第33回 E34 525i
GW中に無料点検でご来店されたE34型525iが足廻りのリフレッシュ。エンジン修理で入庫致しました。
距離は10万kmを超えた所。まだまだ走れますし、何よりもオーナー様が非常に気に入ってます。
今回の内容は足廻りのブッシュをほぼ全て交換。エンジンはタペット音がひどい。オイル漏れの為、修理を致しました。
1年程前に高速道路上でオーバーヒートしてしまったらしく、その後エンジンオーバーホールしたそうなのですが
すでに、タペット音やオイル漏れを起こしてしまっている状態でした。
分解前にロードテストや現在の状態をチェックして、作業を進めます。
フロントリア共に赤丸印の箇所が今回の交換箇所です。
ステアリングロッドはASSYにて交換。リアメンバーも曲がり破損等無く綺麗でした。
一番左の写真、左が古いアッパーマウント。右が新品。
見比べると消耗の度合いが分かりやすいです。
古いアッパーマウントは細かくヒビが入っています。
オーナー様は約5年前にショックアブソーバーと共に交換していました。
リアメンバーのブッシュ圧入。ネジレ等がでないように圧入します。非常に危険な作業なので慎重に進めます。
フロントのプッシュロッドのブッシュとリアアームブッシュの交換。
プッシュロッドのブッシュはハイドロリックブッシュ。
リアトレーリングアームのブッシュは2箇所。
ステアリングガイドアーム、センターロッド、タイロッドのボールジョイント部。潰れ、グリス切れを起こしています。
新品と比較すると分かりやすいですね。ステアリングのブレや直進安定性が低下したな・・・
と言う時はチェックしておいた方が良いでしょう。 リサーキュレーティングボール式ステアリングユニット
を採用している為、新品に変えることでしっとりとしたステアリングの感触を楽しむことが出来ます。
リアステアリングコントロールアームブッシュおそらく交換は初めての箇所でしょう。
フロントスウィグサポート、古いスウィングサポートは親指一本で
グルングルン動かせるほど消耗しきっていました。
新品はさすがに親指一本では動きません。
リアスウィングサポート、ビッシリと細かいヒビが入っており、ゴム自体もかなりの硬化が進んでおりました。
リアスタビブッシュ、ネジレだけではなく縦にも変形しているのが分かります。
右写真の左が付いていたもの、右が新品です。
今回一番の大物、リアメンバー一番大きなブッシュが圧入されている箇所。
元々、ビルシュタインBTSキットが装着されていました。
今回も同じBTSキットを新品で装着。フロントリア共にショックとしての十分な機能が果たせていませんでした。
特にリアは筒内のオイルが完全に抜けていました。
バンプラバーもひどい状態でしたから段差を超える度にゴトンゴトンと底突きをおこしていました。
分解作業と逆の手順で組み上げていきます。
デフマウントも随分消耗していたので滅多に手の入れられる箇所ではないので交換。
ブレーキキャリパーを外した為、エア抜き兼ブレーキオイル交換。
4輪アライメント測定前に各ボルトをしっかりと締め、ボールジョイント部のネジレを
正確な位置に調整。測定調整後にテストラン。今回のような作業をした場合、規定値内に
数値を合わせても、一回で調整作業が終わることはまず無く、
調整~テストラン~調整と何度かの反復作業が必ず必要になります。
エンジンが暖まって来るとカタカタカタとタペット音が非常にうるさい為
修理。1年程前にオーバーホールしているにも関わらず、そんな状態。
駄目になりそうな箇所をしっかり予見してあげるのもプロの仕事のはずなのですが・・・・
オーナー様にとってははっきりいって二度手間になってしまいます。
バルブスプリングやカムホルダーの消耗状態をチェック。交換が必要であれば
必ずオーナー様にお伝えし、交換実施。この車輌は傷も見当たらず綺麗な状態でした。
上のパーツがタペット音の原因になっていたバルブリフター。
Inカム側に12個、Exカムに12個計24個。24Vツインカムになります。当初Ex側からの音がひどかったのですが
In側も小傷が目立ったので、同様に交換。親指と人差し指で押してみると若干バルブリフター
自体がクニクニと動く状態。昨日今日でこのような状態になったとは考えにくかったです。
カムシャフトも組み込み前にチェック。走行、経年による消耗は見られるが
綺麗な状態、洗浄して組み込みへ。オイルフィルターブロックよりオイル漏れしていたので
ガスケット交換。エンジン内部を触ったのにオイル漏れしたままじゃ、気持ちの良いものではありません。
パーツのフルチェック、洗浄が終わってから組み込み。バルブタイミングも
合わせ、完成。何度も経験していますがやはりエンジンを分解した後に
初めてエンジンをかける瞬間はうれしくもあり、緊張します。
問題無くエンジンは始動。暖まっても以前のようにタペット音やノイズが消えて快調そのもの。
エンジンと下回りをしっかり洗浄。オイル染み跡等すべて洗浄します。
今回は東名高速を使ってテストラン。ステアリングの反応がリニアに手に伝わってきます。
80km/h~100km/h間でステアリングが非常に振られるとの
ステアリングのセンター軸もしっかりしており、4本のショックアブソーバーの動きも手に取るように分かります。
交換前のもっさりとした車体の動きとは別物になりました。
VANOSユニットが付いていないエンジンなのでM3やM5のような速さを求めることは出来ませんが
しっかりと上まで回る良いエンジンでした。
E30M3を筆頭にE34も最近ではしっかり手の入れられた車輌が見れなくなってきた一台です。
レストアに近い作業が増えてくるとは思いますが当社も出来る限りのお手伝いはしていきたいと思います。
これからも大事に乗って下さいね。
2007年07月21日