【E30 M3】法定24ヶ月点検&納車整備FileNo.2【100,000Km】
長崎へ嫁ぎ先が決定したM3の納車整備のFileNo.2になります。
ブログの容量の問題で二回に分けてお届けです。
一回目は【E30 M3】法定24ヶ月点検&納車整備FileNo.1【100,000Km】
上記リンクをご覧になって下さい。リアブッシュ廻りを中心に交換。
まずはリアアクスルキャリアを降ろしていきます。マフラー、プロペラシャフトを取り外しアクスルキャリアセクションは分解せずにそのまま降ろします。降ろしたのち、デフ、セミトレアームとそれぞれ取り外していきます。大きく分けて
リアアクスルキャリア
セミトレーリングアーム*2
デファレンシャルの
四点のセクションで構成されています。
E30モデルで注意したいのが、リアアクスルキャリアの変形です。
セミトレーリングアームと言えばBMWが確立した
リアサスペンション形式の傑作品のひとつですね。
ただし、走行距離が10万Km以上の車でリアセクションのブッシュ交換が行われていない車の
リアタイヤを良く見てみると大きくハの字を切ってタイヤの内側が偏摩耗している車を良く見かけます。
そうなってしまう原因とは、リアアクスルキャリアブッシュとセミトレーリングブッシュの消耗です。
10万Kmも走っていればゴムブッシュが切れてしまうのは当たり前ですね。
それを放置し走り続けてしまうと、リアアクスルキャリア自体が変形していくわけですね。
リアアクスルキャリアの形状は弓型になっており、走行距離が多くなるにつれ
弓の反りが開く方向に変形が進む傾向があり、開きが大きくなるほどに
トーアウトがきつくなり、オーバーステア気味になってしまい
サスペンションなどの性能によって得られるメカニカルグリップが減少し、
タイヤに負担が増して偏摩耗が進んでしまいます。
定期的にブッシュを交換する事が前提とされた足廻り構造になりますが
駆動力を受け止めているパーツになりますので、ブッシュが正常でも徐々に変形が進んでいると
思って良いでしょう。
リアセクション分解時には必ずアクスルキャリアの寸法を確認し、
許容値に収まっているかどうかも見ていかなくてはいけません。トレーリングアームブッシュに要求される性能は、高剛性と低フリクションが求められるので
基本的に剛性の高い中身の詰まったブッシュが使用されます。
なので、切れたりヒビ割れが確認できる場合はブッシュとしての性能は期待できませんので
早急に対策が必要でしょう。アクスルメンバーブッシュに求められるものは、
柔らかい硬いの強弱がつけられている事。
回転する力を利用し、トーアウト方向への流れを相殺させるという事。
重要なファクターとしてはこの二点になります。
セミトレブッシュとは違い、ブッシュの硬度を部分的に落とす為に
スグリを設けたり、逆に硬度を上げたい場合は金属板を埋め込んだりと
メーカーでしっかりと考えられ設計されています。交換はプレス機で行います。
何百回と繰り返し行っている作業ではありますが、
何㌧という力がかかっている時に弾けてしまったら・・・と頭によぎってしまうので
いつになっても慣れません・・・怖がってもいられませんので、バシバシ抜いて新しいブッシュを入れていきます。ちなみにさっき説明したアクスルメンバーブッシュの柔らかい硬いの強弱というのは
このようなイメージです。トレーリングアームブッシュ。
スグリはなく、中身が詰まったゴムの塊です。こちらも油圧シリンダーをガチャガチャと上下に操作し、古いブッシュを取り外し
新しいブッシュを圧入していきます。 デフマウントブッシュの交換。デフマウントは変速時や発進停止時のデフの振れを軽減してくれる重要なブッシュのひとつです。
デフのバックラッシュが酷いなぁ・・・なんて思っていたら、実はデフマウントブッシュが切れていて
変速時にデフケース全体が動いていたなんて事は良くある話です。デフを降ろすという事は早々ありませんので、何かのついでに降ろした際は
交換した記憶が無ければ、交換した方が良い箇所になります。リアだけでなく、フロントも何箇所かブッシュの交換をしていきます。
まずはフロントロアコントロールアームブッシュの交換。モデルによってスグリ入りのものもありますが、E30 M3はスグリ無しの
いかにもカチッとした見た目のブッシュになります。
スグリ入りのものより丈夫である事は確かではありますが
不具合が出ていても、しっかりと確認しないと見落とされてしまう事もしばしば。
ぎっちりと充填されたゴムがヒビや切れを隠してしまう事がありますので
目視だけのチェックだけでなく、実際にロアアームを揺らしたりして
消耗チェックを行う必要性があります。プレス機で圧入。
リアの変則的な形状に比べれば、こちらは幾分かは気分的に楽です。ブッシュの方向性は決まっているので、ずれないようアームホルダーに取り付けます。SSTを使用してロアアームに差し込んでいきます。
力任せに取り付けしようとすると、せっかくの新品のブッシュが切れたりしますので注意が必要。
力をかける方向性を間違えると、案外とすぐに切れてしまいます。左右取り付けしロアアームコントロールブッシュの交換は完了です。ステアリングタイロッドを交換。
さすがにここまで錆びているとアライメント調整が困難です。タイロッドエンドも目視だけでなく、リフトアップ時にアームを手で揺すり
ガタツキが無いかを確認していきます。
FileNo.2で終了の予定でしたが、ブログ容量の問題でFileNo.3に続きます。
2014年08月19日