【ALPINA D3 Bi-Turbo】各部メンテナンス【125,000Km】
初めてご来店頂いたALPINA D3 Bi-Turboのメンテナンス入庫。走行距離は130,000km。
ALPINA D3 Bi-Turboはハイパフォーマンスなディーゼルエンジンを搭載し、
走行・燃費共に非常に優れたモデルなのでオイルの汚れや各部の消耗が気になる所です。
今回はエンジンオイル交換・ATF交換をメインに消耗パーツ等のチェックを行います。
先ずはエンジンオイル交換。
オイルを排出する前にフラッシング剤を注入してエンジン内部のフラッシングを行います。
エンジンは使用する事で内部にスラッジやカーボンが発生してエンジンを汚すのですが、
エンジンオイルには洗浄効果が有り定期的にオイル交換をしていればオイルの性能だけで
ある程度はエンジン内部をクリーンな状態に保つ事が出来ます。
10分~15分程アイドリングを行いフラッシング剤を循環させて充分に汚れを落とした後に排出。
古いオイルは画像の様に黒くなった状態で落とされた汚れと共に排出するのですが、同時に排出したオイルに
大きな金属片等が混ざってないかチェックを行いエンジン内部の状態を探ります。
排出の際は内部に古いオイルを残さない様に時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで行う事が大切で
時間効率を優先してオイルを出し切ってない状態で交換してしまうと
折角入れた新しいオイルの再汚染に繋がる為、短時間で行うオイル交換はリスクが高く注意が必要です。新旧のオイルエレメント。
オイルエレメントはエンジンオイルを濾過してオイルが吸着した汚れを取り除き、綺麗な状態にして再びエンジンへ
循環させているのですが、交換を怠ると汚れが溜まり目詰まりを起こしてオイルの流量が減ってしまいます。
そうなると流量を保つ為にバイパス機能を備えていて濾過を行わずに汚れたオイルをそのままエンジンへ循環させ
エンジンへ悪影響を及ぼす為、定期的な交換が必要です。
フラッシングを行ったオイルエレメントは汚れを多く吸着し使用不可なので必ず交換。
オイル排出後に新しいエレメントを装着して規定量のオイルを注入してエンジンオイル交換が完了。
走行距離を考えるとパッド・ローターの摩耗が気になります。
リフトアップしてブレーキの状態を確認。
同時に作業ご指定のあったATFを交換。まずはATFを排出。
当社では全量交換方式で作業を行っています。
閉店間際に作業を行い一晩掛けてATFを排出させるので最短でも1泊2日の日程が必要です。
交換方式は他に循環方式や圧送方式等があるのですが、
内部のスラッジ等がAT経路内に詰まって不具合を起こすリスクがある為、当社では行っておりません。新旧のオイルパン。
オイルパンの交換?と思われるかも知れませんが
実はオイルエレメントと一体式になっているタイプなので交換が必要です。
因みにオイルエレメントはオイルパンの下部にセットされていて
オイルパン中央から流れ込んだATFはエレメントを通過し吸い上げられ真直ぐに伸びた筒を通り
バルブボディへ循環しています。
交換の際は古いオイルパンの磁石に付いたスラッジ量や不自然な金属片等の有無を確認して内部の状態を探ります。
コネクタースリーブの交換。新旧のコネクタースリーブ。
このパーツが原因でオイル漏れをしている車輛も多く見られます。
オイルパンを外さないと交換出来ない箇所なのでATF交換の際には必ず交換をしています。ATFを注入して油面調整を行います。
ATFは温度が高くなり過ぎると膨張してしまい正確な油面調整が出来なくなってしまう為、
テスターを使用し温度管理を行いながら作業を進めます。
最終的にテストランを行いながら適正に油面調整を行って交換作業は完了です。
ATFは多くても少なくてもATシステムに不具合を及ぼすので非
常にシビアな作業が必要なので安易に交換するとATの不具合で本体の交換が必要になるケースもあるので
安易な交換はお勧め出来ません。
マイクロメーターで4輪ブレーキローターを計測。4輪共に計測すると全てのブレーキローターの使用基準値を下回っており交換が必要な状態でした。あわせてフロントのハブベアリングを交換。走行距離を考慮すると良いタイミングの交換時期ではないでしょうか。
ベアリングは内部の小さな球が転がる事でタイヤを回転させているのですが摩耗すると異音を発生させる為
消耗品として考えた方が良いでしょう。
前輪側の左右共にハブベアリングを交換。ブレーキローターの摩耗具合は新品のパーツを横に並べて見るとその削れが良く判ります。
ブレーキローターの交換時期は走行方法によって違う為、一概に言えないのですが車検の時に確認するパーツなので
その際に今後の交換時期を確認しておくと判断し易いでしょう。
フロントハブベアリング、ブレーキローターの交換が完了。新旧のブレーキパッド。
ブレーキローターを交換したので同時にブレーキパッドを交換。
面取りを行う事で音鳴り防止やブレーキの利きに違いが出ます。
新しいブレーキローターは新しいブレーキパッドを使用する事で本来の性能を発揮する為、
古いブレーキローターで使用していたブレーキパッドは余程の理由がない限り再使用はおすすめしません。
新旧のリアブレーキローター。
ホイールがブレーキダストで汚れていたので綺麗に洗浄してから車体へ戻します。センターホイールカバーのエンブレムが剥がれています。
エンブレムが無くても走行には全く支障は無いのですが無くなってしまうと気になりますよね。
新しいエンブレムを装着。
ブレーキの交換作業が終わったら必ず前輪・後輪のブレーキパッドの警告灯のリセットを行います。
数値が徐々に減っていくので交換時期の目安になり、
ご自身の走行ではどれぐらいの数値で交換なのか把握しておく事も大切です。
全ての作業が完了したら最後にテストランを行い、修理箇所や各部に問題が無いかを確認。
ATFの交換でスムーズなシフト操作を体感でき、ブレーキ操作もカッチリりとした印象で
ALPINA D3本来の走行を楽しむ事が出来ました。
今回は基本的なメンテナンスの他にブレーキローター・パッドの交換を行いました。
ハイパフォーマンスなエンジンを搭載しているモデルはブレーキへの負担が多く摩耗にも注意が必要です。
楽しく安全に走行する為にはスムーズに走行するだけでなくしっかりと止まれる事が重要なので
特に高性能モデルを運転する方は性能と安全を維持する為にもメンテナンスを怠らない事が大切でしょう。
2017年07月22日