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MAINTENANCE REPORT

【E46 M3】法定24ヶ月点検&車検整備【65,000Km】

DSC08189_R今回は法定24ヶ月点検と車検整備の為、E46 M3が入庫です。
車検を取得する為には様々な点検項目が義務付けされているのですが、基本的な作業は勿論の事
点検を義務付けされていない部分にも注意が必要です。
E46 M3は最終モデルでも今年で10年を迎えるので思わぬマイナートラブルに巻き込まれる事が無い様に注意したい所ですね。
その点も踏まえながら今回は各種のオイル交換の作業をメインに紹介します。DSC08190_Rエンジンオイルの交換。
交換の前にフラッシング剤を注入してエンジン内部に蓄積されたスラッジやカーボンの汚れを落とします。
エンジン内部の汚れを出来るだけ落としておく事で新しいオイルの再汚染を防ぎます。
使用するフラッシング剤には汚れを落とすだけではなくエンジン内部に保護被膜を形成する事により
スラッジやカーボンの再付着を防止する効果が有ります。

エンジンオイルは12ヶ月点検や24ヶ月点検毎に交換する方が多いと思います。
年間走行距離の平均を10,000kmとするとこれでは交換時期が遅くなってしまいます。
この数値から単純に想定すると半年に一回(5,000km毎)、もしくは年間で三回(約3,000km毎)交換するぐらいが好ましいですね。
年間で3回は多いと思われますが、ターボ車の場合はオイルに負担が掛かる為、通常の車輌より早期に交換が必要になります。
エンジンオイルを交換しなくても殆どエンジンが壊れる事は有りませんがエンジンの劣化を早め燃費も
悪化させる事は間違い有りません。
その為、御自分の走行方法や年間もしくは半年の走行距離を把握して交換時期を判断しましょう。DSC08197_R10分~15分程アイドリングを行いフラッシング剤をエンジン内部に循環させて内部の汚れを落とします。
古いエンジンオイルはフラッシングされた汚れで真っ黒な状態になるので排出には出来るだけ時間を掛けて
エンジン内部に古いオイルを残さない様に最後の一滴になるまで排出します。
作業効率を考えると非常に時間の掛かる作業になりますが、新しいオイルの再汚染を防ぐ為にも大切な工程です。DSC08199_R新旧のオイルエレメント。
フラッシングと同時にオイルエレメントも交換。
古いオイルエレメントはフラッシングで落とされたスラッジやカーボンの汚れで真っ黒な状態になっています。
交換の際にはエレメントケースのOリング、ドレンボルトのワッシャも消耗品ですので再使用はせずに必ず交換します。 DSC08207_Rオイルの排出が終わり、オイルエレメントを装着したら規定量のオイルを注入してオイル交換の作業は完了。DSC08191_R今回使用したオイルはFUCHS TITAN Super Syn 5w-50をチョイス。
欧州車の各メーカーの厳しい規格をクリアしたレースオイルと同等の性能を持つ高性能オイルなので
ハイスペックなエンジンを搭載するE46 M3に適しており、本来のエンジンパフォーマンスを楽しむ事が出来ます。DSC08208_Rオイル交換後は必ずオイルインスペクションをリセット。DSC08209_Rリセットを行うと時計がグルグル回り…DSC08210_R時計の表示が消えればリセット完了。
稀にマイナス表示等のリセットがされていない車輌を扱う事が有りますが、適正なオイル交換をされていない場合が殆どです。
オイル交換時期の目安になりますのでエンジンオイル交換後は忘れずにリセットを行いましょう。DSC08201_Rミッションオイルの交換。
エンジンオイル程交換には気を使わない箇所だと思いますが、ミッションオイルも案外汚れが進んでいる事が多いですね。
ミッション内部で発生した金属粉が徐々に含まれますので、その汚れでオイルの粘度が低下します。
酷い状態になるとサラサラなオイルがドロドロになっている場合があるので定期的に交換する様にしましょう。
特にSMGモデルでATモード多様される方は思ったよりギアチェンジを行っています。
FUCHS ATF4000DSC08205_Rしっかりとミッションオイルを排出したら規定の量を注入してミッションオイルの交換が完了。DSC08192_Rデフオイルの交換。
デフオイルもミッションオイルと同様に徐々に金属スラッジを含んで粘度が低下する事で内部ギアに負担が掛かり
デフの音鳴りなどの不具合を発症させるので定期的な交換が必要です。
DSC08194_R基本的に古いオイルの排出には時間を掛けます。
エンジンオイルと同様に最後の一滴になるまで時間を掛けて排出。DSC08195_R古いオイルを排出させ新しいデフオイルを規定量注入してデフオイルの交換作業が完了。
FUCHS TITAN RaceGear90LS
DSC08213_Rパワステオイルの交換。
専用の機材を使用してフラッシングを行います。
フラッシング剤を注入してオイルを圧送してポンプやギアボックス、オイルラインに堆積したスラッジを排出させ
新しいパワステオイルを規定量注入します。DSC08222_R新しいパワステオイルはこの様な透明な赤色なのですが、
劣化すると透明だったオイルは真っ黒な状態になってしまいます。
エンジンオイル程に点検しない箇所だと思いますが確認する事は非常に簡単なので
自分で一度確認してみてはいかがでしょうか?
FUCHS ATF4000
DSC08215_Rブレーキフルードの交換。
ブレーキフルードも吸湿や経年劣化により無色透明から徐々に劣化するのでこちらも交換が必要です。
無色透明からの色の変化で劣化具合が判りやすいので交換時期の判断もしやすいかと思います。DSC08216_R専用の機械を使用して古いフルードを圧送してブレーキラインに溜まった錆等の汚れを排出。
DSC08218_R吸湿や経年劣化が進むと沸点が低下する事で水泡を発生させ、それが原因で圧力が伝わらなくなりペダルを踏んでも
ブレーキが効かなくなるベーパーロック現象の発生の確率が格段に上がり非常に危険です。
M3ならではの走行パフォーマンスを発揮させる為に走行に関するメンテナンスに目が行きやすいのですが、
車輌を確実に減速・停止させる為のブレーキのメンテナンスは重要です。
OMV Racing DOT4
DSC08226_R冷却水の交換。
専用の機材を使用してフラッシング剤を注入して冷却ラインに溜まった水垢や錆汚れを古い冷却水と共に排出。
オーバーヒートや冷却水漏れを防ぐ為にも確かな不凍液を使用し、冷却水交換は一年に一度は実施する様にしましょう。
FUCHS FRICOFIN G12
DSC08230_Rドアのウェザーストリップが経年劣化と熱が原因で剥がれてしまっています。
これはE46モデルでは良く見られる症例なのですが、10年の経年も考慮すると仕方がない事かも知れませんね。DSC08231_R左右共に交換。DSC08237_R左右新品のウェザーストリップに交換。DSC08240_R左右共に装着完了。
乗り降りする箇所という事もあり非常に気になる場所なので交換して見違えるようになりました。DSC08263_R車検に備えてエンジン廻りやタイヤハウス等をスチーム洗浄。DSC08267_R下廻りも砂埃やオイル汚れ等、スチーム洗浄をして綺麗にします。DSC08307_R全ての作業が終了後、テストランを行い特に問題が出なければ車検を取得。
その後オーナーに車検証、24ヶ月定期点検記録簿、車検ステッカー、定期点検ステッカーをお渡しして全て終了です。

今回は各種オイル交換をメインに紹介しました。
普段気にしているエンジンオイルの交換以外にもミッションオイルやデフオイル、パワステオイル、ブレーキフルード、
冷却水と定期的に交換が必要な箇所を車検というタイミングで交換しておけば、
次回交換時の目安にもなり分かりやすいかと思います。
E46 M3以外の車輌でも同じ様に各オイルの交換は必要なので自分の車輌がどれぐらいで交換が必要なのかを
把握しておく事も大切な事ではないでしょうか。

2016年12月05日