90y E30 M3 DiamondBlack RestorationFileNo.5
90y E30 M3 DiamondBlack Restorationの記事も今回で5回目となりました。
第一回、第二回、第三回、第四回から引き続きいよいよエンジンの作業に取り掛かります。
今回は降ろした現在のエンジンの状況とエンジンの分解を中心にした作業になります。
ブルーの結晶塗装が施されたカムカバーが付いておりましたが、エンジンを降ろす際に傷つく事もあり
当社ストックに交換し、作業を進めています。
先ずは降ろしたエンジンの現状を確認する事で故障箇所や不具合をいち早く発見し
オーバーホールの作業を効率よく進めていきます。
スロットルボディです。アルミ素材なのでどうしても腐食が目立ちますね。
エンジンから取り外して各パーツを分解後、本体はサンドブラスト処理をし、レバー類などはユニクロメッキ処理をし
組み上げていきましょう。ディストリビューターです。キャップ・ローター共に交換ですね。
各部に錆や汚れが目立ちます。
ユニクロ・クロメートメッキ処理が必要なパーツは取り外して再メッキ加工を施します。アルミパーツはブラスト処理をして梨地を出し、アルミ本来の輝きを出していきます。エンジン側面。
シリンダーブロックに錆が目立ちます。拡大すると錆の具合が良く判ります。
大きなダメージを与える物では有りませんが、しっかりと錆を落として防錆処理をしていきます。ディストリビューター部からオイル漏れを起こしていた様ですが、オイル漏れを防ぐ為に
漏れた箇所の上から処理をしたと思われるシーリング跡が有りました。
オイルはディストリビューター内のOリングから漏れ出しているのでいくら外側を処理したとしても漏れは止まりません。
最初は止まったかの様に見えますが、根本的な部分は治っておりませんのでいずれオイル漏れは再発してしまいます。
残念ながらオイル漏れの修理とは言えない作業状態になっておりました。
取り外したスロットルボディです。
エアコンブラケット部。エアコンブラケットブッシュは交換致します。パワステポンプです。
外観だけでなく、内部オーバーホールも実施します。外観のチェックも終え、エンジンの分解を開始します。
クランクプーリーを1番シリンダーを圧縮上死点にセットし、ここを基準として分解を開始していきます。
カムシャフトを取り外しました。S14エンジンは
上段はカムケース・中央がシリンダーヘッド・下段がシリンダーブロックの3重構成となっており
カムシャフトを取り外した後、タペットシムにマーキングをしておき、出来るだけタペット調整の手間を省くようにしておきます。
ボルト類もブラスト処理後に再メッキ加工を施します。シリンダーヘッド取り外しました。まずは分解して、各部の計測を行い、それぞれ問題が無ければ洗浄等を行い
そのまま使用していきますが、問題がある場合は内燃加工や交換作業が発生します。シリンダーブロックの上部です。
シリンダーヘッドを取り外すとピストンが見えます。
この後、ピストンを取り外しシリンダーヘッドと同様に各部を計測し、問題点が無いかどうかを調べていきます。オイルパンを外しました。
オイルパンのガスケットがボロボロですね。
オイルポンプも後で分解していきます。シリンダーヘッド、燃焼室部分。カーボンスラッジの噛み込みとバルブフェーズの荒れがどの程度か気になるところです。チェーンレールやタイミングチェーンも外していきます。バルブを取り外していきます。コッターを無くさないように・・・バルブのステムシールは当然新品に交換致します。ステムシールに異常が起きるとエンジンオイルが漏れて燃焼室へ入りマフラーから
白煙が出るようになるオイル下がりと言われる症状が発生致します。
当然、エンジンオイルも減りますし、十分な圧縮が得られず満足のいく走行が出来なくなってしまいます。
頻繁にオイルが減ったり白煙が多く出るようになったら
オイル下がりが発生している可能性が高いですので早急な修理が必要です。
今回は現在のエンジンの状態をメインにした内容となりましたが、今後様々な処理をして完成した状態と見比べて頂けると
その違いに驚かされると思います。
次回はエンジン各部の計測と、取り外したスロットルボディを分解整備していきますので、
また次回も楽しみにお待ち下さいませ。
2015年12月07日