【E36 M3B 5MT】法定24ヶ月点検&納車整備【39,000Km】
11月に売約となったワンオーナー・走行距離39,000KmのM3Bの納車整備をお届け致します。
新オーナーはE46 M3を以前に乗られていたそうですが、今回選んだ車は一世代前のM3。
ストック車輛として入庫後にすぐにご来店され、その場で即決いただきました。
かなりコンディションの良い車輛だったので、お問い合わせも多かった車輛でした。
ワンオーナー・走行39,000Kmとはいえ年式は1994年式。
20年の歳月によって消耗している部分もある程度あるのは当然です。
M3専門ショップとして細部をも疎かにしない納車前整備をし
納車に臨んでいきましょう。まずは当社のスタンダードメニューを進めていきます。
エンジンオイルの交換。
フラッシング剤を入れ、アイドリングでエンジン内部のスラッジの集約と排出を
スムーズに行う為に必要不可欠な作業になります。 排出時間は出来るだけ多くとり、スラッジ・古いオイル共にエンジン内に残らないように努めます。
エンジンオイルは見た目の汚れだけに着目されがちではありますが
一見綺麗であっても、どの程度の期間エンジン内に入れられていたかも把握し、
交換時期を見誤らないよう注意が必要です。
どんなに距離を乗らなくても半年に一度のオイル交換をおすすめしております。 オイルエレメント新旧。
オイルフィルターが目詰まりを起こした場合に備えて、
大体のエンジンがフィルターを介さずにオイルの循環が行えるバイパス経路を備えており
目詰まりを起こした場合でも、エンジンが焼き付かないようオイルの循環が行われますが
そんなスラッジだらけのオイルがエンジン全体を循環すると考えただけでも
ゾッとしますね…
コスト的には安いパーツになりますから毎回交換しましょう。 チョイスしたオイルはFUCHS TITAN 5W-50。
100%化学合成オイル、当社で人気のロングセラーオイルのひとつになります。 ミッションオイルの交換。
まずは排出。完全に冷え切っているよりは若干油温を上げ排出した方が良いでしょう。 フィラー・ドレンボルト共に綺麗に洗浄しシールテープを新たに巻いておきます。FUCHS ATF4000を入れていきます。
ギアオイルよりも粘度が低く冬場などにあるギアの入りづらさを改善する為にも
使用する事の多いオイルではありますが、サーキット等でのハードな走行の場合は
粘度が高く、油膜が切れないようなハイポイドオイルの使用をおすすめします。 デフのオイル交換。
M3の場合、デフオイルの状態チェックはこまめに行いたいところです。
エンジンオイルは気にしているけれど、ミッション・デフに関しては
ついつい忘れられがちにされてしまう事もしばしば…
エンジンオイル交換は新油にするとリフレッシュ効果が体感出来る事がほとんどですが
ミッション・デフに関してはエンジンほど体感が薄く感じる事もあり
仕方の無い事かも知れませんが、常にハイプレッシャーにさらされ
酷使している箇所になりますので、一般的な交換サイクルはあくまでも参考程度にとどめ
自分の運転で、どの程度の走行距離・時間の経過によって
交換時期が来るのかをしっかりと把握しておく事が大事になってくるでしょう。 FUCHS HLS90 75W-90を入れていきます。 パワステオイルの交換。専用機材を使用し、ギアボックス・ポンプ内までしっかりとフラッシング剤を浸透させ
古いオイルだけでなく、ステアリング操作によって発生したスラッジを車外に排出していきます。
オイルラインを含めてパワステ機構全体のオイルの入れ替えを定期的に
しっかりと行う事がギアボックスやポンプの良好なコンディションを維持する
基本的なポイントのひとつです。 ブレーキフルードの交換。 パワステと同様に圧送でライン内の古いフルードを排出していきます。 MTの場合は、クラッチフルードも同時に交換していきます。
クラッチフルードを交換せずに使用し続けると、レリーズシリンダー内に錆が発生し
そこからフルード漏れを起こすとクラッチ操作が不可能になります。
ブレーキフルードは吸湿性が高いので、長年使い続けると錆を誘発し
思わぬトラブルを引き起こす事もありますので注意が必要です。 冷却水の交換。
走行するステージや季節によって冷却水濃度の設定を変えていく必要があります。
新オーナーは都内に住まれているので、標準的な30%程度のLLC濃度に設定。 エアクリーナーの交換。自分がコマメな性格だと自負しているのであれば、湿式の社外フィルターでも良いと思いますが
そうでないなら乾式タイプの純正を使用するのが望ましいでしょう。 エアコンマイクロフィルターの交換。
花粉の飛散の多い季節が終わってからの交換が一番多いですね。
毎年5月~6月に交換と決めていれば忘れないと思います。 4輪アライメントの測定と調整。
後輪がデータ内に収まったとしても、しっかりとテストランを行い
実際に車がどのような挙動をするのかを見ていく必要があります。
ブッシュの状態・使用しているタイヤの種類・タイヤの摩耗度等
様々な条件を加味しながら一番ベストな状態にセッティングしていきます。
ここまでが、当社のスタンダード納車整備になります。
次の項目からは、法定24ヶ月点検やM3専門店ならではの着目点から
決定した納車前整備内容になります。もちろん費用は納車整備料に含まれます。 まずはフロント右のホイールインナーカバーの交換。
E36モデルでは、定番とも言える交換パーツのひとつですね。
アンダーカバーと連結しており、その部分も脱落してしまう事もありますので
ステアリングを切った時に、タイヤがインナーカバーを擦るような音が聞こえたら要チェックです。 もうちょっとビスが取り付けられるリブ部分が強化されると良いのですが… ビスも新品に交換します。 これでしばらくは大丈夫でしょう。 Vベルトとプーリーの交換。 ベルトは亀裂が多かった為に交換。
プーリーは内部ベアリングからの異音が大きかった為交換。 ベルトの張り調整は自動になります。
テンショナーの効き具合は問題無しでした。 納車前にガソリンを一度満タンにし、ガソリン漏れのチェックを行いますが
最近のE36モデルに見られるのがレベルセンサーやポンプが取り付けられている
プラスチック製のカバーリングからのガソリン漏れ。
経年によってプラスチックにクラックが入り、ジワっと漏れてくるような現象ですね。
この現象は満タン時にしか起こりませんので、日によってガソリン臭いとか
さっきまで臭かったのにいつの間にか臭わなくなった・・・というような場合は
このような漏れを疑った方が良いかも知れません。 レベルセンサーとロックリング等を交換。 もちろんホースに問題が見られれば交換しますが、今回はまだ使用出来る状態だったので
ホースバンドのみを交換しガソリン漏れ修理は完了。ボンネットダンパーの交換。 オーナーが困るというより、私たち整備する側の人間が困りますので交換。クォーターガラス部分のモールの交換。
こちらもE36クーペモデルでは定番と言ってもよい定期交換パーツになります。クォーターウィンドウ内側の水切りモールも完全に交換時期ですね。何てことないパーツではありますが、交換はクォーターウィンドウを取り外して行う必要があります。
外さずに交換するとウィンドウが綺麗に収まらず、雨漏りの原因になりますので注意が必要。 古いモールを取り除いたら、その部分を綺麗にしますが、取り付けは両面テープで行われているので
非常に時間のかかる作業になります。 モール新旧。 ウィンドウは取り付け後に水が浸入しないように微調整を行います。 ドアハンドルカバーの交換。
カバー自体に問題があるわけでなく、カバー外周のゴム部分がボロボロになってしまう
これもE36モデルでは良く見られるマイナートラブルになります。 ドアハンドルカバー新旧。こちらも長く放置する事でドアポケット内に水の浸入を許してしまう事になりますので
消耗パーツのひとつとして考えていくのが良いでしょう。 全ての作業が終わり、テストランを行って問題が無い事を確認し納車となります。
24ヶ月点検記録簿に記されていない、プラスアルファの整備もしっかり行っての納車となります。
2014年12月24日