【E36 M3】法定24ヶ月点検&車検整備【65,000Km】
E36 M3の車検入庫。
10年前、17,000Km時に当社で販売し、65,000Kmとなった今でも大事にしていただいている
コンディション抜群のM3Cになります。最近は自転車にハマっているそうで少々放置気味だったとか。
自宅の駐車場でバッテリー上がりを起こしていたので、代車とバッテリーパックを携えて
ピックアップに伺いました。バッテリー上がりしていましたが、車のコンディションはおおむね良好。
法定24ヶ月点検内でピックアップした要整備項目は
各部のオイルの交換。
リバースライトスイッチからのオイル漏れ。
クラッチペダルを踏み込んだ際の異音。
以上の三点をオーナーに提案し、作業実施となりました。まずはエンジンオイルの交換。オイルの排出。
フラッシングに10分~長くて20分、エンジン内部の汚れの状況を見極めてフラッシング時間を変えていきます。
排出したオイルはそのまま廃棄するのではなく、においや直接指で触ったりする事で
エンジン内部に異常が無いかどうかの判断も出来ますので
そういった診断も忘れずに行う事が大切ですね。オイルエレメントの交換。エレメントケース内にスラッジが多く溜まっている事もありますので
ケース内の洗浄も行い、新しいフィルターをセットしていきます。FUCHS TITAN 5W-50。
当然、100%化学合成オイルでエンジン内部清浄性能
(酸化した汚れを除去し取り込む塩基の性能)も申し分無く
Mモデル、ALPINAモデル共に好評なロングランオイルになります。ミッションオイルの交換。
ギアオイルを使用している場合は粘度が高く排出しにくいので
テストランで油温を上昇させ排出させやすくする事は
オイルだけでなく内部のスラッジの排出効果も高まります。今回はオーナーからのリクエストでギアオイルをチョイス。
FUCHS 5SPEED 75W-90を使用。デフオイルの交換。
こちらも同様に油温を上げてからの排出。ドレンガスケットも交換します。
一度でも既定のトルクでドレンボルトを締めこむと、写真右のようにガスケットが潰れて
オイルが漏れないような作りになっています。
小さなパーツですが、再使用して良い物、悪い物をしっかりと区分けしていく事で
ベストなコンディションで車の運転を楽しむ事が出来るという訳です。FUCHS HLS90 75W-90を使用。ブレーキフルードの交換。圧送で完全に古いフルードを車外に排出していきます。
古いフルードと新しいフルードが混合してしまうと、性能は平均化されずに
古いフルードの低い性能に、せっかくの新しいフルードが引っ張られてしまい
交換の意味が全く無くなってしまいます。
一般にブレーキフルードの交換量は1L~2Lになりますが
場合によっては、それ以上のフルードを使用し
交換が必要な場合もありますので、吸湿率と沸点低下がどの程度進んでいるかを
しっかりと判断する必要があります。クラッチフルードも同時に交換。
レリーズシリンダーに錆が出て、シリンダーからフルードが漏れてクラッチ操作が出来なくなってしまった。
というような車をチェックするとクラッチフルードの交換が全くされていなかった
何てことはよくある話です。リザーバータンクとマスターシリンダーのジョイント部にも注意が必要です。
タンクとマスターシリンダーはゴムプラグでジョイントしているのですが
経年によりプラグ部分よりフルードが漏れ、いつのまにかタンク内のフルードが空っぽになっていたなんて事も。
漏れたフルードはエンジンルーム内の塗装も侵し、被害は一箇所だけにとどまらない事も。パワステオイルの交換。圧送でポンプ、ギアボックス内のオイルを排出。
圧送前にフラッシングし、内部のスラッジを排出させやすくします。約25PSIの油圧をかけて圧送でオイルを入れ替えていくので
古いオイルはほぼ100%車外に排出され、代わりに新しいオイルがパワステ機構に
満たされ、エア噛みも少なくベストな交換方法と言えるでしょう。パワステオイル交換は完了。冷却水交換。パワステ部と同様に圧送で冷却水の入れ替えを進めていきます。
ラジエタードレンを外しただけでは冷却水の全量交換は不可能ですが
このように専用の機材を使用する事によって、効率良く的確に冷却水と
冷却経路の水垢や錆の除去を行えます。クラッチペダルの異音。
クラッチペダルを操作する際に出てしまうゴム同士が擦れ合うような音。
気になりはじめると気になって仕方のない音ですね。基本的に異音はペダル付け根のゴムブッシュの交換で解消されますが
踏力や踏む際の角度によってペダル自体が変形してしまっている事も。
皆さん案外真っ直ぐ踏んでいるつもりだと思いますが、左右どちらかに力をかけながら踏んでいる事も多いですね。ペダルを元通りにし、作業は終了。
異音も無くなりました。最後にエンジンルーム、下廻りのスチーム洗浄を行い車検取得に向けた作業はこれで全て完了です。陸運支局に車輛を持ち込み検査。
再検査でまた順番待ちで並ぶのは、非常に効率も悪いので一回で検査をパスしていきます。車検取得後にトータルチェックの為のテストランを実施。
若干、足廻りに消耗を感じましたのでオーナーに次回の宿題としてお伝えしました。
当社のテストランは作業した箇所に問題が無いかのチェックと
半年後、一年後に必要になるであろうメンテナンスの予測をし、オーナーにお伝えするという
二つの目的を持ち合わせております。車検証、定期点検記録簿をオーナーにお渡しし、納車となりました。
2014年09月06日