【E30 320i】ステアリングギアボックスオーバーホール【64,000Km】
走行64,000KmのE30 320iが入庫致しました。
ステアリングを左に切ると引っ掛かるような症状が出るとの事で入庫。
パワステオイルが古くなって内部にスラッジが大量に堆積している場合に
良く見られる症状なので、パワステ機構を中心に点検を開始します。タンク内のオイルには問題となるような箇所は無かったのですが
リフトアップしてみると、どうやらギアボックス周辺からオイルが漏れている形跡があります。 タイロッドエンドブーツがご覧の通りの状態です。
また、ギアボックス本体からのオイル漏れが確認出来たので
ギアボックスオーバーホールを実施致します。 まずはギアボックスを取り外し。バルブボディ周辺が漏れたオイルによって汚れが付着しているのが確認出来ます。 タイロッドエンドを取り外し、洗浄後分解していきます。いわゆるラック&ピニオン式ステアリング機構。
シリンダー内に収まっているの下のパーツがラック。
ステアリングコラムにつながる上のパーツがピニオンになります。
丸ギア(ピニオン)と平ギア(ラック)の組み合わせで,
回転運動(ハンドル)を平行運動(タイヤの向き)に変えるギアになります。 基本的な事ですが、ハンドルを回転させると、
その回転はステアリングコラムを介してピニオンを回転させることになります。
ピニオンにはラックがかみ合っており、ピニオンの回転はラックの横方向へと変換されます。
ラック末端にはラックエンド、タイロッドが連結されており、
タイロッドはホイールハブが取り付けられているナックルなどに連結されています。
つまりラックの横方向の動きはタイヤの転舵になるということです。
ですからラックとピニオンのギアに損傷があるとスムーズな転舵が出来なくなりますし、
ギア部分にスラッジ等が固着してしまうと、同様にスムーズにステアリング操作を行えなくなる事があります。幸いにも、ラックとピニオン、バルブボディ、シリンダーケース内に損傷や腐食は無く
Oリングやオイルシールの交換でスムーズなステアリング操作が復活しそうです。 各パーツ洗浄後、シールを組み付けていきます。 かなり細いOリングも多いので、ピックツールやピンセットを駆使しながら
傷付けないよう組み付けしていきます。
ラックとピニオンをケースに取り付けしていきます。 パイプラインのOリングも新品に交換します。ラックは取り外す際に、マーキングをしておいたので大きくステアリング位置が変わる事は無いと思いますが
ATのオーバーホール同様に車体に取り付けて動作させるまで安心は出来ません。 タイロッドブーツを新しく交換し、ギアボックスを取り付けます。 ギアボックス内のエア抜きをしっかりと行います。
使用オイルはFUCHS ATF4000になります。 交換後のテストラン。
ステアリングのセンター調整もしっかりと行い
修理前の、左にステアリングを切った際の違和感は無くなり、
非常にスムーズに左右の切り返しが可能になりました。
今回のように、ギアボックスASSYの交換ではなくオーバーホール作業も承りますので
お気軽にお問い合わせ下さい。
2013年12月10日