【E39 530i Touring】エンジンオイル交換・冷却水漏れ修理etc,,,【120,000Km】
E39 530i Touringがエンジンオイル交換・冷却水漏れ修理の為入庫です。
当初はエンジンオイル交換のみ作業を行う予定で入庫したのですが、
リフトアップしてみると冷却水漏れ跡がアンダーカバーやエンジン前面に付着していたので
急遽、冷却システムの修理も行う事になりました。
まずは冷却システムのトラブルの原因を探る為、漏れ箇所を点検していきます。冷却水のエキスパンションタンクを確認すると水量を知らせるフロートが下がっていて冷却水不足を知らせています。水温が上がった時と同じ状況にする為、エキスパンションタンクに圧力を掛けて内圧を高めていき
冷却ラインに漏れ箇所を特定していきます。冷却水が漏れた跡。
ラジエターのロアホースに冷却水が付着していたのですが、
漏れはロアホースではなく別の箇所から垂れ落ちていた様です。ウォーターポンプを確認すると明らかに噴き出したと思われる状態で漏れた跡が白くなっていました。
ロアホースに付着していた冷却水跡もウォーターポンプから飛び散った跡と判断しました。
ウォーターポンプ本体に何かしらのトラブルが発生していると判断出来るので交換が必要です。
ウォーターポンプと同時にサーモスタットも同時交換。
サーモスタットはハウジング内に装着されており冷却水の温度管理を行うパーツで故障してしまうと
オーバーヒートやオーバークールの症状を発生させます。
頻繁に故障するパーツでは無いのですが、消耗品として考えウォーターポンプと同時に交換した方が良いでしょう。
ハウジング自体が経年劣化で割れて破損する事も有るので注意が必要です。各ホース、ベルト類、サーモスタットハウジング等を外してからウォーターポンプへアクセス。新旧のサーモスタットとウォーターポンプ。
サーモスタットはハウジング本体毎交換。新しいウォーターポンプを装着。
取付面にガスケットの残りなど残さないようオイルストーンで研磨し装着します。
新しいサーモスタットハウジングを装着。
その他のパーツも元通りに組み直してウォーターポンプとサーモスタットの交換が完了。冷却水の交換。
専用の機械を使用して冷却経路のフラッシングを行います。
フラッシング剤を圧送させて冷却経路内に溜まった錆や水垢等の汚れを古い冷却水と共に車外へ排出させます。
冷却経路が綺麗になった所で新しい冷却水を規定量注入して冷却水の交換が完了。
冷却水の管理が不十分だと錆や汚れの影響でウォーターポンプの故障や経路内の詰まりを発生させるので
定期的な交換を行う様におすすめしています。ウォッシャー警告灯が点灯するとの事で右タイヤハウスのインナーを外して状態を確認した所、
ウォッシャーポンプ本体からの漏れが見つかったので交換。
新旧のウォッシャーポンプ。
ゴムシールとストレーナーも新品へ交換。エンジンオイル交換。
最初にフラッシング剤を注入してエンジン内部に堆積したスラッジやカーボンの汚れを浮かせて落とし易くします。
当社で使用しているフラッシング剤は素早く浸透して汚れを浮かせて落とし易くし、保護被膜を形成して
フラッシングの際の摩擦を軽減し、再付着防止効果で新しいオイルの再汚染を防ぐ効果が期待出来ます。
エンジンオイルは基本的に潤滑以外にも洗浄効果等があるのですが、劣化により徐々に効果は薄れていきます。
定期的な交換を怠っているとエンジン内部には吸着しきれなかったヘドロの様な汚れが堆積してしまい
通常のオイル交換だけでは排出する事が出来ずにエンジン内部に残ってしまうばかりか、
新しいオイルの再汚染にも繋がってしまいます。
出来るだけ汚れを堆積させない為にも定期的なオイル交換やフラッシングをする事が大切です。
特に高出力のエンジンやターボ車等はエンジンの負荷が大きくエンジンオイルの管理が重要になるので
御自身の走行方法等を考慮して走行距離3,000~5,000㎞毎、もしくは4~6ヶ月ごとのどちらか早いほうで
交換した方が良いでしょう。
エンジン内部へフラッシング剤を浸透させる為に10分~15分程アイドリングを行いオイルを排出。
フラッシング剤で落とされた汚れで古いオイルは真っ黒な状態でした。
出来るだけ内部に古いオイルをを残さない様にする為、時間を掛けてしずくが垂れなくなるまで排出します。
時間を掛ける事で作業効率は悪くなりますが、新しいオイルの再汚染を防ぐ為にも必要な作業なのでしっかりと行い
エンジン内部で異常磨耗等のトラブルが発生してないか排出したオイルの状態も確認しておきます。新旧のオイルエレメント。エレメントのOリングも新品へ交換。
古いエレメントはフラッシング剤で落とされた汚れで真っ黒な状態でした。
オイルエレメントはオイルを濾過する事で含まれているスラッジ等の汚れを取り除く役割を担っているのですが
汚れが酷くなると汚れが詰まって汚れを濾過出来無くなるばかりかオイルが流れ難くなってしまいます。
そうなるとエレメントはオイルの流れを減らさない様にする為、濾過を行わずにオイルを循環させる様になるので
エンジンに悪影響を及ぼします。
古いオイルを排出後に新しいエレメントを装着して規定量のオイルを注入したらエンジンオイル交換が完了。
交換後は必ずオイルインスペクションのリセットを行います。
全ての作業が終了後、テストランを行い修理箇所やその他に不具合などが無いか確認を行い
オーナーの元へ納車となりました。
今回は点検の際に冷却システムのトラブルを発見し修理を行いました。
今回の様に早期に発見し修理出来た事は良かったと思います。
古い車輌や走行距離が多い車輌は消耗するパーツに注意を払いトラブルが発生する前に
経年等を考慮して点検・交換をする事が大切なので、
一度ご自身の車輌の整備履歴を見直してみてはいかがでしょうか?
2017年09月11日