【ALPINA B3 3.0/1】足廻りブッシュ交換【120,000Km】
今回は足廻りブッシュ交換の為、ALPINA B3 3.0/1が入庫したのでレポートしていきましょう。
走行距離は120,000Km。
フロント付近からコトコトと異音が出る・・・との事だったので検査を進めていくと
フロントアッパーマウント付近からの異音と判明したので、今後の事も考慮し
ブッシュの見直しを行う事に。ショックアブソーバーは減衰力もまだ残っていたので
今回はそのまま使用していく事に。
フロントタイロッドエンドはボールジョイントのガタツキも大きく、
錆の影響で調整が不可能な状態なので左右共に新品に交換していきます。新旧のタイロッドエンド。ASSY交換になります。
タイロッドエンドはステアリングの操作をタイヤへ伝えている為、走行には非常に重要なパーツになり
消耗が進むと異音の原因やハンドル操作が不安定になったり、ジョイント部が破損してしまうと
最悪の場合、ステアリング操作が出来なくなって大きな事故へ繋がってしまう可能性もある為、注意が必要です。
ブーツも切れていたので新品に交換。
取り外した前後のショックアブソーバー。
各パーツに分解してフロントアッパーマウントやスプリングパッドを交換していきます。
新旧のフロントアッパーマウント、アッパーとロアのスプリングパッド。
スプリングの脱着にはスプリングコンプレッサーを使用してフロントショックアブソーバーの分解、組立を行います。新旧のリアアッパーマウント。交換するリアショックアブソーバー関連パーツ一式。交換したパーツを組んだらリアショックアブソーバーを車体へ装着します。
装着する際は仮締めで固定しておき、接地させて軽くテストランを行ってから本締めを行います。新旧のフロントスタビブッシュ。
横方向の動きによる捻じれを抑えて車体を安定させているのですが大きな力が掛かる為、
取り外すと捻じれているのが良く分かりますね。取付された状態かつ停止した状態で
目視をしてもなかなか良否判定の難しいブッシュですが、
交換後はスタビとショックアブソーバーの連携やコーナーリング時のロールの少なさに驚かれる方も多いですね。
新旧のフロントスウィングサポート。
フロントはショックアブソーバーとスタビライザーをジョイントするサポートパーツになります。
こちらもスタビブッシュと同時に交換が望ましいでしょう。
フロントスタビライザーにスタビブッシュ・スウィングサポートを組んだら車体へ装着します。
軽くテストランをし、ブッシュを馴染ませたのち、4輪ホイールアライメントの測定と調整。
足廻りのパーツを脱着、交換した際はアライメントが変わってしまう為、
必ず4輪ホイールアライメントの調整が必要です。
調整は技術と知識を持ったスタッフがメーカーの基準値を元にテストランを繰り返しながら
その車輌に最も適した数値を導き出していきます。
車輌のクセやタイヤの摩耗だけでも数値は変化してしまう為、
車輌毎に数値は違ってくるので以前この数値だったから…と同じ数値で調整しても
最適な状態にはならないので注意して下さい。テストランとセッティングを繰り返し調整が完了。
エンジンオイル交換。
当社の交換メニューではフラッシング剤を注入し
エンジン内部を出来るだけクリーンな状態にしてからオイル交換を行っています。
エンジンオイルは潤滑の役割だけでなく他に密封・冷却・清浄・防錆と様々な役割を担っているのですが、
交換を怠っていると走行時に発生したスラッジやカーボンを集約する事が出来なくなる事で徐々に内部に堆積していき
通常のオイル交換だけでは除去する事が出来なくなってしまいます。
酷いケースでは汚れがヘドロ状に堆積してしまうとオーバーホールでの除去も出来なくなってしまい
エンジン自体が使用出来無くなるケースもあるのでオイルの管理を怠らない様にして下さい。10~15分程アイドリングを行ってエンジン内部にフラッシング剤を浸透させて汚れを落としたら
古いオイルと共に排出。
排出には時間を掛けて雫が垂れなくなるまで行い、
廃油に異常な金属片が混ざってないか確認を行ってエンジン内部の状態を探ります。オイルエレメントの交換。
同時に装着に使用するワッシャやOリングも新品へ交換。
オイルエレメントはエンジンオイルが吸着した汚れを濾過して汚れを取り除いているのですが、
濾過する許容範囲を超えてしまうと
目詰まりでオイルの流入量が減ってしまうのを防ぐ為に濾過を行わずにエンジンへ循環させる様になります。
新しいオイルエレメントを装着したら規定量のエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。全ての作業を終えたら最後にテストランを行って修理箇所やその他に異常や違和感が無いか確認を行います。
コーナーリングも適度にロールを抑えてALPINAらしい快適で安定した走行を楽しむ事が出来ました。
オーナーへアライメントデータ・分解整備記録簿をお渡しして納車となります。
今回は足廻りのブッシュ交換を行いました。
経年車や10万kmを超えた車輌はブッシュの劣化によるトラブルには注意が必要になります。
異常な状態を放置すると各パーツに与える影響が大きい為、
新しいモデルよりも被害が拡大するペースは確実に早くなる為、
違和感を感じたら早急な対応が大切になるのですが、車輌は使用するしないに関わらず劣化するパーツも多く、
オイルの管理の有無だけでも車輌に与える影響が大きくなるので、特に経年車や多走行車のオーナーは注意が必要です。
新しい車輌へ乗り換え続けるオーナーもいますが、
経年車になっても手を入れながら大切に維持しながら乗り続ける事も車輌の楽しみ方の1つだと思います。
出来るだけ長く愛車を維持する為にも、
掛かりつけのファクトリーで長期のメンテナンスプランを立てて管理しておくと
安心したカーライフが楽しめるのでお勧めです。
2018年07月18日