【E36 318is Coupe】24ヶ月法定点検&車検整備【110,000Km】
走行距離が110,000KmのE36 318is Coupeが24ヶ月法定点検と車検整備で入庫したのでレポートしていきましょう。
今回の車輌は走行距離が10万kmを超えているだけでなく、登場から20年以上が経過しているモデルなので
基本的な油脂系の交換をメインに各箇所の点検を進めながら劣化消耗パーツの交換を行います。まずはエンジンオイル交換。
エンジンのフラッシングには様々な方法があるのですが、当社では今回の様な簡単なフラッシング剤の注入の他にも
専用の機械を使用してエンジン内部や経路内をクリーンにする施工方法もあるので興味がある方はご相談下さい。10分~15分アイドリングを行ってフラッシング剤を浸透させて汚れを落としてから古いオイルと共に排出。
古いオイルは汚れを含んで真っ黒な状態になっていたので、
エンジン内部にはかなり汚れが堆積していた事が想定出来ます。
排出は古いオイルが内部に残らない様に出来るだけ時間を掛けてオイルのしずくが垂れなくなるまで行い、
同時に異常な金属片が混ざってないかエンジン内部の状態を探る為、廃油のチェックも行います。オイルエレメントの交換。
新旧見比べると判りますが、外したエレメントはスラッジで真っ黒な状態。
オイルエレメントを装着して排出を終えたらエンジンオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。ミッションオイル交換。
交換の前にエンジンオイルと同様にフラッシング剤を注入し
軽くテストランを行ってミッションオイルの油温を上げてから
内部で発生したスラッジ汚れと共に古いオイルを一気に排出させます。
ドレン・フィラープラグには新しくシーリングテープを巻いておきます。
シーリングテープは巻き方に不備があると逆にオイル漏れを誘発させるので巻く方向を間違えないように。ATFを注入してミッションオイル交換が完了。
FUCHS ATF4000(DⅢ)
デフオイル交換。
スムーズなコーナーリングが出来るのは内部のデファレンシャルギアが作動しているからなのは皆様ご存知の通りです。
デフギアの噛み合う力でギアそのものからスラッジが発生し、オイル自身もすり鉢ですり潰されるように
消耗していくのでデフオイルの管理は見落とされがちですが、かなり重要な作業のひとつになります。
デフオイルの交換も排出する前にフラッシング剤を注入しスラッジとオイルを落としていきます。テストランを行って油温を上げてからデフオイルを排出。
排出を終えたらデフオイルを注入してデフオイルの交換が完了。
FUCHS HLS90 75W-90
パワステオイルの漏れ修理とオイル交換。
専用の機械を使用してフラッシングを行ってパワステポンプやギアボックス、
パワステの経路内汚れを古いオイルと共に車外へ圧送。
ウィークポイントであるパワステのオイル漏れを防ぐだけでなく、
ポンプやギアボックスを良いコンディションで維持する事が出来るので定期的に交換を行う事は非常に大切です。
FUCHS ATF4000(DⅢ)
新旧のパワステのインテークパイプ。
経年劣化が進むと固くなって弾力性が無くなる事でヒビ割れたり、密着性が無くなる事でクランプで締めても
オイルが漏れ出してしまうので、パイプの接続部等がオイルで濡れていたら被害が拡大してしまうので放置は厳禁。
ホースクランプも劣化や振動等で破損してしまう事があるので同時に新品へ交換。ブレーキフルード交換。
ブレーキラインで発生した水垢や錆等を古いフルードと共に車外へ圧送。
ブレーキフルードは吸湿性が高い為、車を使用していなくても徐々に消耗劣化が進む為、定期的な交換が必要です。
劣化が進むと空気中の水分を含んだ影響で沸点が下がりブレーキの熱で沸騰して
ブレーキライン内に気泡を作り出す事で油圧が伝わらず、ブレーキが利かなくなるベーパーロック現象を発生させたり、水分の影響でブレーキシステムに錆を発生させる為、注意が必要です。
劣化は色の変化で判断する事が可能で透明から紅茶色へ変わり、色味が濃くなります。
エンジンルーム内のリザーバータンクの蓋を開ければ確認出来るのでご自身で定期的に確認すると良いでしょう。排出した古いブレーキフルードに異常な錆や汚れが無いか確認し、ブレーキシステム全体の状態を探ります。
異常が見つかれば原因を特定する為、ブレーキシステム全体を取り外す等の大掛かりな作業が必要です。クラッチフルードも同時に交換。
冷却水交換。
冷却ラインのフラッシングを行い、防錆処理も同時に施します。
FUCHS FRICOFIN G12
今回はインジェクションパージの施工を実施。
フューエルラインからインジェクターまでのスラッジを取り除き、燃焼室で燃焼してマフラーから車外へ排出。
アクセルを踏んだ際のフィーリングが随分と良くなるので、評価の高い作業のひとつです。
VICの施工。
こちらは燃焼室内でVIC溶剤とカーボンスラッジが反応剥離をする事で燃焼されマフラーから排出されます。
インジェクションパージとセットで行う事で
施工前のフィーリングが比較にならない程のエンジンの軽さを体感出来ます。
VICの施工ではスパークプラグに負担を掛ける為、全てのプラグを交換。新旧のスパークプラグ。
取り外したプラグに不自然な焼け方や異常が無いか確認。新旧のフューエルフィルター。
フューエルラインの洗浄を行ったのでフィルターも同時に交換。
新しいフューエルフィルターを装着してインジェクションパージ・VICの施工が完了。E36で良く見掛けるのがヘッドライトの曇りなのですが、E36はヘッドライトのガスケットが劣化してしまうと
密着性が無くなり汚れや結露等でカバー内が曇ってしまう為、分解してガスケットを交換。同時にヘッドライトカバー・ガラスレンズ共に綺麗に洗浄してリフレッシュ。新旧のヘッドライトカバーガスケット。
E36でもお馴染みのルーフライニングの経年劣化。
劣化が進むと状況が悪化してルーフライニングが垂れ下がってしまうので非常に気になりますね。
天井のライナーを外してルーフライニング全体を張り替えます。ルーフライニング交換後。
施工後なので簡単に終わっている感じなのですが、結構作業は大変で古いルーフライニングを剥がし、
接着面のウレタンカスを全て除去した後に新しいルーフライニングをしわが入らない様に慎重に接着します。
接着剤を塗布して直ぐに張り付けると接着剤が表面のライニングに浸み出てしまうので要注意。
折角施工したのに再び剥がれてしまうケースは接着不足や接着剤の量や張り付け時の
乾燥時間不足等が考えられるので慎重な作業が必要です。
その他の箇所も慎重に形状を合わせて施工。サンルーフ部も外してパーツ毎に内装を張り替えます。
内装全体を車輌に戻し、サンルーフの可動を確認して内装の張り替えが完了。全ての作業を終えたら最終のテストランを行って修理箇所やその他に問題等が無いか確認。
インジェクションパージとVICの施工によりパフォーマンスが向上し、アクセルを軽く踏み込んだだけで
ググっと背中を押される加速と軽く吹け上がるエンジンに施工の効果を体感出来ました。
陸運局へ車輌を持ち込んで無事車検を取得。
オーナーへ車検証・24ヶ月点検記録簿・車検ステッカー・定期点検ステッカーを渡して納車となります。
今回は点検作業の他に燃料システムのリフレッシュ、経年劣化によるパーツの交換や内装の張替えを行いました。
定期的に点検整備を行っていればまだまだ十分に楽しめるモデルなので今後も大切にして頂きたいですね。
2018年10月03日