【E83 X3 2.5i】エンジンオイル漏れ修理【110,000Km】
エンジンオイル漏れ修理の為、E83 X3 2.5iが入庫したのでメンテナンスレポートとして紹介していきます。
走行距離は110,000Km。
今回の入庫前にデフオイルやパワステオイル交換を実施したのですが、
その際にエンジンオイルパン周辺に漏れたオイルがべったりと付着しているのを発見し
日を改めて再入庫していただいたので、早速、何処からの漏れなのか診断していくことにしましょう。
アンダーカバーを外してオイルパン周辺を確認。エンジンブロック周辺にもオイルが付着しているので
オイルパンガスケットからの漏れだけでなく、他の箇所からの漏れもありそうです。アンダーパネルの内側には漏れたオイルが多く付着しています。状態を見るとかなり前から漏れていた事が伺えるのですが、
アンダーカバーやこういったパネルが装着されているモデルは
カバーがオイルを受け止めてしまう為、オイル漏れに気付きにくく被害が拡大してから
気付くケースが多いので注意が必要です。
ちなみにこれはまだ軽症の範囲で酷いケースはカバー全体にオイルが廻ってしまう程なので
アンダーカバーが付いている車輌は定期的に下廻りの確認をしておくと安心です。
漏れたオイルを一度綺麗にスチーム洗浄し、何処からの漏れなのかピンポイントでトラブルシュートしていくと
オイルエレメントベースとエンジンオイルパンの2箇所からの漏れと判明したので早速修理を開始していきましょう。
X3のオイルエレメントベースを取り外す為にはエアクリーナーボックスやパワステフルードのリザーブタンク、
オルタネーター・ファンベルト等…を外し、エレメントベースにアクセスしていきます。
新旧のオイルエレメントベースガスケット。ワッシャも同時に新品へ交換。シリンダーブロック側の装着面に残っているガスケット跡を綺麗に除去しておきます。液体ガスケットを除去を終えたらオイルストーンを用いて接着面を綺麗に整えておきます。取り外したオイルエレメントベース。
本体は綺麗に汚れを落としておき、装着面をオイルストーンで整えてガスケットを装着し、
液体ガスケットを併用しながらエンジンへ戻します。
何てことないガスケットなのですが・・・・アクセスから交換まで時間のかかる作業です。
周りのパーツに注意しながら慎重にオイルエレメントベースを装着し、修理の為に外しておいた各パーツを元に戻して
オイルエレメントベースのオイル漏れ修理が完了。オイルパンガスケット交換の為、エンジンオイルを排出していきましょう。
古いオイルへフラッシング剤を注入し、エンジンのフラッシングを行って
エンジン内部に堆積した汚れを落とし易くします。
特に経年車や走行距離の多い車輛はスラッジやカーボンの汚れがが堆積してしまっている事が多く、
定期的にフラッシングを行って出来るだけエンジン内部に汚れを残さない様にする事が大切です。
10分~15分程アイドリングを行いエンジン内部にフラッシング剤を浸透させた後に
内部の汚れと共に古いオイルを排出させます。
廃油にも注意を払い、異常な金属片等が混ざってないか確認しエンジンの状態を探ります。フロントアクスルキャリアを取り外す為には、フロント足廻り・ドライブシャフト・フロントのファイナルドライブ
ステアリングギアボックスなどのパーツを取り外ししていきます。
ドライブシャフト・ファイナルドライブを取り外ししていきます。
取り外したフロントファイナルドライブ。
フロントアクスルを降ろす為、エンジンハンガーを用いて一時的にエンジンを吊り上げておきます。フロントアクスルを降ろしました。
各部の状態を確認しておきます。ようやくオイルパンにアクセスできました。
外したオイルパンにはカーボンやスラッジの汚れが堆積してかなり汚れていたので
綺麗に洗浄していきましょう。
ベッタリとオイルパン壁面にスラッジが黒くこびりついてしまっています。
こうなってしまうとオイルやフラッシング剤の効果だけで除去していくのは
なかなか難しいですね。洗浄油でオイルパン内のスラッジをある程度除去し
オイルストーンでオイルパンの接着面を綺麗に整えておきます。ブラシが入りにくい箇所は、洗浄油を塗布し溶かしながら取り除いていきます。
新旧のオイルパンガスケット。
部分的に液体ガスケットも併用し、オイルパンを取り付けしていきます。
オイルレベルセンサーのOリングも交換します。今回の作業のような場合、ボルトは再使用出来ない事も多いですね。
規定トルクで締結していくので、必ず新しいボルトを使用し、組み上げていきます。フロントのデフベアリングサポートブラケットのOリングを交換。
フロントアクスルを車体へ装着し足廻りを元通りに組み立てていきます。
ハブロックナットは一度使用した物は使用出来ませんので必ず新品を使用します。トルクレンチを使用して既定のトルクで締め込んでいきます。既定のトルクで締め付けたら最後に回り止めのカシメを忘れずに行います。アンダーパネルに付着したオイル汚れを綺麗にスチーム洗浄。アンダーパネルを装着する前にフロント部分も綺麗にスチーム洗浄をしておきます。アンダーカバーのボルトも新品に交換します。
非常に簡単な説明になりますが、ボルトの特性として既定トルクで締結すると、オネジ部分が伸びます。
アルミボルトを再使用すると、素材自体が柔らかい事もあり、緩みなどが発生しやすく
パネルの緩みによる異音などが発生する可能性がある為、再使用はせずに必ず交換しましょう。
アンダーカバーを装着して全ての作業が完了。最後に最終チェックのテストランを行って修理箇所やその他に問題が無いかを確認します。
納車時にオーナーへ分解整備記録簿をお渡しし、
現状の状態や今後のメンテナンスについて注意事項等をお伝えして納車となります。
今時アンダーカバーなどが装着されていない車の方が少なく、大概が装着されていますが
やはり装着されている車はオイル漏れに気付かない事が多く、気付いた時にはかなり酷い状態…
というケースも多く見られるので、定期的な点検を行い早期に発見・修理を行う事が大切で、
更に今回はオイルパン内のスラッジの付着も多く、オイル交換の重要性なども納得いただける記事になったのではないでしょうか。
2018年07月18日