤の効果によって落とされた汚れで真っ黒な状態になります。
装着に使用するパッキンやワッシャは再使用不可なので必ず新品を使用します。オイルエレメントはケース内部の汚れを綺麗に洗浄し、新しいエレメントをセットします。
エレメントケースの汚れは見落としがちなので要注意です。
オイルエレメントの装着が終わったら規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換は完了。今回はYACCO社のGALAXIE GT 10W-60をチョイス。
通常の走行から高速走行まで幅広くカバーし、高回転域まで軽快に小気味よく回す事が出来るので
M3・ALPINAにお乗りの方にかなりご好評の声を頂いているオイルです。パワステオイル交換。
専用の機材を使用してフラッシングを行いパワステポンプやギアボックス内の汚れやスラッジを浮かせて
古いオイルと共に圧送して車外へ排出。
排出後に新しいオイルを注入し、エア抜きを行ってパワステオイルの交換は完了。
パワステオイルはハンドルを操作する役割を担っているだけに非常に重要なのですが、
エンジンオイル程に管理をしている方は少なく汚れたままの車輌が多いので、オイル量や汚れを確認し
出来るだけ車検毎にリフレッシュする事が好ましいですね。
デフオイル交換。
デフ内部にはギアから出たスラッジが多く発生し、そのまま使用しているとギア定期的なオイル交換が必要になります。
デフオイルは粘度が高い為、少し走って油温を高めて粘度を下げてから発生したスラッジと共に一気に排出させる事が大切です。排出が完了したら規定量のデフオイルを注入して交換は完了。
FUCHS HLS90 75W-90
ブレーキフルード交換。
確認は非常に簡単でフルードのタンクの蓋を外して行い、紅茶色に濁っていれば要交換です。
フルードは使用していなくても吸湿性が高く劣化が進行していくので車検毎に交換を行います。
ブレーキフルードは吸湿や経年劣化が進むと沸点が低下していき、含んだ水分がブレーキの熱で泡になった影響で
ブレーキを踏んでも圧力が伝わらないベーパーロック現象を発生させるので注意が必要です。専用の機材を使用して古いフルードを圧送してブレーキラインに溜まった錆や水垢等の汚れを車外へ排出します。排出されたフルードに異常な量の錆や汚れが出ていないか確認。
異常があった場合、ブレーキラインやブレーキシステムを調査し原因を突き止める為に大掛かりな作業が必要になります。
ブレーキフルードには防錆剤や酸化防止剤が添加されているのですが、劣化が進むと効果は薄れるのでブレーキラインや
マスターシリンダー内の状況を把握する事も非常に大切です。交換後のブレーキフルードは無色透明なので劣化による色の変化を見極め、
どれぐらいで交換が必要なのかを把握しておく事も大切です。
OMV Racing DOT4
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシング剤を注入し冷却経路内の錆や水垢を浮かせて車外へ圧送させます。
排出後に新しい冷却水を注入し交換作業は完了。
新旧のエアクリーナーエレメント。比べると汚れ具合が判ります。
車はエンジンに取り込んだ空気と燃料を混合させ、それをピストンで圧縮して出来た燃焼エネルギーを動力として走行しています。
エアクリーナーはエンジンへ綺麗な空気を送る為に取り込んだ空気を濾過する役割を担っているのですが、
汚れてくると濾過機能は衰え、逆に溜まった粉塵や埃等の汚れが
エンジン内へ取り込まれてしまいエンジンの不調を引き起こします。
交換時期は使用環境や走行距離にも左右される為、一概に言えませんが日頃のメンテナンスで汚れ具合を確認し、
自身の走行ではどれぐらいで交換が必要なのか、交換時期を把握する事が大切です。
エアクリーナーエレメントの交換の際に見落としがちなのが、エレメントを装着するボックス内の汚れです。
常に濾過をしている箇所なので汚れが堆積している場合が多く、汚れたボックスに新しいエレメントを装着しても
十分な効果は得られないばかりか、装着したエレメントの汚染を早めたり、元々付着していた汚れがエンジン内へ
混入してしまう事も考えられるので必ずボックス内は清掃してから新しいエレメントを装着します。最後に4輪アライメント調整を行います。
ハンドルを軽く握っていても車が真直ぐに走行出来るのは4輪のタイヤの向きやバランスが適正に調整されているからなのですが、
タイヤの摩耗やサスペンションの劣化、縁石にタイヤをぶつける等で徐々に調整が変化して全体のバランスが崩れてきます。
ハンドルを離すと左右のどちらかに振れたり、振動やタイヤの偏摩耗にも繋がる恐れがあるので調整が必要になります。メーカーの基準値を元にタイヤの摩耗・ブッシュの状態等も考慮しながら
その車輌に最も適した数値になるまで走行を繰り返し調整を行います。
調整は知識と経験を持った熟練のスタッフが作業を行い、ベストな状態に仕上げていきます。全ての作業を終えたら最後にテストランを行い、修理箇所やその他に不具合が出ていないか確認し、
無事愛知へ旅立っていきました。またのご来店をお待ちしております。
2016年12月24日