【ALPINA B3S Coupe】24ヶ月法定点検&車検整備【35,000Km】
お正月明けから一週間経ちました。2019年最初のメンテナンスレポートです。
横浜では先ほどからチラホラと白いものが降ってきました・・・積もらない事を祈るばかりです・・・
非常に寒さの厳しい連休初日ですが、寒さに負けず頑張ってやっていきましょう~。
愛知からご来店のALPINA B3S Coupeの24ヶ月法定点検と車検整備をレポートしていきます。
走行距離は35,000Km。
各部点検の上オーナーと作業内容を打ち合わせさせていただき、
今回はオイル類の交換を中心に作業を進めていきましょう。
エンジンオイル交換。
交換の前にフラッシング剤を注入してエンジン内部で発生したスラッジやカーボンの汚れを落とし易くします。
当社で使用しているフラッシング剤はwynn’s社のOIL SYSTEM CLEANER。
フラッシング剤を1缶全量を注入しフラッシングを行います。
10分~15分程アイドリングを行ってエンジン内部にフラッシング剤を浸透させて汚れを落し古いオイルと共に排出。
廃油はそのまま処分してしまうのではなく、異常な汚れや金属片等が含まれていないか確認を行って
エンジン内部の状態を探ります。
排出には時間を掛けて出来るだけ古いオイルが残らない様にしずくが垂れなくなるまで行う事が大切です。オイルエレメントの交換。
交換に使用するパッキンやワッシャ等も新品へ交換。
オイルエレメントを装着し、規定量のエンジンオイルを注入してオイル交換が完了。
今回チョイスしたオイルは当社ではお馴染みのFUCHS TiTAN SuperSyn 5w-50。
ALPINAやM3のオーナーのリピート率も高く、低温時から高温時まで安定した性能と滑らかな吹け上がりで
高性能エンジンの性能を存分に発揮させるだけでなく、
オイルの消費量を抑え汚れの集約能力も非常に高い100%化学合成オイルです。
ちなみにリキモリだと10W-60 GT1 Racetechがベストマッチですね。
ATFの交換。
当社の交換方法は全量交換で行っており、圧送方式や循環方式の施工方法は内部で発生したスラッジ等が詰まる事で
ATすべり等の故障に繋がってしまう可能性があるので行っておりません。
ATF交換は閉店間際に作業を行ってATFを排出した後にオイルパンを取り外し、
一晩掛けて残りのATFを排出するので最短でも1泊2日の作業が必要になります。外したオイルパンは綺麗に洗浄しておきます。ATエレメントを取り外し。新旧のATFエレメント。
黒くなっているのは内部で発生したスラッジによるものですね。
新車から2,3年で乗り換えをするようであれば、こういった作業の必要性は無いかと思いますが
5~10年乗っていく、ある程度距離の出ている中古車を購入した場合など、
コンディション良く乗っていくつもりであれば、ATFの状態はチェックしてみた方が良いかと思います。
新旧のATフィラーボルト。
このタイプのボルトはパッキンと一体型なので一度使用した物はパッキンが潰れてしまっているので
再使用不可です。新しいATFエレメントを装着し、新しいATFガスケットを使用してオイルパンを装着します。新旧のATFオイルパンガスケット。
基本的にガスケットは自身が潰れて密着性を高めているので一度装着した物は再使用出来ない為
必ず新しいガスケットを使用し、オイルパン装着の際にも各ボルトを均一のトルクで締めないと
オイル漏れに繋がるので注意が必要です。こちらは新旧のATドレンボルト。
こちらもパッキンと一体型なので新品と交換。
そのまま使用してしまって、ドレンフィラーからポタポタと漏れてしまっている車も良く見かけます。
ATFを注入しテストランを行ってテスターで油温を見ながら油面調整を行います。
ATFは多くても少なくても不具合を発生させる為シビアな調整が必要なのですが、
油温が上昇してしまうと膨張して的確な調整が出来なくなってしまうので、
培った経験を生かして素早く作業を行います。
デフオイル交換。
交換の前にフラッシング剤を注入して内部で発生したスラッジを排出させやすくします。
ギアが噛み合う事でスラッジが発生する為、かなりスラッジは出やすいです。
やはりデフオイル交換頻度が少ない車輛は、センターやサイドシールからオイル漏れが発生しやすくなる
傾向にありますね。FR車にとってかなり重要な位置付けでもある装置なのでコマメにチェックしましょう。
デフオイルの排出は油温を上げた状態で行い、内部のスラッジと共に一気に排出させます。
オイルの粘度が高い為、温度が低いと排出に時間が掛かるだけでなく
スラッジも上手く排出されません。
新しいデフオイルを規定量注入してデフオイルの交換が完了。ブレーキフルードの交換。
交換は専用の機械を使用して内部で発生した水垢や錆等を古いフルードと共に車外へ圧送させます。
ブレーキフルードは吸湿性が高く、劣化すると透明から紅茶色へ変化して徐々に黒味を帯びてきます。
吸湿性が高いという事は、フルード内に水分が混じり合うという事なので
交換を怠っていると、ブレーキライン内に錆を誘発したり、ペーパーロック現象が起きやすくなったりと
自身の安全だけでなく、他者の安全も約束できなくなる箇所の整備なので
最低でも二年に一度は交換を実施したい整備のひとつになりますので、ブレーキシステムの管理には注意して下さい。圧送したブレーキフルードに異常な汚れや錆等が含まれていないか確認を行って
異常が見つかれば原因を特定する為、ブレーキシステム全体を調査するので大掛かりな作業が必要になる事も。後輪からのブレーキ鳴きもあった為、ブレーキパッドをチェック。古いパッドはローターとのアタリも微妙で摩擦材の端がボロボロと崩れてしまい、
面取りも考えましたが、5mm残り程度だったので新品に交換しました。
ローターはそのまま使用するので、初期アタリを付けていくのに新しいパッドは面取りを行って取付していきます。
新旧のブレーキパッドセンサー。
冷却水の交換。
専用の機械を使用してフラッシングを行って内部で発生した水垢や錆等の汚れを浮かせて
古い冷却水と共に車外へ圧送させます。
酷暑が続く近年は冷却系統のトラブルも多く、1年に一度の交換をおすすめしております。
全ての作業が完了したら最終のテストランを行って修理箇所やその他に問題が無いか確認を行い
最寄りの陸運支局へ車を持ち込んで車検を取得します。オーナーへ車検証、定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーをお渡しして納車となりました。
今回は基本的な油脂系の交換作業や消耗部品であるブレーキパッドなどの交換を行いました。
次のステップは足廻りなどでしょうか。走行距離はまだまだ少ないですが、
経年によるマウント類、ゴム部品の劣化など、どうしても気になる箇所は出て来るかと思います。
また、ご相談下さい。ご来店お待ちしております。
2019年01月12日