【24ヶ月法定点検】BMW E30 325i【納車前整備】
7月下旬に売約となったE30 325iの納車整備になります。
87年式、走行76,000Km
新オーナーは16年間お付き合いいただいている方。
いつもありがとうございます。 それでは整備開始になります。
まずはエンジンオイルの排出。 E30モデルはエンジンブロック横にエレメントが直接設置されているので
排出がある程度終わったら、 取り外します。R2000の施工。
専用のフラッシング剤でエンジンオイルラインの汚れを落とし
アクセルレスポンス、エンジンフィーリングの向上を目的とした作業になります。
定期的に施工することにより、エンジン内部のクリーン化が想像以上に
発揮されますのでおすすめしている作業のひとつになります。 R2000の機材に使用されるエレメント新旧。
一回の洗浄でこれだけのスラッジを洗浄する効果があります。
もちろんガスケット類に影響は無く、施工した事によってオイル漏れを誘発したり
といった事は御座いませんので、ご安心ください。 デフオイルの交換。
前オーナーが交換してそれほど経過していなかった為
汚れは目立っていませんでしたが、オーナーチェンジの際には必ずリセットします。 排出にしっかりと時間をかけ、新しいオイルを注入します。
チョイスしたオイルはFUCHS HLS90(75W-90) 足廻り~ブレーキ部分の点検。
テストランと点検の結果、左リアのハブベアリングからの異音と
フロントのブレーキローターの磨耗が酷かった為
交換となりました。まずはハブベアリングの交換。
今回はハブベアリングの固着が激しくスライディングハンマーでの交換が難しそうだと予想。
トレーリングアームとドライブシャフトを取り外し、プレス機を使用してハブベアリングを交換します。 取り外したアーム類。 プレス機にかけ、ジワジワと圧力を強めていきゆっくりハブベアリングを抜いていきます。 長年使用されてきた事もあり、固着が激しくスライディングハンマーでは
取り外しが困難だったと予想していましたが正解でした。
交換方法も状態を的確に判断し、いかに効率良く作業を進められるかを
考えていくとスムーズに進んでいくものです。 新旧ハブベアリング。 古いハブベアリングはグリスも切れ焼けてしまっているのが確認できます。
これでは抵抗も大きくなり、リアタイヤがスムーズに回転せず
気持ち良く運転する事は困難になります。 新しいハブベアリングもプレス機で挿入していきます。
この時に取り付け部分全体を綺麗にしておく事も忘れずに。 何度かプレス機にかけ、しっかりと取り付けに問題がないかを確認します。 E30モデルのリア足廻りはセミトレーリングアームが採用されているので
アライメント調整が出来ませんので、その点を踏まえ取り付けの際には
ブッシュやアームの状態をよく確認し、問題がある場合はそのままにせずに
対応していく事が大事になってきます。フロントのブレーキローターの交換。新しいローターはそのまま取り付けずに
番手の大きいペーパーやすりでローター表面にわざと傷を付け
取り付け後の焼付作業がスムーズに行えるようにしておきます。 ローターの消耗はブレーキパッドのアタリ面の歪みを見ていく事が大事になってきますが
外周部の段差も交換時期の目安となってきますので
定期的に自身で確認し、あまりにも段差が目立つ場合には要交換になります。 取り付け後は焼付けを忘れずに。
また交換直後の急ブレーキはローターの歪みを誘発する事もあります。
パッドとローターが馴染むまでは、やさしくブレーキペダルを踏んであげる事で
歪みがなく綺麗にパッドとローターが消耗していきます。 ブレーキフルードの交換。 古いモデルの場合、フルードライン内の錆がどの程度発生しているかを
排出したフルードを確認し判断する必要があります。
古いフルードに錆の混入が多く確認できた場合には
フルードラインの交換が必要になります。
走る・止まるといった基本動作が出来ていなくてはどんな車でもただの飾りになってしまいますし
何よりも人命に関わる箇所ですので慎重な点検と作業を心がける必要がありますね。 タイヤは新品に交換。 スタンダードモデルなので街乗りに適したトレッドもコンフォート寄りのタイヤをチョイス。
タイヤバランスも的確に行います。 ATFの交換。もちろん全交換。
今まで定期的に交換されてきた車であれば
問題無く作業は可能になります。 E30で採用されている4HP22のトランスミッションは
ガラスのATなどと言われる事もありますが
ATFのチョイスを誤ったり、交換時にはエレメント類もしっかりと交換する
といったような当たり前の事をしていれば、そうそう壊れる事はありません。 エレメントはもちろんの事、オイルパンガスケットやOリング類もしっかりと交換しましょう。チョイスしたATFはFUCHS ATF4000
過去のモデルから現行モデルまで問題無く使用できる優秀なATFですね。 パワステオイルの交換。
専用機材を使用し圧送で交換していきます。
古いオイルを排出する前にパワステオイルラインのフラッシングを行い
ライン内の汚れを車外に排出させやすくし
圧送で一気に排出させます。
その後新しいオイルを入れ、エア噛みがある場合はエア抜きを実施し作業は完了です。
新旧パワステオイル。
交換後すぐに上の写真のように変色してしまう場合は
パワステオイルライン内の古いオイルが完全に排出されておりません。
適切な交換方法が問われる作業でもあります。 冷却水の交換。
こちらもパワステオイルと同様に専用機材を使用し、圧送にて交換を進めます。
フラッシングをし冷却経路の洗浄をしますが
古いモデルの場合、錆の発生が多い事もありますので
フラッシングした際に錆が多く確認出来た場合には
錆の発生箇所の特定が大事になってくるでしょう。
冷却水だけの話しではないですが
排出したものはそのまま廃棄するのではなく
しっかりと確認をする事によって、車の状態の把握が出来ます。
もちろんその判断には長年の経験と蓄積された経験が必要になってきます。 インジェクションパージを実施。
フューエルライン~インジェクターまでの洗浄を行う事により
かなりのフィーリングアップを見込める当社でも人気のある作業のひとつですね。 VICも同時に実施。
インジェクションパージと同時に施工する事によって
燃焼室内のカーボンスラッジの除去は相当進みます。
かなりのフィーリングアップが体感出来る作業になりますので
こちらも定期的におすすめしている作業になります。 フューエルフィルターの交換。
ボディ下部に付けられている事もあり
交換が疎かになってしまっている車も多く見られますが
出来れば二年に一度は交換してあげたいところ。 プラグの交換。こちらも定期交換部品ですね。
電極部分の良否判定も大事になってきますが
こちらも走行距離と経過年数によって定期的に交換していくべき箇所のひとつでしょう。 オイルプレッシャースイッチからのオイル漏れ。 少量のオイル漏れですが、こちらも交換。センサー部分からの漏れはよく見ますが、漏れの量自体は少量で
放置されてしまっている事も多いのですが
センサー自体が誤作動を起こし、正確な車輌情報が検出されていない事も多く
漏れている量が少ないからといって放置しておくと
それが原因で大きな不具合につながることも少なくないので、見つけ次第対処しましょう。 ベルトの交換。 メイン、パワステ、エアコンとこの時代は3本のVベルトで構成されており
写真のようにヒビ割れが確認できる場合は早急に交換が必要になります。 今ではテンショナーが自動調整してくれますが
この時代はブラケットを調整し張り具合を調整します。エアフィルターの交換。変色、退色が激しい為、シフトレバーの交換。 シフトレバー新旧。ワイパーゴムの交換。 今のモデルはフラットワイパーが主流になっていますが
この時代はワイパーブレードが歪んでいると、いくらワイパーゴムが新品でも
拭き取りがうまくいきませんので、歪みがある場合にはブレード毎交換致します。 4輪アライメントの測定と調整。
リアは調整不可能ですが、車を気持ち良く走らせるにあたってリアの数値は非常に重要になってきます。
左リアハブベアリング交換も実施しているので右リアとの数値と比較し問題が無いかを
よく見ていく必要があります。全ての作業が終わり車検取得へ。
問題無く車検ラインを終え、名義変更も終了し納車となりました。
2013年09月08日