90y E30 M3 DiamondBlack RestorationFileNo.10
今回は90y E30 M3 DiamondBlack Restorationの第十回の記事になります。
このレストアの記事も今回で10回目の更新となりました。
前回はバルブすり合わせ作業を完了させましたので
引き続きシリンダーヘッド組み上げ作業からシリンダーブロック・ピストン廻りくらいまでをお伝えしていこうかと思います。まずはバルブガイドに新しいステムシールを装着します。
バルブガイドはステムとのガタツキも無く、良好な状態だったので、打ち替えなどは無しで。
ステムシールはバルブの軸とバルブガイドの間の油密を目的としたものでバルブガイドの先端に装着します。
バルブが動く事で潤滑に必要な最小限のオイルを残しつつ、余計なオイルをかき落とす役割をもっています。
コクンと感触があるまでしっかりと挿入します。
特にインテークバルブのステムシールが劣化すると
オイル下がりが起きオイルの消費量が増え燃焼室へカーボンが堆積したり白煙を発生させる要因になったりします。
オイルの減りが早くなったり白煙が上がる様になったら、バルブ廻りのトラブルを疑いましょう。全てのステムシールを圧入したらバルブスプリングコンプレッサーを使用してバルブを装着していきます。
ある程度、バルブを縮ませてバルブを固定するコッターをセットしていきます。プラスチックハンマーでステムを軽く叩きバルブを馴染ませておきます。
シリンダーヘッドの作業はとりあえずバルブを組み込み一旦手を離し、ブロック部分の作業に取り掛かります。
オイルポンプを分解し内部の確認など。組立にはアッセンブリーペーストを塗って組み上げていきます。
ペーストは初期始動時の負荷を軽減させる効果が有ります。
リリーフバルブなどはアタリ面を2,000番程度のペーパーで整えたのちペーストを塗り組み上げていきます。トロコイドポンプを組み立てます。
ガタつきが出ていないかなど確認をしながら組み立てていきます。
こちらも組み付けしながらペーストを万遍無く塗っていきます。まれにですが、ヘッドボルトの締め付け時にウォータージャケット部分からクラックが発生してしまう事がありますので
防止の為、リューターでウォータージャケット部分を面取りをしておきます。タップを立てて、ネジ山に付着した汚れ等を取り除きます。
一連の細かな作業が積もり積もって、良いエンジンが出来上がっていきますので、当然手は抜けません。
何かひとつでも手を入れれば圧倒的なパフォーマンスを発揮する・・・何て事はエンジンオーバーホール作業ではあり得ませんね。
ひたすら地味な作業が続きます。
メタル類は全て新しいものに交換。ベアリングキャップはナンバリングした通りに、取り付けていきます。
ブロック側に新しいメタルを装着しました。
クランク取り付け前に組付けペーストを十分に塗り付けておきます。ベアリングキャップ側にもメ装着。ベアリングキャップボルトは綺麗に洗浄後オイルをしっかりと塗布してから装着します。クランクシャフトを装着し、ボルトを仮止めします。既定のトルクとトルクアングルで締結。
これでクランクシャフトは固定されました。ピストン作業に移行。
新しいピストンリングを装着します。
ピストンリングはそれぞれ装着する場所や向きが決まっているので確認しながら慎重に装着します。
トップリング・セカンドリング・オイルリングの3箇所を交換。
ピストンのフリクションによってシリンダーに傷が入るのを防止する為に、合い口の方向を調整しておきます。
ピストンリングプライヤーを使ってリングを装着致します。コンロッドメタルも新しく交換致します。ピストンリングコンプレッサーを使用してピストンを慎重に挿入していきます。
合い口がずれないように気を付けて。コンロッドボルトも綺麗に洗浄後、オイルを添付して装着します。トルクレンチを使用してピストンを締結していきます。
シリンダーヘッドからシリンダーブロックまでの作業が進みました。
次回にはおそらく、ヘッドとブロックが組み上がり、ある程度エンジンの全体像が見えてくるかと思います。
過去の記事はこちらから御覧下さいませ(第一回、第二回、第三回、第四回、第五回、第六回、第七回、第八回、第九回)
2016年03月06日