【E36 M3B】足廻りフルブッシュ交換【43,000Km】
94y M3Bの足廻りフルブッシュ交換になります。
ワンオーナーで走行距離は43,000Kmと、経年を考えれば非常に少ない走行距離となり
これからが楽しみなエンジンですが、
さすがにショックアブソーバーの抜けと各ブッシュの劣化は経年には勝てませんね。
何となくフワフワする感じが…と言われリフトアップしてみると
左のフロントショックからオイルが漏れ、完全に抜けている状態でした。
ショックの交換だけでなく、各ブッシュの消耗も見られた為
前後ショックアブソーバーとブッシュをリフレッシュしていきます。まずはリアセクションから作業を開始します。
リアアクスルを切り離していきましょう。リアのアクスルキャリアは5箇所のブッシュが圧入されています。
アッパー・ロアコントロールアームもアクスルキャリア取り付け部分に
ブッシュが使用されているのでそれぞれ交換していきます。 リアトレーリングアームは左右それぞれ2箇所のブッシュと
1箇所のボールジョイントを交換する必要があります。 リアアクスルキャリアブッシュをアップで。
内筒部周辺に大きく割れが発生しているのが確認出来ますね。
こうなってしまうとブッシュとしての役割は期待出来ません。 早速、交換を…
と行きたいところですが、外したキャリアやアーム類を綺麗に洗浄していきます。
単純に汚いからあまりそのままで作業したくない…という事もありますが
長年堆積した泥等を取り除く事によって、キャリアやアーム類にクラックが入っていないか
どうかを確認する必要がある為、洗浄という作業は欠かす事の出来ない
重要なパートのひとつと言えるでしょう。 トレーリングアームも同様に。 洗浄後に分解していきます。
各アームは左右分からなくならないようマーキングをしていきます。 アッパーコントロールアームも外して
アクスルキャリアからブッシュを交換していきます。 ここからはプレス機とのやりとりになります。 こちらは外筒部にクラック。 アクスルブッシュ新旧。 何トンという力を一点に集中し、古いブッシュを抜いていくわけですが
すんなり外れてくれることはまずありません。
外筒部とブッシュリング部が癒着している事もあり、なかなか外れません…
熱を入れたりすると、強度の問題も出てきますので
プレスの力のみで上手く抜いていくほかありません。アッパーコントロールアームのブッシュ交換。 治具を使用して抜き出していきます。 新しいブッシュを入れる前にガイド内部の傷などが無いかを確認し
圧入していきます。傷などがあった場合は当然処置が必要になります。 写真だけでもカチッとした印象が伝わってきますね。ロアコントロールアーム。 ブッシュ新旧。少しでも圧力をかける支点がずれていると
治具がはじけ飛び非常に危険なので、プレス作業中は気が抜けません。ブッシュ交換の終わったキャリアに各アームを仮止めしておきます。 トレーリングアームのボールジョイントを交換。 リア廻りの動きに対して非常に重要な部分のひとつになります。
各部をピロ化されている方もいますが、
市街地だとどうしても乗り心地が犠牲になってしまったり
あっちもこっちもと気になってしまうようなケースが多いので
当社では基本的に純正パーツで交換していく事がほとんどです。
交換後。 トレーリングアームブッシュ交換。上下・左右に力が加わるところなので、ブッシュへの負担は少なくない箇所になります。 両方のアームのブッシュの打ち替え完了です。
これでリアセクションのアクスル廻りのブッシュ交換は終了。
キャリアとボディをドッキングさせ、次の作業に入ります。 リアのスタビ・スウィングサポートの交換。 スウィングサポートブッシュもこの通りヒビ割れが目立ちますね。リアスタビブッシュ・スウィングサポート新旧。 スプリングパッドも交換です。 リアセクションブッシュになります。
アッパーマウントはのちほど。
アクスルキャリア×5
左右トレーリングアーム×6
左右アッパーコントロールアーム×2
左右ロアコントロールアーム×2
左右スプリングパッドアッパー×2
左右スプリングパッドロワー×2
リアスタビブッシュ×2
リアスウィングサポート×2 デフマウントブッシュ×2 新しいショックアブソーバーはビルシュタインを装着します。純正のショックは完全に減衰が無くなっている状態でした。
フロントアッパーマウント・スプリングパッドを交換。 古いアッパーマウントは随分と潰れているのが確認出来ます。 リアアッパーマウント新旧。 リアアッパーマウントは分解寸前でした。フロントロアアームコントロールブッシュの交換。 発進・停止時にはフロントで一番負荷のかかるブッシュになります。
それだけに消耗は早いブッシュになりますので、停止時にステアリングが取られたり
ゴツンといったような異音がフロントからする場合は要チェックになりますね。 こちらのプレスで交換していきます。 ブラケットとブッシュの位置が決まっているのでずれないように注意が必要です。 フロントスタビブッシュ・フロントスウィングサポート新旧。
スタビブッシュはよじれによる劣化、スウィングサポートはリアと違い
ボールジョイントになっていますのでブーツの破れや
ジョイント部分の動きが悪くなっていれば交換が必要です。フロントショック取り付け。 リアショック取り付け。タイヤを付けたら、馴染ませる為に軽くテストランを実施してから
各アームのボルト・ナットを本締めしていきます。
接地前にガッチリと固定してしまうと、アライメント調整も意味が無くなってしまいますし
スムーズな足廻りの挙動が得られなくなってしまうので注意が必要です。 フルブッシュ交換時には、メーカーの指定する規定値にアライメントを調整するだけでなく
タイヤのメーカーや摩耗度など、その車のトータルコンディションを確認しながら
リセッティングとテストランを繰り返し行なって、一番ベストな状態を見極めていく事が大事になってきます。
ブッシュが新しくなった事で、カッチリとした走行感は当然得られますが
カッチリだけでなく、路面からの衝撃もうまく逃がすようなしなやかさも
求めていかなくてはいけませんので、一般道・高速などを使用し
車全体のバランスを見ながら最終確認と調整を行っていく必要があります。
2015年04月11日