【E60 525i】各部定期メンテナンス【44,000Km】
本日は初めて御来店されましたオーナーのE60 525iがブレーキ廻りの点検の為に入庫致しました。
E60は5シリーズの5代目にあたるモデルで、セダンがE60でE61がツーリングモデルになります。
初めて売り出されたのが2003年と考えるとそこそこ新しいモデルだと思っていましたが
既に登場から10年以上経過しているんですね。
オーナーから他にもメンテナンスが必要な箇所が有るなら作業をして欲しいとの事で
その他の部分も不具合が発生していないか点検していきます。
4輪全て点検したところ、ブレーキパッドの摩耗と前輪のブレーキローターの摩耗がみられましたので
それぞれ新しいパーツへ交換致します。
後輪よりも前輪はエンジンの重さとブレーキを掛けた際の制動荷重によりブレーキに負担が掛かります。
その為、ブレーキの負担は前輪の方が大きくなりますので後輪よりもブレーキのパーツの交換は前輪の方が多くなります。前輪のブレーキローターを外していきます。
外した古いブレーキローターと新しいパーツです。
ブレーキローターは走行距離や目視では正確な減り具合が判りません。
必ずマイクロメーター・ダイアルゲージを使い厚みと歪みをチェック致します。ブレーキローターは均一に摩耗していくという事は無く、レコード盤のように削られていき
徐々にパッドとの密着性が薄れていきます。
急ブレーキを掛けた際や峠道等で長時間ブレーキを酷使すると熱量の変化で歪んでしまう事もあり
ブレーキを踏んだ際にハンドルやボディの振れを感じたりブレーキペダルの跳ね返りを感じた場合は
歪んでしまっている可能性もありますので、走行の安全性を考えると早期の点検が必要になります。新しいブレーキローターを装着致しました。
カチッとしたブレーキの制動に驚かされると思います。
新しいブレーキパッドと外したパッドです。
外したパッドは残2mmといったところでしょうか。
パッドセンサーはかなりギリギリまで点灯しないようにセットされていますので
パッド警告灯が点灯した場合は、交換まであまり猶予はありませんね。
ブレーキパッドの交換と共にブレーキフルードも交換致します。
ブレーキフルードはブレーキペダルからブレーキのシステム全体へ可動を伝える役割をしているので
安全走行を維持するには重要な部分です。
こちらも走行と経年により劣化していきますので市街地走行メインであっても車検毎の交換が望ましいでしょう。専用機材を使い圧力をかけて古いブレーキフルードやブレーキラインに溜まっていた汚れを同時に排出させます。
排出させた後に新しいブレーキフルードを注入・エア混入が無いかどうかをチェックし、交換作業は終了です。新しいブレーキフルードは無色透明です。
使用していくと吸湿等で徐々に茶色く変化していき劣化が進みます。
いきなりブレーキが効かなくなるという事は稀ですが、ペーパーロック現象やマスターシリンダーの劣化が知らずに進んでいたりと
じわりじわりと進行し、いきなり大きなトラブルとして表面化することもありますので、ブレーキ系の点検の他にエンジンオイルも汚れていましたので交換致します。
交換の際には必ずフラッシング剤を入れエンジン内部のスラッジを取り除いて古いオイルと共に排出させます。オイルを排出するとエンジン内部に溜まったスラッジ等の汚れでオイルは真っ黒な状態でした。
オーナー自身もいつ交換されたか記憶にないとの事だったので、ゆうに10,000Km以上は未交換のようでした。オイルエレメント内にもスラッジが多く溜まっていました。
この後、新しいオイルエレメントを装着して作業は終了です。
エンジンオイルの汚れが酷かった分、交換後のエンジンの吹け上がりがスムーズに感じられると思います。このくらいのモデルからオイル点検に必要なオイルゲージは付いておりません。
代わりにオンボードコンピューターで詳細に管理をして
オイルやブレーキに関する交換時期を教えてくれます。
ですが、あくまでメーカー推奨時期での通知なので、交換時期などは実際に目視で点検し、
実際にどの程度劣化が進んでいるかをこの様に交換時期が来ると車輌側で警告してくれますが、走行状況により交換時期は様々ですので
これは交換の目安として参考にするぐらいが良いと思います。こちらも警告が出ておりましたが、古いブレーキパッドを見た状態から考えると
表示されたら早急に交換した方が良いですね。ブレーキパッドやエンジンオイル等のデータをリセットして完了になります。
交換時期を車輌側で判断してくれるのは非常に有り難い事なのですが、
あくまでも走行距離や数値での判断ですので使用状況により
様々な変化は出てきますので走行中に不具合を感じたら
エラーが出ていなくても点検や整備は必要な場合もございます。
非常に便利になった分、全て機械に頼ってしまい不具合に気づかない事も有るかと思います。
車輌を管理する機械自体の故障にも注意をする必要も出てきますね。
運転をしていて車輌に異常を感じた場合は早目の点検をお勧め致します。
全ての作業が終了後、実際にテストランを繰り返して交換後に不具合や違和感が出ていないか確認致します。
エンジンのスムーズな吹け上がりとカチッとしたブレーキの利きを確認して今回の全ての作業は完了となりました。
今回は定期点検の重要さを実感した作業になりました。
オンボードコンピューターの数値だけでは判りませんでしたが、実際に点検をした時にパーツの摩耗や汚れ等が
走行の状況により様々に変化をしていたという事。
オンボードコンピューターの表示だけに頼るだけでなく、走行時の違和感や挙動にも目を向け
数値だけでは判らない部分は定期点検で実際に確認する事が重要なのだと思います。
2015年12月15日