【ALPINA B8 4.6】フルブッシュ交換【84,000Km】
本日はALPINA B8 4.6がブッシュ交換の為入庫です。
ブッシュは安定した乗り心地や振動を軽減させる事で各パーツへの負荷を少なくする効果が有るのですが
ブッシュはゴム製なので乗らなくても経年劣化で油分が抜けて硬化していきます。
その為、硬化して亀裂が入ったりする事が原因で十分な効果を得られないばかりか他のパーツへ悪影響を及ぼす事があります。
今回は各ブッシュの劣化具合と他のパーツへの影響が出ていないか確認しつつ作業に入ります。フロント部から作業を始めるので先にタイヤとブレーキシステムを外しておきます。フロントロアアームコントロールブッシュの交換。
フロント部分では発進・停止時に一番負荷が掛かるブッシュで他のブッシュよりも消耗が早くなります。
停止時にハンドルが取られたり前輪から異音がする場合はこのブッシュの劣化が原因かも知れませんので要チェックです。
交換はパーツからプレス機で打ち抜いて新しいブッシュを圧入します。SSTを使用して慎重に元の位置へ装着。フロントサスペンションを取り外します。SSTでショックとサスを分解してフロントアッパーマウント・スプリングパッドなどを交換。新旧のフロントアッパーマウント・スプリングパッド。フロントロアアームのボールジョイントを交換。SSTを使用して取り外します。新旧のボールジョイント。再びSSTを使用して新しいボールジョイントを元の位置へ装着。新旧のフロントスタビライザーリンク。
このパーツは本体ごと交換。次にリアセクションの作業に入ります。作業の前にデフオイルを排出。リアアクスルキャリアを取り外すので事前にその他のパーツは取り外しておきます。リアアクスルキャリアを降ろしたので更に各箇所毎に分解して各ブッシュを交換します。各パーツにそれぞれブッシュが装着されているので一つ一つ状態を確認しつつブッシュを交換。
CSL用のロアアームが装着されていましたが、左側はポッキリ曲がってしまっていますね。
取り外したリアトレーリングアーム。
左右それぞれ2箇所のブッシュと1箇所のボールジョイントを交換。リアショックはフロントと同様にアッパーマウントを交換。リアのスタビライザーブッシュも交換。デフマウントブッシュを交換する為デフカバーを外します。デフマウントブッシュは2箇所のブッシュを交換。プレス機で古いブッシュを打ち抜き、新しいブッシュを圧入。デフカバーを装着する際は新しいガスケット使用します。デフパルスセンサーのOリングを新しいパーツへ交換。デフドレンボルトガスケットも一式交換。リアのスタビ・スウィングサポートの交換。拡大して見るとスウィングサポートブッシュが劣化して亀裂が出ています。
これでは本来の効果を発揮する事は出来ません。リアスタビブッシュ・スウィングサポート新旧。リアスタビブッシュ新旧。プロペラシャフトのセンターベアリングの状態を確認。錆を丁寧に除去した後にグリスアップをします。エンジンマウントの交換。
エンジンマウントはエンジンの下に装着されエンジンの振動を吸収する役目をしてくれるのですが
劣化してしまうとエンジンの振動を吸収出来ずにそのまま不快な振動として車内に伝わります。
エンジンが振れるので本来の性能を発揮出来ないばかりかその他のパーツにも影響を及ぼします。
ステアリングを通じてエンジンの振れを感じる事が出来ますので振動に違和感を感じたら要交換ですね。新旧のエンジンマウント。
新しいパーツと見比べると古いパーツの方が潰れているのが良く分かりますね。
ユニバーサルジョイントを交換。
プロペラシャフトの振動を吸収する役目をしているのですが劣化により亀裂が入り酷い場合は破損する事が有りますので
シフトレバー下部からゴトゴトと異音がしたら要注意です。
今回取り外したパーツには亀裂はみられませんでしたが劣化を考慮して新しいパーツへ交換。リアトレーリングアームのブッシュの交換。新旧のリアトレーリングアームのマウントブッシュ。
比べて見ると偏心具合が判ると思います。リアアクスルキャリアのブッシュ交換。
各ブッシュをプレス機を使用して打ち抜きます。新旧のデフマウントブッシュ。リアアクスルキャリアブッシュには劣化による亀裂が出ています。全てのリアアクスルキャリアブッシュの交換が終了。CSLリアロアコントロールアーム。
変形・ブッシュ劣化の為、新品に交換。
オーナーからの指定で今回はリジットカラーを装着。
当社としては初めての装着ですが効果はいかに。
ミッションマウントを交換。新旧のミッションマウント。
エンジンマウントと同じようにミッションから発生する振動を吸収するので劣化してくると振動がそのまま車内へ伝わります。
亀裂が見られなくても経年劣化で油分が抜けて固くなっていますのでエンジンマウントの交換の際には
こちらも交換ておきたいですね。タイヤを装着してブッシュを馴染ませる為に軽くテストランを行い仮止めだった部分を規定のトルクで締め直します。
その後再度テストランを行い4輪アライメントの測定と調整をしていきます。
フルブッシュ交換の際は調整とテストランを何度も行いながらメーカー基準値をベースにし
その車輌に最適な数値を導き出していきます。走行中の異音やその他の箇所に不具合が出ていないか乗り手を替えながらテストランを繰り返し調整をします。
一般道の走行や高速走行も行いながら全体のバランスを考慮しつつ最終的な確認と調整を行い納車になります。
ブッシュは素材の性質上、乗っていなくても経年劣化は避けられないパーツです。
フルブッシュ交換は各部の脱着等で安価に出来る作業ではありませんが、
細々と交換するよりも一度に交換してしまった方が、トータルメンテナンスコストを抑えられます。
2016年11月09日