【E30 325i】24ヶ月法定点検&車検整備【143,000Km】
本日は24ヶ月法定点検&車検整備の為、E30 325iが入庫です。
走行距離は143,000Km、登場から約30年を経過するモデルなので通常の点検も含め
各部の状態も確認をしながら作業を行います。
点検の結果、ブレーキ周辺・ブッシュ・オイル廻りなどポイントを押さえて作業を進め、
二年の間、安全に日常の足として使用出来るように内容をまとめオーナーにメニューをご提案しました。まずはブレーキ廻り。
ローターはモデル毎に違いはありますが、使用基準値が決められているのでマイクロメーターを使用して
パッドが当たる面の外周、中心、内周の厚みを計測し、更にダイアルゲージで歪みの測定を実施していきます。
基本的に計測値が基準を下回っていれば交換をおすすめしますが、
パッドの摩耗状況等により基準内でも交換をおすすめする場合が御座います。24ヶ月法定点検整備内での点検項目には、当然サイドブレーキ廻りの点検・調整項目が含まれていますので
パッド・ローターの交換だけでなく、必ずサイドブレーキシューの残量確認と調整を行います。
また、サイドブレーキシューは残量が十分に残っていても、経年で硬化しクラックなどが発生している事もありますので
そういった点も、十分注意して見ていく必要があるでしょう。
新旧のブレーキパッド。
ブレーキローターを交換する際はブレーキパッドも同時に交換する事をおすすめしています。
古いブレーキパッドは古いローターの歪みに沿う形で摩耗しており、そのまま使用すると
新しいブレーキローターに異常な傷を付けたり、ブレーキ鳴きの原因になったりと様々な
トラブルを誘発する危険があります。
ブレーキパッドには摩耗を知らせるパッドセンサーが付いおり、
パッドが消耗している事を警告灯でドライバーへ知らせてくれるのですが、
警告灯が点灯した際は、既に限界の状態ですから速やかに工場へ入庫が必要になります。
センサーは稀にパッドから外れてしまっている事もありますので
警告灯が点灯しないからと安心せずに定期的に目視で点検を行う事も大切な事でしょう。
新しいブレーキローターを装着。
新しいパッドとローターは何も手を加えずに取り付けると
不快なブレーキ鳴きを発生させるケースも多いので必ずパッドの面取りを行い
交換後はテストランを行う際にローターの焼き付けを行う事で
パッドとローターの密着を高め、共振によるブレーキ鳴きと交換直後のブレーキの偏摩耗が進まないように
一手間を忘れずに。ブレーキ廻りの作業は以上で完了しました。
こちらのオーナーは長野県にお住まいなので、融雪剤の影響でしょうか。
マフラーの吊りバンドが錆で劣化消耗しているのが確認出来ます。
このままの状態で仮にバンドが外れてタイコを支持出来なくなっても、マフラー本体がいきなり脱落する事は
ありませんが、前方部分に負荷がかかり、現時点よりはるかに大きな問題になる事は目に見えて分かりますから
そうなる前に交換すべき部分は交換していく事が、最終的には余計なコストを省く事になるのではないでしょうか。拡大すると一部が断裂しているのが確認出来ますね。
年式的にもこういった箇所に対しても細かく対応が必要です。
新旧のマフラーの吊りバンド一式。
タイコ横の吊りゴムの交換は見落とされがちです。二年に一度くらいは確認した方が良いかも知れませんね。マフラー廻りの整備はこれで完了。
この325iは全体的にブッシュの劣化消耗も目立っており、
今後も良い状態で乗り続けるにはフルブッシュ交換という作業が必要になりそうですが
当然、ご予算もありますのでフルブッシュ交換のタイミングは次回以降へとスライドさせていただきました。
ただ、フロントロアアームコントロールブッシュの消耗が著しい為交換をご提案。
新旧のロアコンブッシュ。
古いブッシュを打ち抜いて新しいブッシュを圧入します。新しいブッシュの圧入が完了。
Stop&Goなどでストレスのかかるブッシュとして3本の指に入る箇所のひとつですね。
交換頻度もBMWのブッシュの中では断トツではないでしょうか。
SSTを使用してロアアームへ圧入。
圧入の際には慎重に。無理にアームを圧入していくと、
確実に切れますし、切れないとしても寿命は短くなります。ミッションマウントの交換。新旧のミッションマウント。
このタイプのマウントは酷い場合は真横に断裂している場合もあります。
その場合、目視のチェック程度では気付かない場合もありますので、実際にエンジンを稼働した状態で
リフトアップし、トランスミッションの振動などを確認する事も必要になってきます。
ミッションマウントと同時にエンジンマウントも交換。新旧のエンジンマウント。
一目瞭然の変形具合ですね。
エンジンを支えるパーツなので劣化が進むと写真のように潰れて変形していきます。
ミッションマウントと同様に支えるだけでなく振動も吸収する役割も担っているので定期的に交換しましょう。ATFの交換。
閉店間際に作業を行い一晩掛けてATFの排出。
その後、排出が完了したらオイルパンを取り外しATFの状態を確認します。取り外したオイルパンやATFエレメントの汚れ具合も確認しておきます。
オイルパンのガスケット、ATFエレメントは新品へ交換。取り外したオイルパンには磁石がついていてAT内部で発生したスラッジが付着する様になっています。
AT内部で異常な摩耗が出て無いか付着している鉄粉の量や大きさを確認します。新しいATFエレメントを装着。取り外したオイルパンは鉄粉等を綺麗に洗浄し乾燥させてから新しいガスケットを使用して装着します。
その後にATFを注入し、油温管理をしながら油面調整を行います。
新旧のエアクリーナー。
エアクリーナーも汚れが酷いので交換。
エアクリーナーは濾過をする事で綺麗な空気をエンジンへ送り込んでいるのですが汚れてくると
十分な空気がエンジンへ送られないばかりかそれが影響で様々な不具合を引き起こす要因にもなります。
交換時期は走行状況により様々に変わりますので一概に言えませんが汚れ具合を簡単に確認出来るパーツなので
定期的に交換を行う様にして常に綺麗な空気をエンジンへ供給してあげましょう。新旧のスパークプラグ。
スパークプラグも交換が必要でしたので全てのプラグを交換。
こちらもエアクリーナー同様に汚れたり劣化した状態ではエンジンに十分な火花が供給されませんので
定期的な交換が必要になります。エンジンオイルの交換。
最初にフラッシング剤を注入し、エンジン内部の手の届かない場所に堆積したスラッジやカーボンの汚れを落とします。
フラッシング剤にはエンジン内部に被膜を作り、汚れの再付着を防止する効果があるので
新しく注入したオイルの再汚染を防いでくれます。10分~15分程アイドリングを行った後にエンジンオイルを排出。
エンジンオイルはフラッシング剤で落とされたカーボンやスラッジの汚れと共に真っ黒な状態になります。
新しいオイルの再汚染を防ぐ為に排出の際には時間を掛け最後の一滴になるまで汚れたオイルを排出させます。エンジンオイル交換と同時にオイルエレメントも交換。
装着していたオイルエレメントにはフラッシング剤で落とされたスラッジやカーボンがびっしりと溜まっています。規定量の新しいオイルを注入してエンジンオイルの交換は完了。最後に4輪アライメントの測定と調整を行います。メーカーの基準値を元に調整をするのですが、ブッシュやタイヤの状態で車輌状態は変わりますので
メーカーの基準値に合わせただけでは、直進安定性やコーナーリングに問題が出てしまうケースがほとんどなので
何度もテストランと微調整を行いその車輌に最も合った4輪アライメントの数値を導き出していきます。全ての作業が終了後、車検に備えスチーム洗浄で下廻りの汚れを落としておきます。。
その後、最寄りの陸運支局へ車を持ち込み車検を取得し、24ヶ月定期点検記録・車検証・ステッカー、
4輪アライメントデータ・ロードテスト記録等をオーナーへ渡して納車になります。
良い状態で車を楽しむには古い車輌だけでなく新しい車輌であっても定期的な点検は必要になります。
特に古い車輌をお乗りの方は定期点検の際に劣化を考慮して事前にパーツを交換する事で
故障を回避出来ますので、車輌の状態をなるべく把握する様にしておきましょう。
2017年02月22日